ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の伍拾七

〜雨音



雨は止みそうに無い
私の気持ちは晴れそうにない

靴を磨き
燭台の蝋燭の燃えかすを掃除して
ギターの弦を張り替えた

流れた時間の多さに頷き
優しいフリをして
カレンダーに印をつけた

エディットピアフの唄声が
雨音に溶けてゆく

ギターケースの中では
愛猫MARIEが寝息をたてている

雨は止みそうに無い
私の気持ちは晴れそうにない

このまま何もかもが
雨に打たれてりゃいい


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