ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱百壱拾
〜駄目なヒト いやらしいオトコ〜



2010/12/30 サンジャックにて

ガレージシャンソン歌手は時折、演劇やダンスの舞台にお誘い頂く事がある。
師走の上旬総勢40名の出演者が繰り広げる華やかな舞台に参加した。
『メゾンドフジ』、演劇・モダンダンス・唄のコラヴォレーション。
私の役どころはアパートの管理人。
素敵な役者・ダンサーの方々と共に、非常に刺激的な日々を過ごした。
『メゾンドフジ』には子供達も出演しており、楽屋では“山田さん”の周りを7人の小学生達が取り囲んでいた。

天真爛漫な彼女達は“山田さん”の周りでお菓子をお食べになったり、写メを撮られたり、ニンテンドーDSをプレイされたり、トランプに興じられたりしてい た。そのかしましさと言ったら。
“山田さん”は珍しい生き物らしく、いろいろと観察された。
みんな“山田さん”になついてくれたが、中でも最年少で小学二年生のれいかちゃんと仲良くなった。

ある時楽屋でCDにサインをしていると…
れ:「名前はもっとキレイに書かなきゃダメでしょ」
山:「サインはこうやってスラスラ〜って書くのがいいんだよ」
れ:「字がヘタね」
と一蹴されてしまった。

ある時楽屋でメイクをしていると、じ〜っとれいかちゃんが眺めている…
れ:「山田さんは全部黒なのね。もっと明るい色を使わなくちゃ」
とアドバイスを受けた。

ある時子供達は楽屋でトランプ【ダウト】を始めた。れいかちゃんが全然勝てないので…
山:「ダウトはね、嘘が上手くないと勝てないんだよ」
れ:「嘘は嫌いよ」
山:「大人になるとね、み〜んな嘘をついて生きているんだよ」
れ:「山田さんも?」
山:「そうだよ、毎日嘘ついているよ」
れ:「一日いくつ嘘つくの?」
山:「そうだなあ…19コくらいかな」
れ:「……駄目なヒト いやらしいオトコ!」
とお叱りを受けた。

私もかなり長く生きているが、面と向かって女性に「駄目なヒト いやらしいオトコ」と言われたのは生まれて初めてである。

“山田さん”はちょっと嬉しかった。


<<back
next>>