≫はりぽた井戸端会議2
「えーと、さっきも話したっけ? 魔法族ってマイノリティーだと思うのよね。マグルに対して」
★リドルとキリスト教
「私さ〜。トム・リドルで話書きたいのよ。だから今ちょっと戦前の話とか、そこそこ調べてるんだけど」
☆ハリーの魔法界入門
「で、ハリーも一応プロテスタントなはずですよ。きっと」
★『例のあの人』の名前効果
「『例のあの人』という呼び方は非常に面白いと思うし、これって多分現代社会の何かを表していると思うよ。分かり切っているけど、それを呼んではいけないってこと」
☆リドルからヴォルデモート卿へ
「名前談義が出たから、ついでにリドルについての自己設定を聞いて欲しいんだけど」
★英は階級社会だから
「さっき父親の骨を使って復活って話をしたね。あれってエディプスの神話が関係してない?」
☆工場労働は似合わない…
「あとさ、もう一つ。リドルの母親は手切れ金を受け取ったと思う?」
☆魔法族はマイノリティー
「マグルがマジョリティーね。うぅん、それってね。英の多数派少数派に関する意識がかなり入ってると思うよ」
「というと?」
「つまり、ハリー・ポッターって文学は、かなりイギリス社会を反映しているわけよ。だから、日本人には絶対わからない部分がある。そもそも、日本人自体がマジョリティーで、マジョリティーの意識を持ってる」
「あ、単一民族思想ってやつね」
「うん。でも実際は日本にはアイヌとか沖縄とか在日朝鮮人とか在日韓国人とか在日ブラジル人とかいるわけでしょ? そういうマイノリティーに対して日本人はマジョリティー意識を持ってるわけ。しかも、それを自覚してない」
「つまり? マジョリティーであることすら自覚をしていない日本人?」
「うん。そう言う意味で、日本人感覚では魔法族のマイノリティー意識は理解しがたい部分があると思う。この作品って、イギリスの植民地支配の歴史をかなり反映してるんじゃないかな?」
「ごめん。難しい」
「つまりね…ええと、最初から言うと。マジョリティーとかマイノリティーってのは文化人類学の思想だとするでしょ? で、文化人類学って、イギリスとアメリカから起こってきてるわけ。英の文化人類学は、植民地支配のためにできた学問なわけね」
「えーと、植民地支配に文化人類学が必要なわけがわかりません」
「つまり、その地域のことをよく知ることで、植民地支配に利用したのよ。彼らの文化を「野蛮」だとか「未開」と称して、その調査をする」
「学者が植民地支配を手伝ってた?」
「結果的には。でも学者は単に学問として、文化人類学の調査を行うの。学者がセミ内部の人となって…一緒に暮らして、内部から彼らの文化を理解するわけね。で、最終的には、自分たちの文化が文明の過程で上にあって、彼らは野蛮のままという理解に落ち着くわけよ。すると植民地支配の正当化にもなるし、彼らの文化レベルを上げてやろうという思考にもつながる」
「ははぁ」
「今はそうじゃないけどね。逆にアメリカの文化人類学はね。アメリカって最初からごちゃ混ぜでしょ?」
「ああ、人種のるつぼ」
「うん。だから国内のマイノリティーへの研究が始まったわけ。具体的に言うとアメリカンインディアンと呼ばれてた人々ね。これの目的は同化が目的だったわけだけど」
「アメリカ政府の同化政策?」
「うん、言語と文化とかをおしつけてね。アメリカは彼らをアメリカ人にしたかったということね」
「つまり、イギリスの文化人類学は外の植民地への対応として発展して、アメリカの文化人類学は内部への対応として発展したと?」
「そう。このイギリスの背景とハリー・ポッターは取り入れてるんじゃないかな」
「つまり、魔法族というマイノリティーへの対応が、どうであるかという視点なわけか」
「そもそもこれは魔法族側の意識ではあると思うけどね。彼らはマイノリティーである以上選択しなければならないわけ。同化、共存、排除。魔法族である彼らは種族的には自分たちが優れてると思ってるんでしょ?」
「うん、かなりマグルを馬鹿にしている気配はある。…すると、マイノリティーでありながら、自分たちの方が優秀だという意識があるわけだ」
「英国のなにかしらの人々の意識の現れだと思うよそれ」
「で、魔法族のマグルへの意識が問題になってくるわけね。ええと、これさっきのダンブルドアとヴォルデモートの話に関わってくるね。ちょっと後回しにしていい? 先にトム・リドルについてちょっと考えておきたいの」
「そこそこですか(笑)」
「本格的には無理だって。激しく間違ってはいないって程度でいいの」
「ふむ、それで?」
「ええと、聞いておきたいことは…最初は軽い話からいくね」
「うん」
「あのさ、私の設定だとリドルの孤児院を教会にしちゃってるんだけど、それってありかな?」
「ありじゃないの? むしろ孤児院って教会だと思うけど」
「あ、でもねえ。「あしながおじさん」ってあるじゃない。あれはアメリカの話だけど、ジョン・グリア孤児院って私設なんだよね。教会じゃない。そこの子たちは、確か教会通ってなかったと思うのよ。でも、傾向としてはプロテスタントだったような」
「慈善事業ってことね」
「んでも、あれ。第一次世界大戦があったじゃない。で、大量に孤児とか出来たと思うのね。だからやっぱそういう子たちは教会に臨時で収容されるしかなかったのかなあ、とは思う。思うだけで調べてないけど。ついでにリドルが生まれた頃は、もうその人達大人になってます」
「まあ、いいんじゃない。それで」
「するとね。リドルはプロテスタントだったということになる。英国国教会だから。でねー、また、リドルが神についてどう思ってたかが問題なんだよね〜」
「まあ、キリスト教とでも信じてる度合いが人それぞれなわけだし」
「つうか、そもそも魔法族がキリスト教を信じているかどうかがわからない」
「いや〜信じてはないでしょ。魔女狩りとかあったじゃない?」
「そんなんだよね。キリスト教の方は魔術を認めてないよね?」
「多分ね」
「あとさ、英国国教会って確か王が結構権限持ってるでしょ? …今は女王か。魔法族がイギリス女王をどう認識してるかって問題もあってさ」
「いるとは思ってるのかな?」
「そもそもさあ。魔法使いって昔は権力者と結びつく傾向にあったんじゃないかと思うわけ。とすると、王家は魔法族の存在を知っているはずなのよ」
「どう思ってるんだろうね」
「それが…あのさ。確か三巻で、シリウス・ブラックが脱獄するじゃない。その時、魔法省の大臣はマグルの首相に連絡しなければならなかったって言ってたのね。実際、マグルのニュースになってるのよ」
「ちょっと待って。てことはね、魔法大臣で魔法省でしょ? つまり大臣ってことは閣僚になるね。閣僚ってことは、絶対上に人がいるのよ。だから、イギリスでは女王が大臣の上にいるってことになる」
「えぇ!? それ知らなかった。ありがとう」
「そうなんだよね。日本でも総理大臣の上に象徴天皇がいるわけで。フランスとかドイツでも、大統領がいて首相がいる。首相ってのはナンバー2なのよ」
「うわ、助かる。ってことは、魔法使い達は一応女王の存在を知っているわけか」
「でもイギリスの王家は君臨すれども統治せず」
「……いてもいなくても同じってことですか…」
「そこらへん面白いよね。魔法界という異質な世界に入っていく。その過程ってある? いきなり異世界に対応してるようにも見えるけど」
「あ、あるよ〜。あのね、ハグリッドがヴォルデモート卿の話をするの。で、ハリーは最初わかってないから『例のあの人』のことを『ヴォルデモート卿』って呼んじゃって、それで回りから結構非難が来る。で、最後には 『ヴォルデモート卿』って名前を言わなくなるのね。で、ちょっと薄ら寒いものを感じて、「これが魔法界に入るということか」って考えてる」
「それは象徴的だね。あー、そもそも『例のあの人』って名称自体が非常に象徴的」
「あ、その話は次の項目でお願いします」
「私ら象徴的って言葉使いすぎだね」
「まぁ、いいんじゃないですか。象徴的だと思うから象徴的だと言うわけだし
」
「うぅむ、わかりにくいわ」
「つまり? 本当の名前があるのにそれを呼べないという状況に問題があるのね?」
「というか。現実を認識するためには本当の名前を呼ぶべきなのよ。いたずらに恐れて、問題を曖昧化してはいけないはず。自分が本物を見ていないのに、さも見たかのように語る人々が多いってのは、現代社会にもある現象だよ」
「たとえば?」
「在日ブラジル人に関する日本人に対するイメージ調査をしたことがあるね。あのね、在日ブラジル人のイメージは?って聞くと、例えばゴミ出しをしっかりしないとかいう話が出る。ところが、彼らは実際その現場を見てはいないわけ。なのに、さも見たかのようにその事実を語る。誰かがそう言ってたからこうなんだろう、と。イメージと現実がゴッチャになって、本物を見失っているの」
「ああ、名前を呼ばない。『例のあの人』という名称をつけて問題認識をしないと言うことで、却って恐れのイメージをふくらませてしまっているというのね」
「すると、ダンブルドアというトップの人が『ヴォルデモート』と本当の名を呼べとハリーに諭すのは、非常に意味のあることだと思うね」
「ああ、一巻の最初でね。マクゴナガル先生が『例のあの人』って言ったときに、ダンブルドアは注意してるのよ。貴女のような良識ある人がそのように本当の名を呼ぶことを恐れるとは、って。で、マクゴナガル先生は言い直してるのよね」
「ダンブルドアが恐れたのは、真実を見失うことじゃないかな。ヴォルデモートはそこらへんわかってて、敢えて『例のあの人』って名前を使わせていると思うの。恐怖の助長。人々の恐怖を糧にしているわけね。……これって確か、あの話だよね」
「うん。「うしおととら」」
「白面の者は、恐怖を力にしているわけだよね。…で、あれはなんで恐怖が止まったんだっけ?」
「それはあれだよ。獣の槍。あれが砕けたとき、みんなの頭の中の記憶喪失にさせる妖怪を排除してくれたの。で、みんな記憶を取り戻すのね。うしおととらが各地で白面の者とか色んな人と戦ってきたって記憶。それでみんな頑張るぞ! となって、恐怖が止まる」
「それだよ。つまり、各地を巡って妖怪を倒してきた彼ら。獣の槍ってのは、自分の経験に基づいた実証が、白面の者っていう恐怖のイメージを打ち倒すという話なの。……ってこじつけてるよ私(笑)」
「で、話はハリポタに戻って、恐怖というイメージ認識ではなく、本当の名前を呼んでモノの本質を理解することが大事ってわけだね〜」
「うん、なになに?」
「トム・リドルってのは、ヴォルデモート卿と一線を画してると思うのね。同じ人だけど違う人格」
「その違いってのはどこから来るの?」
「うん。まずね。リドルは自分の名前が嫌いで、さらに自分が嫌いなのね。で、リドル自身もマグルの父親から嫌われている。母親は彼は覚えていないけど、好きだと思うの。嫌う理由ないし。でも、結局現状において、トム・リドルという人間は望まれていないわけ」
「うん」
「で、彼はヴォルデモート卿になろうとするのよ。その通過儀礼が父親抹殺。リドル家の人々を殺したことが、ヴォルデモート卿への転機だったと思うの。もともとヴォルデモートって名前は考えてあって、在学中から親しい友人には洩らしてたそうだけど。自分を否定した父親を殺すことによって、彼は否定されない存在になった。しかも、ヴォルデモートという名前は自分で考え出した名前。つまり、リドルに望まれてヴォルデモートは生まれてきた。ある意味生まれ変わりじゃないのかな、って。ヴォルデモートは望まれて生まれてきた存在で、既にリドルとは違う……と彼は思っているんじゃあないかと」
「一回死んだときも、父親の骨を使って再生したんでしょ? 象徴的だね。何か神話入ってるんじゃない? ローリングさんってギリシャとかラテン語専攻で結構そこらへん作中に散りばめられてるって聞いたよ」
「そうかも〜。で、父親はトム・リドルという名前だしね」
「リドルはその名前が嫌いだったんだよね」
「あ、うん。でも…これ言ってなかったっけ? ヴォルデモート卿って名前、アナグラムなのよ。トム・マールヴォロ・リドルを入れ替えてアイ・アム・ロード・ヴォルデモート」
「ええ!? それ知らなかった」
「ごめん。言い忘れてた…」
「ってことは、全く新しい名前を創出したわけじゃあないってことね」
「うん。でも、もともと何か根拠があるものから、新たな名前を捻り出すってことに意味があると思うの。ゼロから作るんじゃなくて、ある程度自分に関わりのあるモノから作る」
「でも、それって、リドルとヴォルデモート卿は完全には切れていないってことだよ。それは物凄い意味があると思う」
「ああ、そうなんだよね。ヴォルさんって結局矛盾してるの。でも、その話は後でもう一度したい」
「おっけー。で、次は何の話題?」
「エディプス・コンプレックス?」
「そう」
「えーと、それだとリドルは母親が好きだって前提がいる…かな?」
「好きでしょう。覚えてないらしいけど」
「リドルを生んですぐ死んだなら、覚えてはいないだろうね。でも、母方こそが魔法族の血筋で、スリザリンの子孫だし。何より悪印象はない。父親に捨てられたということしか」
「でもそこで普通母親は恨まないって。あんな男に引っかかったってのは問題点だと思うけど(笑)」
「うん。だからリドルは母親が好き。そして母親は結局父親を愛してたんでしょう? 同じ名前を付けるくらいだから。リドルってね。父親の名がトム。祖父の名がマールヴォロ。ファミリーネームでリドル。母親の名前が付いてないっていう不思議があるのね」
「そうだね。まあ、とにかくこれで父親が殺される理由がもう一つ追加されるかな?」
「でも、エディプスの話だとさ。母親とは知らず、その女性と仲良くなるって筋だったんだけどね」
「まぁ、でも父親に対する、母親を取ったっていう意識はあるんじゃない? そもそも結婚していれば問題にはならなかったでしょう」
「それなんだけど」
「ん?」
「父親と母親が結婚しなかった理由って、母親が魔法使いだったからってだけかな?」
「というと…」
「つまり…、時間軸を追ってくと。父と母は恋愛をしていた。→リドルが出来た→魔法族だと告白する→別れる」
「…不自然だと言われれば不自然? 魔法族ってことを、子供が出来て結婚する段階になって告白したってことか…? いや、そもそもリドルの家はお金持ちだったよね?」
「そう。貴族ってほどじゃないけど、多分地主系。村の人々からは性格悪い一族で嫌われてました」
「封建的地主層かな? だとしたらこういう話もある」
「多分その程度の金持ちだよ。…なになに?」
「つまりね、英国って階級社会でしょ。母親が村人で、父親が地主層だったら、子供出来たらそりゃあ別れるよ。結婚できないもん」
「あー…身分差? でも地主階級は…」
「地主階級はポスト貴族でしょ? で、貴族ってのはそもそも下の階級の人とは結婚できないし、しないのね。この間、イギリス貴族青年と、よその屋敷のメイドの恋の漫画を買ったんだけど、結局結婚できないのよ。あと、社交界デビューの話とか結婚相手が決められているという話とか……その本今日持ってくればよかったな」
「ぜひ今度貸してください〜」
「資料になる(笑)?」
「なりますとも。…で、つまり、リドル父とリドル母が結婚しなかったのって、ひょっとしたら魔法族ってことなんて理由じゃなかったのかもしれないわけね?」
「真相は分からないけれど、結局リドルは魔法使いだから捨てられたって思いこんでる。ここはリドルの認識だけが全てだからね」
「それで、マグルを恨むわけですか…」
「あのねえ、もし父親が地主階級じゃなくて、貴族階級だったら、もっとリドルへの対応は緩やかだったと思うのよ」
「ああつまり、養育費を出すとか、里子に出してやるとか?」
「そう。でも実際はリドルは父方に引き取ってもらえなくて、孤児院暮らしなんだよね」
「だから…ええと。リドルが捨てられた理由は、本当はわからない。けれど、リドルはマグル父が魔法族母を捨てたと認識している。それがマグルに対する怨みとして出てくる」
「ちょっと待って。リドルは最初はマグルって概念はなかったわけでしょう?」
「あ、そうだ。ホグワーツから手紙が来るまでは魔法族を知らなかったはず」
「てことは、最初はただの父親に対する怨みなのね。それが、自分が魔法族だって知ったことによって、父親への怨み→マグルへの恨みに置き換わっちゃってる。ホグワーツからの手紙の意味はすごく大きかったはずだよ」
「あの手紙が、リドルが魔法族であることを証明しているから?」
「そう。そこで、魔法族とマグルというカテゴリー分けをしてしまったわけ。そしてリドルは魔法族」
「で、父親がマグルのカテゴリーに入る、と」
「するとね。父親に対する怨みがマグルに対する恨みに置き換わる。父親をマグル全体として感じている。個人を全体へ置き換えるってのは、何かに反抗している人に多くてね。社会をよく知らないくせに社会批判をする人とかは、実際は個人への批判を社会全体に置き換えてしまってるんだよ。それを本人も気付かず、ごく自然に行っている」
「うわ、リドルそれっぽいな〜」
「五巻以降で、ヴォルデモートの心理について語られなきゃ嘘だと思うよ」
「どうだろ…でるかな?」
「期待しましょう。謎解明のためにも」
「てゆーか、渡さなかったんじゃないの? 父親はケチって印象がある」
「あーでもね。それだと困るのよ。自己設定で、リドルのホグワーツへの入学資金は母親が残した手切れ金なの」
「え? でも孤児院で育ったんでしょ?」
「そこらへんは、仕方がないからシスターが保管してくれていたということで」
「頑張れ…」
「あとさ、また設定なんだけど。リドルって、個人計算だと、だいたい1937年くらいに11歳で、ホグワーツ入学年齢なの。それってもう、世界恐慌起こって、ヒトラーも出てるし、第二次世界大戦目前なのですよ。それに意味を付加したいんだけど」
「つまり?」
「うん。だから、リドルって学校卒業したら、普通に工場労働者とかになるしかないでしょ? で、後ろ盾ないから徴兵にも引っかかる。彼、上の学校に行きたかったんじゃないかな。ホグワーツで主席になれるくらいだから、頭はよかったわけだし」
「あー。学力による地位向上は、後ろ盾のない人がよくやるやり方だね。それによって、社会的地位を取り戻す例が多い」
「で、父親のところに行ってみたと思うんだ。そんなに期待はしてなくても、もしかしたら上の学校に行けるかも知れない。でも、そこで父親には拒絶される。リドルは父親を激しく憎むでしょう?」
「その時まさにホグワーツからの手紙が来た…と」
「そう。そして、手切れ金を資金にダイアゴン横町で買い物」
「マグルの世界を切り捨てた感があるね。魔法界という新たな世界で、彼は自己のアイデンティティの確立を図る、と」
「なんだかリドルが可哀相で仕方がないです」
「君が頑張って書いて救ってやりなさいよ」
「いえ…もう既に救いようないんじゃないですか…?」
「そっか。もう結果出ちゃってるもんねえ」