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希望の一本松 Photo by Mayuka




* 陸前高田で泣けました / my ordinary state   ―― 2011年 10月 4日


10月1日、またレーベン号で陸前高田に行きました。
こんどは、ずっと素直に泣けました。


金色にかがやく田んぼを見ても、七万本の中たった一本残った「希望の一本松」を見ても、
夜通し運転してくれるドライバーさんの横顔を見ても、涙がはらはら。
―― これが わたしのふだんの状態。


前回(9/10)は、あふれる涙を止めようと懸命だった。
わたしには泣く資格はないと思っていたから。

「泣く資格」って、変な言い方。
でも、友人の葬儀などで、ご家族やほんとうに親しい人たちをさしおいて、大げさに嘆き悲しむ自称 "とっても繊細" な人とか見かけるたびに、「チッ」。
心の中で舌打ちしてきた。
だからつい、意地悪に考えてしまうんだろう。 距離やスタンス、悲しむ権利、泣く資格. . . 。
自分のフィールド 〈*1 〉では、「当事者どうしでなければわからない」ことなんて、ほとんどゼロだと感じているのに。


まったくなあ. . . 。でも、9月10日は、陸前高田もレーベン号も、すべてが初めてだったんだから仕方がない。友人の M にも迷惑だけは掛けたくないと思っていたし、もともと人見知りなんだもの、それだけだって緊張してあたりまえだ。

転機はいつだったろう。
13日、恐竜博で、陸前高田の「市立博物館」や「海と貝のミュージアム」の標本やツッチー救出の記事に、泣いたときかもしれない。
立場だとか当事者性だとか、なにも考えずに、涙を流していたから。

それとも、出かける日の朝だったろうか。
近所の小川で、30羽くらいのスズメが、土手と中州を行ったり来たり。かわりばんこに水浴びしていた。何度も何度も、順ぐりに、チュンチュン、ばちゃばちゃ、スプラッシュ。
その様子を眺めていたら、肩のあたりが軽くなった。


  レーベン号に乗りたかった。
  陸前高田に行きたかった。
  そう. . . わたし、ただ行きたかったの、りくぜんたかた。

それでいいよね、って思えたら、ナチュラルにいられた。
もう東北で、泣くのも笑うのも、あんまり我慢しない、遠慮しない。
いつも通りいることが、おそらく続けていくコツだから。
できるだけずっと、ずっと思い続けていたいから。


(つづく)


◆ たった一度の乗車で、そんなふうに感じさせてくれたレーベン号. . .
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◆ 上の写真は、奇跡の一本松と呼ばれる「いっぽんの松」  Photo by Mayuka


◆ 注1  がんや発達障害、アルコール依存症といった、わたし自身が当事者であることでのボランティア活動や、自助・互助グループの現場 のこと。


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