ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱百七
〜二人から三人へ



二人の幸せは三人目の登場によって壊され る。
往々にしてある事だ。
三人が上手くやっていくって大変な事。
長続きしているトリオバンドは尊敬に値する。

さて私は現在三匹の猫達と暮らしている。
けれん(二歳♀)ベラミー(二歳♀)たんぽぽ(0歳♂)という面々だ。
一昨年の秋、けれんとベラミーを動物愛護協会から引き取った。
二匹はとてもおとなしく、仲が良かった。
けれんはサッパリしていてマイペース。
ベラミーはベッタリ甘えん坊で、私が家に居る時は一時たりとも離れようとしない。
そんな二匹は平和に暮らしていたのである。

半年前、そこへたんぽぽが加わった。
これ以上は飼うべからずと思っていた矢先、片目が潰れて、痩せこけて、死にかけていた子猫に出逢ってしまった。保護せざるを得なかった。

元気を取り戻したたんぽぽは、たちまちそのやんちゃ振りを発揮。
けれんとベラミーに勢いをつけて猛烈アタック、そして思い切り噛みつくのであった。
最初はやり返していた二匹だが、そのあまりのしつこさに辟易。逃げ廻る様になった。
ゴハンも誰の分であろうとお構いなし、横から全部食べてしまう。
ベラミーが私の膝の上で甘えていると、その上からおぶさり、押しやり、自分がそこに落ち着いてしまう。
傍若無人なずうずうしさで、たんぽぽは日に日に幅を利かせていった。
この半年でけれん&ベラミーの穏やかな生活は壊されてしまったのだ。

達観なのか諦観なのか、けれんはたんぽぽと関わろうとしない。常に距離をとっている。
ベラミーはやられっぱなし。完全になめられている。そしてストレスの為か、自分の毛を噛みつき毟ったり、自分のゴハンを皿ごとひっくり返すようになった。 星一徹。

猫の世界の事は放っておこうと思っていたのだが、このトリオバンドは解散出来ない。
現在私はプロデューサーとして、弱きを助け強きを諭す毎日なのである

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