ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱百壱拾六
ナマケモノ返上


今迄の人生において最も多忙だったのは'93〜'94、
『ひまわり』のリリースに伴い、およそ1年間に渡り、休日というモノが1日も無かった。
分刻み秒刻みのスケジュール。
ナマケモノの自分にとって、夢見ていた日々は、正しく地に足がついていない状態だった。
何処で何をしていたんだろう?
あの1年間は幾つかの場面が残っているだけで、まるで記憶に無いのだ。

さて、ここ数ヶ月、あの頃に匹敵する程の忙しい日々を送っている。
『デラシネ・スウィング』リリースにまつわる諸々の作業に追われ、毎月旅巡業に出かけ、
都内・横浜での舞台に立ち、声出しの仕事を増やし、幾つかの原稿を書く。
スケジュール帳を見返してみれば1日も休んでいない事に気付いた。
2週間前の出来事を半年位前に感じる。時の流れが早い。早過ぎる。

ただ『ひまわり』の頃と確実に違う点が2つ。
1つは、何処で何をしているのか、何の為にやっているのか、しっかりと把握しているという事。
その上で目まぐるしい。かなり密度の濃い毎日だ。
もう1つは、入って来る報酬があの頃と比べ物にならない程に少ないという事。
微々たるモノである。時給に換算すれば、300円位ではあるまいか。
トホホ…、しみじみするなあ…。

ならば、よし!もっと唄おう、もっと創ろう、もっと晒そう。
ナマケモノ返上!で行こうじゃないか。



………むむぅ………。



そろそろ休日を取ろうかな。



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