ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱百壱拾九
〜何かを成し遂げた様な達成感


塚本晃・近藤智洋・山田晃士の3人による弾き語り旅巡業『灼熱の三叉路にて』が終了した。
8月に3本、9月に7本、全10公演であった。
後半は8日間のちょっとした長旅。同世代、気の置けない盟友とのツアーは愉しい。
遅い朝に起床、数百キロを移動、舞台入り、リハーサル、楽屋で準備、本番、終演、撤収、夜中からの酒の席、明け方近く就寝、といった毎日。あっという間に 1日が終わる。

舞台の上での3人の唄うたいはギターを傍らにそれぞれの世界を構築し、お互いに刺激し合いながら、セッションではてらい無く混じり合う。
舞台を降りた3人の駄目オトコは盃を傍らにそれぞれの御託を並べ、お互いに慰め合いながら醜態を晒し合う。

1人ぼっちになるのは旅の宿である。勿論安宿。
今回嬉しかったのは、1年半前にも訪れた商人宿、○○旅館に連泊出来た事だ。<其の壱百壱参照>
ここは本当に過ごしやすい。ガレージシャンソン歌手の性に合っているのだ。
31分200円のコインランドリーで洗濯三昧。旅館の屋上の物干し竿にガレージシャンソン歌手の洗濯物が翻った時、何かを成し遂げた様な達成感に包まれ た。真夜中の温くなってしまった共同風呂に暑いお湯を満たした時、何かを成し遂げた様な達成感に包まれた。旅館にひとつしかない、部屋から遠いウォシュ レット の洋式トイレで用を足した時、何かを成し遂げた様な達成感に包まれた。(時折空いてなかったりもしたが…)部屋の冷蔵庫に1リットルの牛乳パックを入れた 時、冷凍庫 にチョコモナカアイスを入れた時、何かを成し遂げた様な達成感に包まれた。
○○旅館にガレージシャンソン歌手の生活の匂いが沁み込んでゆく。これぞ連泊、住みたくなってしまう。

残念な事と言えば、移動中のパーキングエリアで、リアルなキノコのストラップのガチャガチャを見つけ、
どうしてもベニテングダケが欲しかったのに、何度やってもマツタケしか出て来なかった事位である。

『灼熱の三叉路にて』再び。
本当に素晴らしき旅であった。

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