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ウルトラマンメビウス外伝 RAYGA

 第13話 進み行く先、路の彼方 その6

「どういうことだ!? 接触したのか!?」
 GUYSスペーシー隊長の問いに、オペレータが首を振る。
「まだカウントダウンの途中でした! 増速した気配もなし! 接触してはいないはずです! 機雷が……勝手に!?」
「そんなわけあるか! ……そうか、断層スクープテイザーか!? 確認しろ!」
 別のオペレーターが素早く録画映像を巻き戻し、問題の最初の爆発の場面を超スローで流す。
 確かに隊長の予想通り、ディノゾール・タイラントの口元辺りで光が走り、次の瞬間ライトンR30マインが爆発していた。
「やはり……しかし、どういうことだ!? 前回の時は、こんなことは……」
「頭がいいのか目がいいのか、いずれにせよこれは――」
「――隊長、他の固体も断層スクープテイザーを!」
 解析中も継続して状況を見ていたオペレーターの声に合わせ、ライブ映像ウィンドウがメインパネルの最前面に表示される。
 それはいっそ爽快感さえ感じさせる映像だった。
 時折流星のように走る閃きは、彼らの水素分子を集める舌、断層スクープテイザーの斬光だろう。ディノゾールの群れの進行方向及びその左右に展開している機雷群が、彼らの射程距離内に入るなり、全て爆発してゆく。まるで掃除でもしているかのように、一つ残らず。
 空気のない宇宙空間では、爆発の衝撃は地上のようには伝播しない。従って爆発の威力は、それが放つ熱と光のエネルギーだけとなる。(もしくは、それ以外の例えば直接空間を揺るがすような、なにか別の力など)
 それらは距離が離れれば離れるほど威力の減退も著しいため、いかにキング・ジョーを破壊する威力を持つ機雷だとしても、この距離で爆発させられたのでは、ディノゾールを倒す威力を持ち得ない。
 隊長は悔しさをにじませて呻いた。
「くそ……どういうことだ。なぜ、他の個体までディノゾール・タイラントの真似を」
「渡り鳥に限らず、自然界における動物の群れの生存率や行動規範は、リーダーの優秀さに左右されると聞きます。リーダーであるディノゾール・タイラントの行動から、前方にある異物が危険と判断し、排除にかかったのでは」
「う、む……。その仮説はもっともらしいが、それを検証している時間はないな。このままでは防衛線が突破される! GUYSスペーシーの総力を挙げてあれを止めるぞ! 待機状態の機雷を動かせ! 奴らの断層スクープテイザーは前方には強いが、背後などの視界の外には届かんはずだ。後方からぶつけろ! それから、怪獣要撃衛星も起動、攻撃開始! フォワードも出撃だ! 一体たりとも逃すな! ……ガイズ・サリー・ゴォー!!」
 方々からのG.I.Gが響き、宇宙ステーションはにわかに活気を帯びた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。 
 GUYSジャパンの面々も、状況の把握・解析に努めていた。
「断層スクープテイザーで機雷を撃破ですか……。ちょっと予想外に頭がいいですね、こいつら」
 セザキ・マサトの呟きに、今は誰も応えられない。
 それまで忙しくコンソールを操作していたイクノ・ゴンゾウが、顔を上げた。
「予測値、出ました」
 メインパネルに新しいウィンドウが開き、ディノゾールの群れを示す大きな矢印の侵攻ぶりを進めてゆく。外縁部で個体を示す光点が消えるたび、わずかに矢印の大きさが縮小してゆく。しかし、それでも群れの個体半数以上が機雷源を突破するという結果だった。
「見ての通り、このままだと大半が突破してしまいますね。GUYSスペーシーも全力で阻止に当たっていますが……全個体の地球侵入を防ぎきるというのは相当難しいかと」
「現状で考えられる限り最速の、大気圏突入時刻は?」
 アイハラ・リュウの問いに対し、コンソールをいくつか叩くイクノ・ゴンゾウ。
 それ以上縮小しなくなった画面の矢印はそのまま真っ直ぐ下方へと伸び進み、地球の円弧へと到達する。
 そこで表示される時刻は――
「日本時間で明日の朝8時ごろですね。ただし、ディノゾールは大気圏内の飛行能力を持っています。侵入空域と侵入角、着陸地点、着陸時間などは必ずしも計算どおりには一致しないでしょう。どこでどの支部が担当するかは、その時にならないと」
「つまり、日本支部の管内で複数を相手にする可能性もあるということだな」
「ありえる予測だと思います」
「マサト! ディノゾールが複数日本に飛来した時の戦術、立てられるか!?」
 聞かれたセザキ・マサトは即座に頷いた。
「はあ。条件はなにかあります?」
「GUYSアローを含めたGUYSマシン一機で一体撃破だ」
「ふ〜む……問題は断層スクープテイザーの射程ですかね。しかし、わかりました、GUYSマシン別に作戦を組み立ててみます」
「よし。リョーコ、タイチはマサトの作戦立案に加われ。ミオはマサトのバックアップ。ゴンさんは引き続きGUYSスペーシーの動向を注視。状況に応じてマサトの作戦立案へのアドバイスも頼む。俺は、アライソのおっさんにアローを――」
 その時、メインパネルに新たなウィンドウが開いた。そこに映っているのはミサキ・ユキ総監代行。
『アイハラ隊長。状況は見ていたわね? 時間作れる?』
「ああ、今そちらに連絡をしようかと。こっちは今、マサトに戦術立案を指示したところです」
『わかりました。では、戦術立案はそちらに任せます。それ以外の対応についても詰めておきたいわ。トリヤマ補佐官もおいでになるし、総監執務室へお願いできるかしら』
「了解しました。すぐに向かいます」
 頷いて、ミサキ・ユキの姿は画面から消えた。
 すぐにアイハラも席を立った。
「よし。そんじゃ、アライソのおやっさんにGUYSアローの出撃準備を頼んでくる。あと、ついでにサコミズ総監とミサキさんに会って、どの時点で出撃するかの打ち合わせもしてくるからな」
「ついでと主目的が逆です」
 冷静な突っ込みは、メガネのレンズをきらめかせたシノハラ・ミオ。
 苦笑したアイハラ・リュウはしかし、訂正せずに軽く手を振った。
「堅いこと言うなよ。じゃあ、行って来る。後は任せるぞ」
 五人のG.I.Gを背に、アイハラ・リュウはディレクションルームを出て行った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 オオクマ家。
 ユミとシロウ、シノブは夕ご飯を食べ終わり、片付けも終わって、ちゃぶ台で一服していた。
 たあいもない世間話をしながら、テレビを見るともなしに見ていると、テロップが流れた。

『GUYSスペーシーによる宇宙怪獣撃退作戦が失敗』
『明朝、地球に複数の宇宙怪獣が降下してくる目算』
『飛行能力を持つため、降下地点の特定は困難』
『明日の航空機、船舶は離発着を全て中止』
『政府機関・各自治体・GUYSによる続報をお待ち下さい』

「あらまぁ」
 湯飲みをすすりながら、それほど緊迫感のない声でシノブが驚く。
「どこへ降りて来るかわからないって……怖いですね」
 湯飲みを両手で包むようにしているユミも、不安そうな顔つきで画面に見入っている。
 しかし、シロウだけは鼻で笑って疑問を呈した。
「そうかぁ? 俺が戦わなかったのも含めてこの一年で見てきた感じ、宇宙から来る奴らがどこへ降りて来るのかなんて、わかった試しの方が少ないんじゃねえのか?」
「……そういえばそうだわね。昔もそうだったわ」
「確かに。……そしてなぜか日本に来るんですよね〜」
「まあ、この近所に来たら俺がぶっ倒してやるだけだがな」
 オオクマ家の夜は、世界の焦りとは隔離されたように安穏と過ぎてゆく。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 翌朝。

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
 泊り込んで作戦立案をしつつ、事態の推移を見守っていたCREW・GUYSジャパンの面々だったが、いよいよの報告がイクノ・ゴンゾウからもたらされた。
「GUYSスペーシーの奮闘で大多数のディノゾールは撃退出来たようですが、それでもディノゾール・タイラントを含めて十数体の個体が降下してしまうことになった模様です」
 メインパネルに、その模様が模式化されて表示される。
 ディノゾールの群れの側面から回り込んだ移動機雷群と、GUYSスペーシー・フォワード部隊のスペースウィンガー等のGUYSマシンの横撃を受け、群れを示す矢印は前後に分断された。
 リーダーを含む先行群はそのまま地球へ向けて進行。圧倒的多数の後続群の針路変更と撃滅、それ以上の降下阻止を最重要戦略目標としてGUYSスペーシーが奮闘した結果、今回もディノゾールの群れによる地上蹂躙という最悪の結果だけは免れた。
 だが、防衛線を突破してしまった十数体は、背後からの攻撃を受けることもなく、刻一刻大気圏内へ降下し続けている。
 報告を自席で腕組みをしつつ確認したアイハラ・リュウは、よしと頷いた。
「予想外の展開だったにしちゃ、十分な成果だぜGUYSスペーシー。こっからは俺たちの出番てわけだ。――ミオ、降下してくる個体の個別追跡体制は?」
「総本部からの通達もあり、地球上全支部のレーダー捕捉情報をシームレスに確認できます。飛行能力の懸念はありますが、ある程度の着陸地点予測は可能です」
「現在の予測はどうなってる?」
「現状のコースは北緯40度付近から30度付近へと遷移しつつ、地球の自転とは逆方向に進行していますので、このままなら日本では東北から九州にかけての太平洋側上空から領空へ侵入して来ることになります。相手が水素を求めているのなら、そのまま海へ着水することも考えられますが」
「予断を持たずに監視を続けろ。ゴンさんも後続がないかどうか、GUYSスペーシーの戦況の把握を継続。――リョーコ、準備はどうだ?」
 メインパネルにヤマシロ・リョウコの姿が映った。その手にはラインの接続されたトライガーショットが握られている。
『G.I.G。準備はオールオッケー。それにしても、すごいね。ここ』
 感じ入った様子で辺りを見回す。ウィンドウ背景には、フェニックスネスト周辺の町並みが映っている。
 そこで、トリヤマ補佐官のウィンドウも開く。
『むふふふふ。名づけてV・R・S・R――バーチャル・リアリティ・シューティング・ルームだ。過去のシルバーシャークGマニュアル対応は諸君らの先輩の分も含め、目覚しい戦果を上げてはいたが、その前準備にはかなりの煩雑さが伴っておったからな。緊急時の使用には向いておらなんだ。そこを解消するために作られたのが、その部屋だ!』
『は〜……なんだかよくわかんないけど、自分がシルバーシャークとより一体になった気がするよ』
 辺りを見回しながらうっとり呟くヤマシロ・リョウコに、トリヤマ補佐官も我が意を得たりと頷く。
『そうだろうそうだろう。なにしろこの基地の周囲360度の風景を室内のフルスクリーンに投影し、望遠・拡大・各種情報の表示も自由自在。そのうえ、施設を地下の臨時本部用スペースに併設したことにより、フェニックスネスト出撃時にもその援護が出来るようになっておる。ヤマシロ隊員! 君の力、遺憾なく発揮したまえ!』
『G.I.G!! ありがとう、トリヤマさん! ……正直、宇宙で停まってる戦艦や、地上をのそのそ歩いてるロボット狙うのとはわけが違うからね。高速で飛来する敵を全部落とすのは……あんま自信なかったけど、やれるだけやってみる!』
『――ふっ。そのときのための俺たちだ。気兼ねなく撃ちもらして構わないぞ、ヤマシロ隊員』
『そーそー、がんばれリョーコちゃん♪ ――そんなわけで、隊長。こちらも発進準備完了です。いつでも出られます』
 カタパルト上で待機しているガンブースターとガンローダーに乗り込んだクモイ・タイチとセザキ・マサトのウィンドウも、それぞれ画面上に現れる。
 アイハラ・リュウは頷いて、立ち上がった。
「よし。……もう俺から言うことはなさそうだな。いいチームだぜ。では、作戦を開始する。――ガイズ・サリー・ゴー!」
 画面上に現れたトリヤマ補佐官を含む四人とディレクションルームの二人を合わせた全員で、G.I.Gの唱和が響き渡った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 同時刻、オオクマ家。
 朝ご飯を終えたシロウがテレビで怪獣の大気圏内侵入ニュースを見ていると、食器の片づけを終えたシノブがやってきた。
「あ、かーちゃん。お茶どーぞ」
 シノブの湯飲みに急須からお茶を注ぎ、ことりと置く。
 ありがと、と告げたシノブはちゃぶ台について、ひとまずお茶で一服した。
「で、怪獣の方はどうだい?」
「十数体が地球に降りてくるみたいだな。GUYSが既に対応してるそうだが、正直地球上のどこに降りてくるかはわからんってさ。ただ、日本に来る可能性も低くはないみたいって」
「そうかい」
 もう一口あおって、シノブは湯飲みを置いた。
「ところで、シロウ」
「あん? なんだ、かーちゃん」
 テレビ画面から目を離し、シノブを見やるシロウ。
 シノブは至極真面目な顔で続けた。
「一昨日の夜からずっと考えてたんだけどね。郷さんの話、しておくよ」
「郷秀樹の? ……なんかあったのか?」
 慌てて居住まいを正して正座をし、きちんと向き合う。
「ああ。お前が光の国へ連れ戻される、本当の理由だよ」
「………………は?」
「実はね……――」

 …………………………………………。

 シノブは、郷秀樹から伝えられた状況と懸念をシロウに伝えた。
 それを聞いていたシロウは、最初こそ驚いたものの、途中からうつむいて考え込み、最後は眉間に皺を寄せて唇を引き結んでしまった。
「――というわけさ」
「なんで……あいつ、俺にはそのことを言わないで、かーちゃんたちに」
「言えば、お前は帰る決断をするかもしれないが、それでもそれは脅されたようなものと感じるからじゃないかい? それに、そんな風な理由で帰るなんて、お前はみんなに説明したりしないだろう?」
「……………………」
 図星を指されて、答えられない。
 シノブは続けた。
「シロウがどんな思いを抱いていようと、帰らなきゃいけないのなら、せめてきちんと私たちとお別れが出来るように仕向けてくれたんじゃないかしらね。優しいあの人らしい心配りだと、私は思うわ。少なくとも、私やエミちゃん、ユミちゃんはあの説明で納得しちまったしね」
 ああ、それで、という思いが胸をよぎる。一昨日からの、ユミの奇行のわけがこれでわかった。シロウとはもう会えなくなると知っての行動だったのだ。そこに込められた好意の重さに、あの時以来の自分の態度の迂闊さが呪われる。
 そして、それでもなおこれまでと変わらぬ態度で接してくるエミ師匠。
 その心中を思いやれば――決戦の夏を一緒に迎えられないと受け入れた上で、あの態度だったというのなら……なんと強い心のあり方なのだろう。やはり、師匠は師匠だ。
 そして、今。
 そのことを包み隠さず話してくれたシノブ。話せば、みんなをその見えざる脅威から守るために、光の国へ帰るという選択に傾かざるを得ないとわかっていてなお、正直に告げてくれた。

 ああ。

 みんなの思いが。
 痛いほど、優しい思いが。
 胸に沁みて、熱く、暖かい。

 俺は。
 これほどまでに。
 思われ、想われ……
 
 愛されていたのか。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
 シノハラ・ミオが報告する。
「モンゴル高原上空で大気圏内に侵入したディノゾール、いくらかがばらけて着陸体勢に入りました。GUYS・EUが、ロシア、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、スイスへの侵入を確認、直ちに出撃していますが……ちょっと苦戦しそうですね。また、大西洋を越えてGUYS・USAも、カナダ・オンタリオ湖とロッキー山脈に1体ずつディノゾールの降下を確認。総本部戦力も含め、現在対応中」
 メインパネルの世界地図、モンゴル上空から現れた大きな矢印は、シノハラ・ミオの説明どおり、途中で細かな矢印に分岐して、少しずつ小さくなりつつ、北半球を西へ西へと進んでゆく。
 半分ほどの大きさになった矢印はさらに北太平洋を突き進み、確実に日本へと近づいている。
「ディノゾール・タイラントは……群れのかなり後方にいるようです。なぜか大気圏突入後、進行速度が落ちています。それを含めて残り個体数は9体。このまま日本領空へはほぼ100%到達、侵入します。着陸するかどうかは依然不明ですが。――ミサキさんより政府通達。国土侵入前に撃滅せよ、とのこと」
「GUYSスペーシー、現在離脱軌道に乗った残りの群れの監視及び、撃滅時にディノゾールリバースに変化した個体の排除に全力を挙げています。現状では地上への援護は一切出来ないとのことです」
「了解した。まさしく備えあれば憂いなしってな状況だな。……マサト、タイチ!」
 シノハラ・ミオに続いて、イクノ・ゴンゾウの報告にも頷いたアイハラ・リュウは、メインパネルにセザキ・マサトとクモイ・タイチを呼び出した。
「迎撃するぞ。ガンブースター、ガンローダー、発進!」
 二人のG.I.Gを聞きつつ、今度はヤマシロ・リョウコのウィンドウを最前面に呼び出す。
「リョウコ、出番だ。確認できるか?」
 ヤマシロ・リョウコは目を細め、VRSRの壁面に表示される画像を見つめる。
『ん〜……まだ、かな。ミオちゃん、まだー?』
「地球は丸いのよ。そして、そこから見える日本の領空は水平線の彼方までも続いているんだから、限度があるわ。望遠で捉えられる距離まで来たら――来たわ! 北東、2時13分の方向! マーカー表示、出るわ」
 シノハラ・ミオの言葉どおり、VRSRの一角にマーカーが現れた。
 たちまちヤマシロ・リョウコの頬にハンターの笑みがこぼれる。
『キタキタキタ! よ〜し、じゃあ隊長!』
「ああ。先手必勝だ! やれ!」
『G.I.G!!』
 アイハラ・リュウの命令を受け、トライガーショットの銃口をマーカーに向けたヤマシロ・リョウコは、唇を舐めて湿し――引き金を引いた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 オオクマ家。
「でも、郷さんを恨むんじゃないよ」
 シノブの言葉に、シロウは黙って頷く。
「あの人は、シロウだけでなく私たちも守るために、お前に憎まれたり恨まれたりすることを承知で、そんなことをしたんじゃないのかって、思うんだよ」
 ふと、シノブの物憂げな眼差しが、仏壇に向かう。
「……思えば、郷さんはとーちゃんに似てるかもしれないね。とーちゃんも世のため人のため、自分の苦労や自分が悪く思われることなんか、屁とも思っちゃいなかった。人を大事にして、絆を大事にして、笑顔を大事にしてた」
 頬杖をついて懐かしく遺影を見つめ、頬に浮かべる笑みは、おそらく本人も気づいていない自然な表情の綻び。
 ふと、その視線がシロウに戻ってきた。
「だからシロウ。私はあんたに言っておかなきゃいけないことがある。黙って聞いとくれ」
 シロウは怪訝そうに、しかし、言いつけどおり黙って頷いた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 関東は房総半島遙か沖合い上空。
 フェニックスネストのあるGUYS日本支部から放たれたシルバーシャークの光線は、ディノゾールの一体を脳天から尻尾の先まで貫き通して、爆散させた。
 たちまち、怪獣たちの群れは怒りの咆哮を上げつつ回避機動に入った。海へダイブしてゆく勢いで、海面上ギリギリへ高度を下げてゆく。
 それを追う光線の連射が、もう一体を背中から腹まで貫いて爆散させ、もう一体の尻尾を焼き斬った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
「ディノゾール、二体撃破。一体尾部に損傷も健在。海面近くへ下りたため、これ以上は――」
『ミオちゃん! なにこれ!? 画面に射撃不可とかって出てるんだけど!? オーバーヒート!?』
 シノハラ・ミオの報告の最中に、ヤマシロ・リョウコがメインパネルに現れた。背後の360度フルスクリーンに点滅する『射撃不可』の赤い文字。
 瞬間、顔をしかめたシノハラ・ミオだったが、すぐに求めに答える。
「角度的に千葉房総半島の陰に隠れたのよ。シルバーシャークは威力がありすぎるから、射線上に住宅地があるときは、緊急事態時以外での水平及び低角射撃は不可よ。あなた、山とか造成地の宅地とかぶち抜いてでも撃ちたい?」
『なるほど〜。って、あたしの活躍これだけ!?』
「でも、二体撃墜は大したものよ。もうそこはいいからハンガーへ。ガンウィンガーが発進準備を整えて待ってるわ」
『ちぇ〜、全部射ち落としてやろうと思ってたのに。ま、いいや。じゃあ、リョーコちゃんはハンガーからガンウィンガーで出撃します』
「よろしく」
 ヤマシロ・リョウコとの通信が落ちる。
 すかさず、アイハラ・リュウが訊ねた。
「――ミオ、敵の進路は?」
 シノハラ・ミオはレーダーの情報と予測進行方向を、改めてメインパネル上に表示する。
「高度は下がりましたが、進行方向に変更は――いえ、今変わりました。再びバラけます」
「各個体の行き先追尾。フォワード陣に優先対処情報提供。ハンガーに連絡して、GUYSアロー出撃準備だ」
「G.I.G!!」
 シノハラ・ミオの指がピアノを引くがごとく、優雅に、かつ激しくコンソール上を動き回る。
「各個体の進行方向、出ました!」
 メインパネル上、日本近海の地図に表示されていた矢印が、千葉房総半島沖で散弾のように別れた。
「――二体が北方面。おそらく、想定目的地は猪苗代湖。直進して関東方面が二体。こちらは、想定目標が多くて絞りきれませんが、このままのルートで進むと津久井湖、相模湖、多摩湖、狭山湖、そして奥多摩湖などが有力です。西方面へ向かうのも二体。房総半島南端をかすめて伊豆半島を横切るルートですので、琵琶湖かと。そして、残り一体が南へ。これは……尻尾を失った個体です。想定目的地は不明。単なる退避行動とも考えられます」
 その時、突然通信回線に割り込んできた者がいた。ウィンドウが開き、青い制服に青いヘルメットをかぶったCREW・GUYS隊員のコクピット画像が表示される。
『よぉ、リュウ! 南へ向かう尻尾なしはこっちに任せなよ』
「イサナ!?」
 へへっといつものスマイルを浮かべたGUYSオーシャン隊長イサナ。
『こっちに来るって話だったからな。網を張ってたんだよ。北米西海岸沖合い担当の連中もやる気だったんだが、高度の関係やらで取り逃がしちまってな。ま、俺たちの方も担当空域が広すぎてさ、応援に間に合いそうなのは俺だけなんだけど。なんにせよ、とりあえずここで叩くぜ!』
「助かる。頼んだ」
『尻尾がないってこたぁ、リバースにゃならねえってことだよな? んじゃ、さっさと叩き落して、他の場所にもすぐ応援に駆けつけてやるからな。よろしくぅ』
「ああ、期待してるぜ」
 頷くアイハラ・リュウにいつものハンドサインを見せて、イサナのウィンドウは閉じた。
 そして、アイハラ・リュウもヘルメットをつかむ。
「ミオ、俺の相手はどれだ」
 シノハラ・ミオはしばらく画面を見据えた後、答えた。
「ヤマシロ隊員とともに関東へ近づく二体の迎撃をお願いします。クモイ隊員は西。セザキ隊員は北方面を。それぞれもし想定目的地を通り過ぎた場合は、それ以上の追尾は後に回し、他地域への援護へ回ってください」
「了解。じゃあ、出撃してくる。後は頼んだぜ」
「G.I.G。……御武運を、隊長」
 ヘルメットを抱えたアイハラ・リュウは、シノハラ・ミオに親指を立てて見せてディレクションルームを出て行った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 オオクマ家。
「まず最初に。オオクマ家の総意として、今の件でシロウを追い出すようなことは、一切望んでない。それは、家からという意味でも、この地球から、という意味でも、だよ。だから、私たち家族を守ために地球から去る、なんてことは言ったら怒るからね」
「……………………」
「お互いを守り合うために団結すること。誰かを排除して安穏に暮らそうなんてことは許さない。それがオオクマ家だよ。とーちゃんの遺した意志だ。シロウ、お前もオオクマ家の一員なんだから、もしそんなことを考えているのなら、今この場で捨てなさい」
 シロウは頷かなかった。不満げに口を尖らせて、しかし言いつけどおり黙っている。
 いや、言いつけがなくとも黙っていただろう。とーちゃんの残した意志、とまで言われては。
「降りかかる火の粉は自分の手で振り払う。手が足りなければ、お互いに手を貸し合う。誰か一人に任せ切りにしない。それがオオクマ家の誇りです。今のお前ならわかってくれると思うから……この際、はっきり言っておきます」
 おほん、と一つ咳を払い、表情を厳しく整えるシノブ。
「あなたを付け狙う件(くだん)の相手が、もし私たち家族の誰かを襲い、あまつさえ坂田さんのお兄さんお姉さんのように命を奪ったとしても、それをシロウ、あなたが自分のせいにすることは許しません」
 シロウの表情がたちまち曇った。しかし、言いつけを守って口は開かない。ただ、ちゃぶ台の下で拳を握り締めた。
「たとえあんたへの嫌がらせやなんかで殺されたとしても、私はあんたなんか恨みはしない。イチロウ、ジロウ、サブロウも……あの時、その場にいたエミちゃん、ユミちゃん、ヤマシロさんも同じ意見だよ。悪いのは犯人の方であって、お前じゃない。それをしっかり肝に銘じておいてちょうだい」
「でも…………でも俺は……かーちゃんが殺されるぐらいなら……」
 つい耐え切れず、シロウは口走っていた。
 それは正しく心の声。
「いいや。かーちゃんが、エミ師匠が、ユミが、他のみんなが殺されるくらいなら……俺は光の国へ帰る。俺はみんなを救いてえんだ」
 そうだ。皆に自分の助力が必要ないのなら、自分がみんなのためにできることは、もうそれしか残っていないではないか。
「そうかい」
 少し残念そうに、シノブはため息をついた。しかし、すぐに顔を上げて言葉を次ぐ。
「まあ、最終的に帰るか帰らないかはお前が決めることだからね。そっちの件については、なにも言わないよ。でもねぇ」
 自然な雰囲気で身を乗り出したシノブの拳骨が――電光石火、シロウの脳天に落ちた。
「ごあっ……な、なんで!?」
 予想外の攻撃に、頭を抱えて転がりまわったシロウは、涙目で問い質す。
 その目に、シノブは怒りに燃える目で応えた。
「最初に言ったわよね。私たち家族を守ために地球から去る、なんてことは言ったら怒るって。思い上がってるんじゃないよ。それに、色々間違いすぎだよ! あんた、何様のつもりだい。みんなを救うってなんだい!」
「い、色々!?」
「お前の敵はオオクマ家の敵。自分独りで、自分独りが戦っている、と言う考え方が思い上がりの間違いでなくて、なんなんだい?」
「けど、地球人の力じゃ、そんな敵からは――」
「はい、そこも間違い」
 ぺし、とシロウの額を叩く。
「たとえば、ユミちゃんに嫌がらせをしようとする人がいて、あの子と仲の良いあんたを襲ったとしよう。その時、あんたはその相手をユミちゃんがなんとかすべき相手だからって、なにもせずにやられちまうかい?」
「そんなわけねーだろ!? ぶちのめして返り討ちにしてやる。俺を狙ったことを、ユミに嫌がらせをしようとしたことを、後悔させてやる」
「そう。相手にどんな事情があろうと、向かい合ったならそれはもう自分の相手だ。自分の直面した困難で、試練なんだ。もしも、あんたの力と運が及ばず、あるいは命を落としたとしても、それはユミちゃんのせいかい?」
 シロウは思わず、息を飲んだ。前提こそ違うが、同じようなことが去年の夏にあった。
 ユミとエミを守るために、ツルク星人に斬られ、貫かれ、命を落としかけた。確かにあれは、シノブの言うとおり自分の『力と運が及ばず、あるいは命を落とし』かけたケースだった。だが、彼女たちを守るために取ったその行動を、後悔したことも二人のせいだなどと思ったことも一度たりともない。
「そんなわけねえよ。いざとなりゃ負ける気なんかないし、負けたくもねえけど……たとえ負けたとしても、それはユミのせいなんかじゃなくて、ただ自分の力が……」
「そういうことだよ。お前のその覚悟は、お前だけのものじゃない。いいかい。困難や試練てのは、今現在の力のあるなしに関係なく襲ってきて、敗れれば命を落とすこともある。……病気という試練に敗れて死んだとーちゃんみたいにね」
 仏壇を――そこに飾られている遺影を再び見やり、少し悲しみ混じりのため息をつく。
「あんなに元気で、あんなに賢くて、あんなに優しくて、あんなに人気者だったとーちゃんだって、病気にかかって死んじまった。シロウは頑丈な身体と地球人にはない色んな力を持ってるから、あんまり気にしたことはないかもしれないけど、死ぬということは、命あるものにはいつでもつきまとってる。明日、階段踏み外して頭打って死んじゃうのも、あんたを狙う悪い奴に殺されるのも、私にとっちゃ一緒なんだよ」
「けど……俺はみんなに死んだりしてほしくねえよ。そういう悪党から、卑劣な企みから、少しでもみんなのことを守りたい、救いたいってのが思い上がりだってんなら……俺はどうしたらいいんだよ。今までそうして戦ってきたんじゃねえか、俺は!」
 泣きそうな顔でちゃぶ台に目を落とすシロウ。
 シノブはその頭を、そっとなでた。
「だから、生きるか死ぬかは本人の力と運次第。その結果までは、お前が背負わなくていいんだ。お前なら全部救える、そんな力があるはずだなんて思っている、それが思い上がりだというのよ。でもね……困っている誰かを助けることは、死んでほしくない誰かを守るために戦うことは、正しいんだよ。これまでお前がしてきたことは、なにも間違ってないし、私は命を懸けて戦ってきたお前を誇りに思っているよ」
「かーちゃん……」
「だからこそ、ここでお前に間違ってほしくないのさ。誰かを助けるというのは、危機から救うということじゃない。一緒に危機という困難・試練を乗り越えるということ。もしも、助けられる側が無力で、お前の力だけでその困難や試練を乗り越えたのだとしても、それを『救った』などと思うのは、思い上がり。お前に助けられたその人には、運があったんだ」
「運……」
「世の中には理屈や理論だけでは説明し切れないものが山ほどある。人と人の絆や、それ以前の巡り会い、運もそう。それを大切にし、そうした巡り合わせに感謝しない者は、いずれ自分だけで世の中は動かせると思い上がる。……自分がここから去れば、みんなが安全になると思い込んでる今のあんたのようにね」
「違うのか……? だって、今の郷秀樹の話じゃ、相手はウルトラ族を狙って」
「あんたがいなくなったって、絶対安全とは言えないってイチロウとジロウは言ってたよ」
「兄貴たちが? なんで?」
「ウルトラ族に関わったというだけで、命を狙う可能性だって0じゃないそうさ。最初に言ったように、お前に対する嫌がらせってだけで襲ってくるかもしれない。郷さんも言ってたけど、既に地球という星そのものが、ウルトラマンの友達と見られている節もあるからね。そんな時、お前は光の国から助けに来られるのかい?」
「そんな、の……無理だ」
 300万光年の距離は、ウルトラ族の超能力を以ってしても絶望的に遠い。
「お前は、そんなのを『守った』とは言わないだろう? どのみち、みんなの命を一つ残らず守るなんて、一人だけの力ではできやしないのさ。そして……自分独りの力で何とかできると思い上がってはいけないけれど、同時に悪いことを企む奴を甘く見てもいけない。それが、私からあんたに最後に言っておくべきこと」
 シノブはシロウの右手を両手で包むように持って、優しく微笑みかける。
「あんたが、私たちから危険を遠ざけたいと思ってくれることは、本当に嬉しい。でもね、それを0にすることは出来ないんだ。それも心に留めておきな。その上で、決めなさい。なにを選択するか」
「……………………」
 黙りこくってしまったシロウ。
「さ、以上がお前さんに伝えなきゃいけないこと全部だ。それじゃ……おやつにでもしようかね」
 なだめるようにシロウの手を軽くポンポンと叩いて、シノブは台所の戸棚にお茶請けを取りに立った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 富士上空。
 弾道飛行を得意とするガンブースターは、早くも西へ向かう二体の影を機載レーダーの範囲に捉えていた。まだ姿は見えないが、このままなら数分で背後を取れるだろう。
「こいつら、かなり足が早いな。このまま行くと……接敵は浜名湖の沖合いぐらいか」

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 茨城県鹿島灘北部沖合い上空。
 二体のディノゾールはお互いに前後しつつ、海岸沿いに飛行していた。
 その背後へ刻一刻接近してゆくガンローダー。
「――ターゲットインサイト。淡水の水場を好む性質から考えて、やっぱり元々汽水の霞ヶ浦じゃなくて猪苗代が目標か」
 濃い青の甲殻が日の光を弾いているのを望遠ガンカメラ越しに確認したセザキは、呟くように報告した。軽く息を吐き、操縦桿を握り直す。
「それにしても、二体を一人で相手、かぁ。しかも、一番攻撃力と機動力の低い機体で。自分で組んだ作戦ながら、なかなかハードルが高いねぇ。ま、でも……他の二人ほど超絶技能や感覚に優れないボクには、頭で勝負するこっちの方が合ってるしね」
 漏らしながら、認識装置に挿入されたメモリーディスプレイに、マケットカプセルをセットする。
「そんじゃま、はじめますか。――フェニックスネスト、応答願います。こちらガンローダー・セザキ。これより攻撃を開始します」
 シノハラ・ミオによる応答が届き、ガンローダーは相対距離を詰めるべく、速度を上げた。
 キャノピー左側に見える海岸線は、刻一刻近づきつつあった。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 八丈島東方上空。
 海面上をW.I.S.E.クルーズモードで滑るように走る、青いガンウィンガー。
 GUYSオーシャンの誇るシーウィンガーは、同じく海面上すれすれを飛ぶ尻尾のないディノゾールを追っていた。
「――あれか」
 GUYSオーシャン隊長イサナは、海より暗く青い甲殻を輝かせながら南へ飛ぶ、宇宙怪獣の姿を視界に捉えた。
 射程10kmを誇る断層スクープテイザーによる攻撃を避けるため、真後ろへつけてから速度を上げる。
 徐々に彼我の距離が詰まってゆく――そのとき、ディノゾールの甲殻の隙間から、無数の光弾が放たれた。
「っと、わ、ほっ!」
 最小限の機動だけで弾幕の隙間を抜けてゆくシーウィンガー。
 躱され、海面に落ちた光弾は爆発し、大量の水飛沫を上げてゆく。
「融合ハイドロプロパルサーってやつか! しゃらくせえ」
 W.I.S.E.クルーズモードでの飛行が出来ないほど荒れる海面から少し高度を上げ、次々と放たれる光弾を躱しながら距離を詰めてゆく。
 そして――
「そこだっ!」
 機首のビークバルカンが赤い光弾を吐き、融合ハイドロプロパルサーの発射口の一つに命中。
 爆発とともにディノゾールは不機嫌な咆哮を上げ、その巨体がぐらりと傾いだ。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 千葉県房総半島沖合い上空。
 アイハラ隊長に先行するヤマシロ・リョウコは、ひたすら高度を上げていた。
「高度……一万二千。一万二千五百。一万三千」
 真正面から迫るディノゾールと、ディノゾール・タイラントの二体をガンウィンガー一機で相手にするのも分が悪すぎるというのに、断層スクープテイザーの射程真正面から挑んでは、まったく勝ち目はない。そこで、高空へ上がることで断層スクープテイザーの射程をやり過ごし、そのまま逆落としに速度を上げながら後方上空から突撃、あわよくば相手が対応姿勢をとる前にスペシウム弾頭弾で撃滅する――というのが、彼女に与えられた戦術だった。
 名づけて『はやぶさ』作戦。
『――ヤマシロ隊員、今あなたの真下を通り過ぎたわ!』
 シノハラ・ミオの報告を受け、ヤマシロ・リョウコは操縦桿を翻した。
 応えて、炎のペイントがされたガンウィンガーが翼を翻し、ほぼ90度近い急速降下態勢に入る。
「行け、ガンウィンガー! いっけえええええええええええええええっっっっ!!!!」
 アフターバーナー点火。
 火の尾を引いて、鋼鉄のはやぶさが獲物を一直線に狙う。


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