ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の伍

〜花粉は魂の叫び〜
 

花粉症に嘆く紳士淑女の皆様、御機嫌麗しゅう。
御多分に洩れず私も重度の花粉症、唄うたいにとっては面倒な 季節である。今年は特に目が痒い。公演ではこの充血して血走った瞳で貴方を金縛りにして差し上げましょう。御期待の程を。
さて、去年の今時分『ウタノチカラ』と題したアコースティッ クツアーで全国を廻っていた。
くしゃみ・鼻水・涙目全開!顔はむくみっぱなし、鼻炎カプセ ルが手放せない。
私は夜毎舞台上からこうMCした。
「”このスギの野郎!”だとか”ヨモギの奴め!”などと怒る のはお門違い。彼等は、我々人間が造り上げてしまった環境に対し”まだまだ生きていたい!””生き残りたいんだ!”と叫んでいるだけ。植物の魂の叫び、そ れが花粉だ!そしてかく言うこの私も、この住みにくい日本の音楽業界の中で、”まだまだ生きていたいんだ!!””生き残りたいんだあ!!”と魂で叫んでい る訳だ!どうだ!遠慮なく鼻水・涙を流してくれたまえ、皆の衆。」
終演後、会場はティッシュペーパーの嵐であった。
という訳で、私の公演に来る時はハンカチーフ&ティッシュ ペーパーをお忘れなく。
心のマスクは禁止します。それから私は勿論、エコロジストで はない。念の為。
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