琴書中有眞味
彈琴と讀書の中にこそ眞の味はひがある
抱琴無語立斜暉
琴を抱へて言葉無し、夕陽に立つ
松下横琴待鶴歸
松の根元に琴を横たへ鶴が歸って來るのを待ってゐる
野花香氣撲琴書
野の花の香氣が琴や書物に移ってゆく
雨敲松子落琴牀
雨が松毬(まつかさ)に降りつけ、琴を置く臺に落ちる
琴書中有眞趣
彈琴や讀書の中にほんたうの興趣がある
彈琴誦書
琴を彈じ、讀書する
琴樽為得意之郷
琴や酒は理想郷を得んがためにあり
寄酒賦於間情發琴歌於逸響
しづかな心に於て酒に寄せた詩を賦し、すぐれた演奏に於て琴歌を歌ふ
琴書端可消憂
彈琴と讀書はまことに憂ひを消してくれる
援琴洗塵喧
琴を援き寄せ世俗の喧騒を静める
琴心向誰
この琴に寄せる心を一体誰がわかってくれるだろう
一杯一曲
一杯の酒と一曲の琴
幽獨頼鳴琴
獨居して琴の調べに心を寄せる
靜嘯撫清絃
靜かにうそぶき歌ひ清らかな琴をつま彈く
一室琴書半窓花鳥
質素な書齋には書物と古琴があり、半ば
開いた窓からは花や鳥の囀りが聞こえる
濁醪夕引素琴晨張
夕べには濁醪(にごりざけ)をととのへ、晨(あ
した)には素琴(飾りのない琴)をととのへる
耽琴淫詩
彈琴に耽り、詩作に淫(ひた)る
圖書在左琴壺在右
書物を左に置き、琴と酒は右に置く
幽意在鳴琴
深き思ひは琴の音にあり