ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の弐拾弐

〜遅咲きの夏〜


今年の夏は”遅咲き”であった。
しかも一瞬で燃え尽きてしまった。嗚呼、命短し。
動物園のシロクマやペンギンにとってはとても快適だっ たらしい。ニュースで言っていた。
半袖の似合わない私にとっても過ごしやすい夏だった。
たった二日間の私の夏休みは降りっぱなしの大雨。
艶かしい女性と磯遊びをしてイソギンチャクに指を突っ 込んだり、
キュートな女の子とディズニーシーで飲みまくりドナル ドの目の前でへべれけになったり、
癒し系おねいさんの蚊に刺されたくるぶしにキンカンを 塗ったり、
いろいろやりたかったのだが全て叶わぬ夢であっ た...。
仕方がないので友人と一緒に”バドガール”の店に行っ てみた。
私が思い描いていたのは、エアロスミス やボンジョビが爆音で流れる中、

ビールジョッキを沢山抱えたバドガール達が満面の笑 みで店内を闊歩し、
フードメニューも充実、至る所で乾杯が行われ、不自然なまでに活気に満ち溢れている世界...。
だがしかし現実は程遠いモノであった。
バドガール達は棒立ち、J-POPかなんかの有線が小さく流れ、
仕事に疲れきったサラリーマンがまとわりつく様な視線でバドガールのお尻を追いかけ、
乾杯も笑顔も皆無、ビールというよりは日本酒が飲みたくなる様なまったりした世界...。
枝豆を頼んでみれば”つかみどり”との事で、既にいろんな人達が手を突っ込んだであろう枝豆が出された。
気をとり直し『バドガールスペシャル』というメニューをオーダー。
するとおもむろにバドガールが目の前でシェイカーを振り出したではないか!
その間約15秒苦笑いの様な気まずい空気が流れた。
極め付けは”バドガールサイン入りTシャツ”<白い無地のTシャツにペンで”か
おり”だとか”ケイコ”等と書かれているシロモノ。ハートマークが付いてたり
もする>が3000円で販売されていた事だ。
だれが買うんだ?と思っていたら隣の親父が買っていた...。売り上げ好調との事。
ちなみにに”山田晃士 au Bourbier Tシャツ”は2500円。現在余剰在庫中である。トホホ...。
バドガールの「ありがとうございましたぁ〜」の声を背に私の夏休みは幕を閉じたのであった。
私の夏嫌いは本格的なモノとなった。
御機嫌よう。

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