歴代聖賢名録　『五知齋琴譜』（1722年）より

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伏羲
琴制を起す。鳳を象り桐の木を集めて琴を形づくる。

神農
桐の木を削り琴をつくる。絹糸を絃とすることにより、神明の徳に通じ、天地の和と合した。

黄帝
「夢遊」「華胥引」「八極遊」を作曲する。

伶倫
琴音の制をなした。

唐尭
「太平引」「神人暢」を作曲する。

康衢老人
尭の時の人。「撃壌歌」を作曲する。

許由
「遯世操」「箕山秋月」「棄瓢引」を作曲する。

虞舜
「南薫歌」「歴山吟」を作曲する。

娥皇女英
尭の息女。「湘妃怨」「蒼梧引」を作曲する。

大禹
「襄陵操」を作曲する。

成湯
「訓佃操」を作曲する。

師絃
殷の楽器製作者。一絃琴を弾く。（則地祗皆昇）

虞隋
文王に琴＜伶官式＞を進める。

箕子
商の臣。「佯狂操」「麦秀歌」を作曲する。

周文王
「拘幽操」「懐古引」「思舜師賢曲」を作る。

武王
「白魚歎」を作曲する。

周公
「越裳」「岐山」「大雅」「關雎」「伐壇」「驟虞」「鹿鳴」「鵲巣」「白駒」を作曲する。

師曠
晋の人。「陽春」「白雪」「玄黙」「白雲引」を作曲する。

師襄
衞の人。七十二の調、八百九十曲を作る。孔子の師となる。

孔子
「思賢操」「魯商意」「猗蘭」「獲麟」「將歸操」「龜山操」「風遊雲」「東周」を作曲する。

師曹
衞の人。三十九の引を作曲し、六十七調を定める。よって衞靈公に謁＜まみ＞ゆ。

會子
南武城の人。「踐形操」「歸耕引」を作曲する。

子賤
魯の人。弾琴して堂から下りることはなかった。

閔子
魯の人。「離洞雲」「朝天鶴」を作曲し、孔子に献ずる。

賀雲
魯の人。神人に遇い、「皎月」「風雷引」の二曲を授かる。

長沮桀溺
二人の隠士の名。「大遁」「小遊」「長側」「短側」を作曲する。

尹伯奇
「履霜操」「綴蜂曲」を作曲する。

牧犢子
齊、宜王の時の人。「雉朝飛」を作曲する。

商陵穆子
「別鵠操」を作曲する。

成連先生
伯牙の師。

伯牙
「高山」「流水」を作曲し、鍾子期を弔い「水仙」の曲を作る。

鍾子期
成連に百二十曲を授かり、五百八曲、二十八調を編曲する。

列子
戦国の時の人。「續襄陵」「枯魚曲」を作曲する。七十二の小調を綴り、百二十種の小曲を作る。

荘子
「神化引」「夢蝶遊」を作曲する。

卞和
楚の人。「二献」及び「砕玉斗荊軻」を作曲する。

宋玉
「悲秋賦」「金風引」「西風落葉」「霜夜聞砧」を作曲する。

屈原
戦国の時の人。楚の大夫。「問天遠遊」「離騷」「獨醒五弄」を作曲する。

革子
額が兩月の形をした琴を作る。その琴は清濁風雨の音色がする。

墨子
「悲絲曲」を作る。

齊威公
「琴要」を著す。

楚莊王
遶梁琴を製作する。

白鶴子
僧、覺道。

洞虚皇甫
琴道を以て名が知られる。その門弟は甚だ多かった。

胡月
逍の人。「孤猿嘯月」を作曲する。

秦始皇
軫、足、岳、尾がともに黒い琴を製作する。徽は碧玉。名を秦琴という。

陳章
秦の人。羽音が妙であった。

李斯
秦の人。「狡兎操」を作曲する。

羅越黄龍
漢の師。「拘安離」「清風吟」を作曲する。

張子房
漢の師。「進履曲」「日月重光」「楚歌」を作曲する。

慶安世
漢の人。「離鸞霜夜鴻」を作曲する。

司馬相如
漢、蜀の人。「孤鳳求凰」を作曲する。

逍后
「歸風送遠」「雙鳳離鸞」を作曲する。

蘇武
漢の臣。「思君操」「鴈過衡陽」「霜天曉角」「憶關山」を作曲する。

王嬙
漢、元帝の妃。「龍翔操」すなわち「昭君怨」を作曲する。

楊雄
漢の人。「聖徳頌」を作曲する。

嚴子陵
「秋江獨釣」を作曲する。

梁鑾
漢の人。「平陵曲」を作る。

馬明生
琴名「玉峰」を製作する。

張道
漢の人。「魚躍氷泮二十弄」を作る。

蔡邕
漢の臣。「長清」「短清」「秋月照茅亭」「山中思故人」「秋思緑水曲」「遊春」「曹娥霜夜」「幽舘靜」「五弄」を作曲する。

劉先生
「桃園吟」を作曲する。

諸葛武侯
「水龍吟」すなわち「蒼江夜雨」「梁父吟」を作曲する。

榮啓期
「山堂泛商三樂」を作る。

曹子建
魏、文帝の弟。「洛浦」「玉樹臨風」を作曲する。

左思
西晋の人。「招隱」「幽蘭」を作曲する。

嵆康
晋の人。神人に「廣陵散」を授かる。「孤舘遇神」の曲がある。「琴賦」「指法」を著す。

袁孝巳
晋の人。嵆康の甥。琴賦を嗜む。

嵆紹
晋の人。「雪澗聞猿」を作曲する。

阮籍
晋の人。「酒狂」を作曲する。

謝涓子
晋の人。昆陵の女に「清江引」を授かる。「天風環珮」「神遊六合」を作曲する。

沈遵
「曉鶯啼」「醉翁吟」「隱士遊」を作曲する。

齊嵩
「彈琴法」を著す。

薛易簡
「彈琴式法」を著す。

趨膽
「彈法」を著す。

鄭子眞
「谷口引」「龍歸晩洞」を作曲する。

王猷
「訪戴吟」「對竹引」を作曲する。

劉安
晋の人。仙女に遇い、「江南春」「塞上月」を授かる。

潘岳
河陽の縣令。「桃源春曉」を作曲する。

庾信
「清英」という名の琴を製作する。

莊女
仙女。落霞式の琴を彈ず。「青鸞引」「仙珮迎風」が傳わる。

玉林洞元
「天員樂」「逍遥吟」「冲和吟」「飛佩吟」「金丹調」「鶴舞洞天」を作曲する。

謝莊
「江南獨歩」を作曲する。

陶道眞

桓伊
晋の人。「梅花三弄」を作曲する。

陶淵明
晋の人。深く音律を知るが、彈琴はあまり善くはなかった。採菊の調を自ら製す。後の人「歸去來辭」を續ぐ。常に無絃の琴を壁に掛け、深くその趣を得た。

梁武帝
「琴要」を編纂する。

梁元帝
「明齊威公之要」を編纂する。

蕭祐
唐代の人。

劉涓子
齊の人。「修禊吟」「石上流泉」「高柳聞蟾」を作曲する。

閆本立
「學士登瀛」を作曲する。

唐明皇
「廣寒遊」を作曲する。

李勉
唐、粛宗の御史。「靜觀吟」を作曲する。百衲琴を蓄える。

成始終
昆陵の人。「琴清曲」を作る。

李太白
唐の人。「玉關定遠」「黄鶴樓」「玉堂清」「對月吟」を作曲する。

王摩詰
楚の人。「陽關三疉」又の名を「春江送別」を作曲する。

形師魯
「聽琴賦」を作曲する。

韓昌
「懷陵操」及び「聽頴師彈琴賦」

柳子厚
唐の人。「漁歌」を作曲する。

陳居士
唐の人。「琴法勾踢賦訣」を著す。

王晋叔

智和
呉の僧。

王剛

秦珏

師經
兩翅琴を製作する。廣さ尺二寸にして五絃に用いる。

楊英

郭楚望
楚の人。「瀟湘水雲」「泛蒼浪」「風入松」「梅梢月」「春江」を作曲する。

薫庭蘭
唐後期の人。大小の「胡笳」を整理する。「頤眞」「雲竹偈」を作曲する。

雪江
「澤畔吟」「廣寒秋」を作曲する。

逍惟則
蔡邕の「指法」に註し、明らかにする。

逍希曠
「指法」を著す。

呉亮
武昌の主簿。「土琴」を作曲する。

高齋
「土琴銘」を著す。

張横梁

聶從義
宋初の人。五音を辯じ、五絃を定める。

逍普
宋の臣。「雪窓明君」「玉漏遲遲」「帝鼎」を作曲する。

朱紫陽
宋の大儒、晦翁。「月波」「碧澗流泉」「氷清吟」を作曲する。

王欽
宋の逸民。古瓶琴を製作する。琴の兩肩を＜金+化＞に瓶のように象る。谷聲がある。

劉志方
宋、天台の人。「忘機」「呉江吟」を作曲する。

毛仲翁
宋の人。「列子御風」「山居吟」「古澗松山」「易水」「慨古引」「隱徳」「凌虚吟」を作曲する。

王義慶
宋の人。「烏夜啼」を作曲する。

武陵仙子
「羽化登仙」「天台引」又の名「桃源引」を作曲する。

田芝翁
『太古遺音』を編纂する。

楊祖雲
「琴苑須知」を著す。

賀若弼
「大泛品」「越江清夜」「看花吟」「三清」「楚澤涵秋」「塞門積雪」を作曲する。

劉彦卿

蘇東坡
「辧琴上説」を著す。

黄魯直
宋の人。「黄雲秋塞」を作曲する。

白玉蟾
「琴賦」を著す。

石楊休
宋の人。猿と鶴を養い飼い、畫圖を収める。「雙清曲」を作る。

省涓
蜀の僧。

逍耶利
｢秋水」を作曲し、指法を修める。

王守道
「月中桂」「秋夜歩月」を作曲する。

雪祖生
「神遊八極」を作曲する。

毛敏仲
元の人。「樵歌」「塗山」「山居吟」を作曲し、「莊周夢蝶」「幽人折芳桂」「佩蘭」を整理する。

朱致遠
仲尼式琴を製作する。音韻は超越。岳山、蕉尾、ともに鐵梨木を用いる。今これを蔵するものは皆、牛毛、梅花の斷紋がある。腹内には、「赤城朱致遠」あるいは「朱遠」の字がある。

耶律楚材
大遼の中書令。

逍子昂
元の人。

袁均哲
「遺音」を註する。

希仙虚白
『琴學啓蒙』を監修する。「思妻吟」「涵虚吟」を編曲する。

龔稽古
「希仙操」「歎世操」「王道頌」を作曲する。

楊表正
『音捷要譜』「遇仙吟」「漁礁問答」「大學章句」「浩浩歌」「＜月+恭＞王閣」「相思曲」「琴序」を整理する。

劉御
彈琴には善き音色の趣があった。「琴序」を著す。

王一徳
琴譜を校正し差訛を正し、楷書にて書き写した。

韋子寅
五音の奧旨をあきらかにした。

伊芝仙
「崆峒引」「歸來曲」「夏峰歌」「蘇門長嘯」「燗柯行」「參同禊」「安樂窩」を作曲し、『徽音秘密譜』がある。

劉伯温
國師。「客窓夜話」を作曲する。

＜月+瞿＞仙
寧の王。「飛鳴吟」「秋鴻」「鶴鳴九皐」を作曲する。『神奇秘譜』を註し、『太古遺音』を監修する。

益王
別號は黄南道人。

潞王
明の藩封。百あまりの琴を製作し、世に傳わる。

徐青山
宋、常熟派。『大環閣琴譜』を編纂し、『溪山琴況』を著す。

嚴天池
名士や琴曲を集めた。『松絃舘琴譜』を上梓した。

左光斗

莊蝶庵
清代の人。太平奏を製作する。十二の曲がある。『琴學心聲譜』を著し、世に傳わる。

徐贊臣
清代の人。

汪安侯

徐周臣
清代の人。『雍門琴譜』を上梓する。

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