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雑音に敏感であることの美徳


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5月8日
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■彗星を超えて

読み滞っていた島田雅彦氏の『彗星の住人』を昨晩から再開した。やや夢中になり始めたのでハードカバーにも関わらず持って外出。非読書家を自負する私がそんな重たいものを持ち歩くなんて、非常に稀であった。

電車内。空席を確保し読む態勢も万全。と、本に落としたはずの視界に異物感を感じる。視界には本と床、向かいの座席に座る人々の足・足・足。その中の1対の足に視線は集中した。

アイロンのきいたパンツ、きちんと磨かれた黒いシューズは光りを放っていた。しかしその両足首に巻かれたウェイトは何だ?その威風堂々っぷりは運動不足を間違った方向で反省したオジサマかしらん?…その予測と期待は、あっさりと裏切られた。

足首の主は健康的に日焼けした端整な顔立ちの若きサラリーマン。ちょっぴり黒田アーサー似なので白田アーサーといったところか、いや、浅黒田アーサーか?アサ・クロダ・アーサーって語呂がいい、なんてどうでも良いことばかり気になってしまった。左手の薬指には指輪が光る。奥さんよ、止めないのか?もしや健康器具の営業さんか何かで商品PRのためにアッピール中なのか?

今やカメラ付携帯という便利なツールがあるが、私のように盗撮を試みる不届きな輩がいるからだろうか、シャッター音がやたらとデカイ。これもマーシーの法則か。そんな訳でラッキーな現場に遭遇したにも関わらずリアル映像をお届けできない不甲斐なさをお詫び申し上げます。

結局、本は1頁も読み進められることなく終わった。やはり私にはフィクションの世界よりもリアルワールドにおける人間観察の方が、魅力的みたいだ。


(2004-05-08/C)




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