ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の伍拾弐

欲望という名の汽車



睦月下旬から如月にかけて独り舞台<弾き語り>の旅に行って来た。
基本的に私は一人で何かをする事が大好き。
いくらでも自由でいられるが故、しっかりケジメをつけなさい、という事になる。
ソロという表現方法はある意味もっともストイックなものである。
私は一人で淫欲にふけ、邪欲に迷うのだ。

ガレージシャンソンショー<デュオ>では曲作りに励みたい。
互いに安堵し、互いに刺激し合う。馴れ馴れしくも余所余所しい。
常に風は吹いていなければならぬ。
愛欲に溺れながらも貪欲でいたい。

泥沼楽団<バンド>は録音作業中。
スタジオという密室では、奏でる音のみならず、
各々の立ち振るまいがその人その人の”業”というものを露にしててしまう。
それを乗り越えてこそ”腐れ縁”と成り得る。嗚呼、素晴らしき泥沼よ…。
仲間達と食欲旺盛に強欲を貪りたい。

表現者としての私の汽車を走らせるのは”欲望”に他ならない。


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