今更書くまでもないことですが私は004が好きです。
いつかその気持ちを書くことができるようになったら、恋文を書いて先生にお送りしよう...そう考えていたのですが できないでいるうちに、かなわぬこととなってしまいました。
彼を思い続けることはどうにも苦しく、その苦しさからいま、書いて(描いて)います。 それを最早先生にお伝えすることも出来ない以上、これからも苦しいままでいるのでしょう。
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そして...書いてしまおうこの話!相当女性にモテる(!)にも拘わらず唯一の、彼のキスシーンのある、この話について。
最近まで私はこれを最後まで読むことが出来ませんでした。キスシーン後の数ページ。正視できなかった。 その訳がやっと分かった気がしたので、それを書いてみます。
『機械仕掛けの心臓編』
ストーリーはシンプルです。親の愛情不足ゆえに寂しさから荒れる少女。チンピラに脅される彼女を通り掛かりに救った004は 彼女に懐かれ、まつわりつかれます。彼女が本当は素直で優しい「いい子」であることを彼はすぐに見抜きます。 愛を求めて自暴自棄の大人ぶった少女は体も捨ててしまおうと彼を求めますが...。
彼女、思いっきり甘やかして可愛がってあげたい。(初めて読んだときは、自分とそうそう年も 違わなかったので妬きまくったが。(^_^;)
いや、この翌朝のシーンのディテールがいい!!朝食作っておいてあげたりして、マメ!そして
「お化粧なんかしないほうがずっと可愛いよ」こういうこと言うから!この女殺し!(^^;☆\(-_-)ばし
彼女に色々言い聞かせた彼は立ち去ろうとしますが縋り付かれます。
彼は少女を「甘えるな」と言って断ち切りつつキスします。辛くて寂しくても負けずに生きている、自分もその一人だと。 その背景のチンピラ達と対照して二人のなんと端正に見えることか。彼女に自分の苦しみ、「女の子ひとり抱くこともできない」 理由でもある機械の腕を見せて彼は去ってしまう。
さて、何故私はその最後の数ページを正視できなかったのか。その腕を見るのが辛かったというのももちろんあるのですが...。
このくちづけの意味を私は長い間考えてきました。最初はcharity kissだと思っていた。でもそうではないのかもしれない。
甘えるなと言っておきながら最後、このわずか12歳の少女に甘えてしまっているのは彼の方ではないのか?
この傷ついて折れそうな小枝に、口唇を支点にして、彼はもたれているのではないか?その誰にも支えきれない重い心の全てを 凭せ掛けてしまっているのではないだろうか。
正視するのがつらいのはこの不均衡だ。
ただでさえ傷ついている少女に自分の苦しみを投げつけたまま、その苦しみの重さに押しつぶされるようにして行ってしまう彼。 その象徴である手袋だけを残して。それを胸に抱いて涙を流す少女は、その後どう生きたのでしょうか...。
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先生が描きたかったのは不良少女の更正ではない。それを手助けした004の優しさでもない。 ただ、彼の剥き出しの、『機械仕掛けの心臓』だったのでしょう。(1999年11月27日記)