ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱拾八

〜年中五月病



休暇=怠惰。あっという間にもぬけの殻。
無気力な坂道を転がり始めたらもうどうにもとまらない、リンダ山本。
二十代前半輝ける青春の日々、私は部屋にこもりっきりの毎日だった。


”お昼休みはウキウキウォッチング〜”で起床。
ドラクエやろう。しかも2ね。難易度高し。
コーラの1・5リットル、ポテチは勿論コイケヤのりしお、
それとでん六ピーナッツチョコレート。
あ、電話かかってきた。出るのメンドウだなあ...、っと切れちゃった。
う〜ん、このキャラ強いな、倒せないよ。あ〜あ死んじゃった。
復活の呪文何だったっけ?メモどっかいっちゃったなあ。
CD聴こう、ゆる〜いヤツ。グレートフルデッド。ジェリーガルシア最高。
そう言えば今日何曜日?ヤンマガ発売になった?
『ガロ』も最近つまんないね、安部慎一でも読み返すか。
ギターの弦も張り替えなきゃなあ、3弦あったっけ?
ビデオも返しに行かなきゃ、延滞料金高そう。
ふぁ〜、アクビ。何時間寝ても眠いなあ。
昼寝でもするか、っとその前に猫にエサあげなくちゃ。
寝るの大好き。ボーっとするの大好き。一人でいるの大好き。
靴なんて履きたくない。約束なんてめんどくさい。
だからケータイだって持ってない.........。

最高だった。何も残らなかった。絶望すら感じなかった。偉大なる虚無。
『五月病』ではない。 『年中五月病』である。

二千三年 皐月。
私は自分が如何にナマケモノかを良く知っている。
だから『五月病』など私には関係無い。
毎日毎日多くの形あるモノを残そうと、
靴を履いて、約束を交わして、もがいている。
ケータイは未だ、持っていないけれど


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