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鍼灸治療院 森の気

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 それぞれの疾患に対する術者の考察

治療室


鍼灸治療院 森の気


千葉県南房総市千倉町川戸238

0470−44ー2999

morinoki.rose@orange.zero.jp



診療時間 9:00〜17:00

休診    日曜 祭日


日曜祭日、時間外の診察は事前にご相談ください。

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 森の気の電話番号0470−44−2999



森の気全景
■頚肩腕症候群(肩こり) むちうち
  • 鍼灸治療=肩こり、鍼灸治療=腰痛という印象があまりにも強すぎて、他の疾患がかすんでしまうほどです。逆に考えると、それだけ肩こりには鍼や灸での治療が有効なんです。ここまで鍼灸の治療が肩こりに有効だと知れ渡っている割には、発症から鍼灸院を訪れるまでの期間は長いんです。
  • まずは湿布を貼ったり、家族に揉んでもらったり。次は整形外科や接骨院へ行ってみて、それでだめでマッサージ、それでもだめで最終的に鍼灸院へ。誰が好き好んで始めから鍼を刺される、皮膚を焼かれるのを希望しますか。あちらこちらとめぐりめぐって、どうしてもだめで最後に藁をもすがるでたどり着くのが鍼灸院です。

  • 「鍼を刺されてでも肩こりを何とかしたい」そこまで決意させた肩こりです、並大抵のものではありません。頸から肩にかけての筋肉はコチンコチン、どこが骨でどこが筋肉か、境がわからないほどになっている患者さんもいます。鍼をする事である程度これはほぐれます、ほぐれるといってもコチンコチンがコチコチになる程度です。これでもある程度は楽になります、楽にはなりますがまだまだ肩こりです。「鍼を刺されてまで・・・」と思っていた割には期待はずれですね。

  • 何年、時に何十年もかけて培って来た肩こりです、一筋縄ではいきません。治療を続ける事も肝心ですが、患者さんの心がけも必要です。運動不足を解消する、ストレスを減らす、パソコンなどの頸肩に負担のかかる作業を減らす。しかし、それはあくまで理想であって、パソコンを使わなければ仕事にならない、長時間労働で運動などしている暇がない、ストレスを解消するような時間も取れない、それが現実ですね。「少し運動してくださいね」と患者さんに言う「運動はしません、嫌いだし。その分ここ(鍼灸院)で治してもらいますから」そう割り切って週一で通ってくる方がいるのも事実なのですが。

  • むちうちは頸椎捻挫の俗称です。捻挫というくらいですから障害されているのは靭帯です。一方の頚肩腕症候群は神経痛であったり筋肉痛であったり、時に捻挫である事もあります。発症機序の違いはあれ、臨床上の扱いは同じとなります。

■腰痛
  • こちらも肩こりと並んで鍼灸適応症の中ではかなりの有名人です。有名人だけあって鍼の効果は絶大です。見方を変えると整形外科には腰痛に対する有効な手段がほとんどないともいえます。肩こりの欄にも書きましたが、一般的な患者さんはまず整形外科へ行きます、そこで湿布をもらい電気をかけて、それで治ってしまえばそれに越した事はありません。わざわざ怖い思いをしてまで鍼を打ちたくはありませんから。それでも患者さんは鍼灸院へやって来るんです、整形外科での結果が思わしくなかったからです。

  • 肩こりの原因はそのほとんどが使わなすぎ、すなわち運動不足なのですが、腰痛には使わなすぎと使いすぎによる両者があります。同じ運転手でも、タクシーの運転手さんは使わなすぎ、そうです一日中座りっぱなしで動かさないからです。一方の運送屋さんは重いものをえっちらおっちら、腰にかなりの負担がかかりますね、こちは使いすぎによる腰痛です。

  • それでは、使いすぎと使わなすぎによる腰痛、治療法に違いはあるのでしょうか。実はほとんど同じなんです。これは腰痛だけではなく、たとえば胃の痛み。原因が胃炎であれ胃潰瘍であれ、治療方法は同じなんです。鍼灸治療は二千年以上の昔から行われています、その当時胃炎と胃潰瘍を見分けてなどいなかったはずです。原因はどうであれ、胃の痛みを取る治療をするだけなんです。強いて言うなら痛みの種類、急激に激しく痛むものと、慢性的にシクシク痛むもの、これらは区別して治療法を変えます。これは腰痛にも通用する事で、慢性の腰痛と急性腰痛、いわゆるぎっくり腰では多少治療法に違いはあります。ちなみに、欧米ではぎっくり腰の事を「魔女の一撃」と呼びます、何とも見事な命名ですね。

■五十肩
  • 一口に五十肩といってもその原因は様々です。腱の炎症、、筋の断裂、靭帯の損傷、石灰の沈着・・・。しかし、臨床上はこれらの区別はしません、すべて五十肩として扱います。その名前から50代を頂点に発症するようですが、過去には20代の女性で明らかな五十肩の患者さんを診た事もあります。

  • 発症後しばらくは痛みによる運動制限(動かせない)が続き、その後は拘縮(関節の固まり)による運動制限(動かない)へと移行します。このような経過をたどる関係上発症から治癒までの期間が長く、3年間腕が上がらなかったという話を聞いた事もあります。知る限りその発症は一側性で、両腕共に上がらなくなった例には出合った事はありません。

  • 鍼灸院を訪れる患者さんの多くはすでに疼痛期を過ぎて拘縮期に入っています、そのため関節の強張りで肩関節が動かなくなっています。コチコチに固まってしまった関節です、一度くらい鍼をしてもすっと腕が上がるなどありえません。繰り返し治療を続ける事で、徐々に関節が動くようになっていきます。しかし、患者さんにしてみれば明らかな治療効果を実感し辛い面があり、途中での治療打ち切りが一番多い疾患でもあります。

  • 患者さんの印象的な話を一つ。ある日車を運転して高速道路の料金所にさしかかった。発券機から券を取ろうにも右腕は五十肩で上がらない。しかたなしに一度車から降り立ち券を取る、後続の車にお詫びの一礼をして車に乗り込みその場を立ち去ったそうです。

■変形性膝関節症
  • 肩こりや腰痛は若い人でもなりうる疾患ですが、この変形性膝関節症に限っては50代からが急増傾向にあります。特に閉経後の女性は骨粗鬆症が進みやすく、膝関節に変形を起こしやすくなります。この疾患の男女比は1:3あるいは1:4とも言われています。また、患者さんの多くは平均体重を超過しており、このコントロールも回復へのカギとなっています。

  • その名の通り、経過と共に膝関節に変形をおこします。これは膝関節内の軟骨の摩耗によるもので、一般的には両ひざ共に内側に多く見られます。そのため、症状が進むと顕著な内反変形(がにまた)が起こります。

  • 変形に対して鍼や灸は無力です。一度変形してしまったものは元には戻りません。しかし、痛みに対しての鎮痛効果は期待できます。痛みがなければ日常生活に支障をきたす事もありません、まずはそれを目的とします。何をもってしてそういうのかはわかりませんが、関節痛には灸が効くといわれています。事実、灸>鍼は実感としてあります。肩こりや腰痛に灸は多用しませんが、この疾患には必ず灸を用います。患者さんの同意を得られれば、かなり熱い灸をすえます。我慢する患者さんも大変ですが、その苦痛以上に治療効果が期待できるからです。

  • そしてこの疾患で来院した患者さんのほとんどに同じ事を聞きます「自分でお灸をしてみる気はありませんか」。ある人は「やってみる」と言い、ある人は「ここでやってもらう」と言い。肩や腰には自分で灸はすえられませんが、膝は自分で灸をすえられるんです。千年灸などの商品名で売られている市販のものを使う方法もありますが、ちょっと練習をしてもぐさを形にして灸をすえる方が効果的です
  • ■自宅灸のメリット
  • 膝なら誰の手もわずらわさず、自ら行えます
  • 覚えてしまえば家族にも灸をすえてあげられます
  • 一度鍼灸院へ行けば数千円かかりますが、これなら材料代だけです
  • 治療院へ行く時間や手間がはぶけます
  • 治療効果が期待できます、効かなくても文句は言えませんけどね
  • 大きな刺激を週に一度より、小さな刺激を毎日の方が治療効果が上がります
  • やけどになっても自らの手によりますからあきらめもつくというものです

■打撲 ■捻挫
  • 「捻挫したので鍼灸院で診てもらおう」こう思う人って少ないと思うのですが。やはり第一選択肢は病院か接骨院ですね。私が言うのもなんなのですが、それが正しい選択だと思います。

  • 捻挫は関節包や靭帯に無理な力がかかり損傷された状態をいいます。処置の第一は患部を固定して動かないようにする事です。医師はもちろん、柔道整復師(接骨院の先生)はこの処置を専門的に習っていますが、我々鍼灸師は畑違いです。

  • 私自信何年か前に捻挫をした事がありました。有ろう事か鍼灸師が手首を捻挫したんです。骨折の疑いもあったので、まずは病院でレントゲンを撮ってもらいました。結果、骨には異常がないとの事でした。その足で薬局へと向かいテーピングを買い求めました。畑違いとは書きましたが、患部の解剖や捻挫の病態などは習っています、どのように固定すれればいいかは想像できました。

  • 捻挫したからといって患者さんを断るわけにはいきません、しかし、固定していたとしても、微妙に動くだけで痛みが走ります。一つの対処方法は鎮痛剤、それと本職である灸をすえました。患部にやけどを作るかなり熱い灸です。完全に痛みが取れたわけではありませんが、なにもしない時を10とすると、灸の後の痛みは3程度でした。発症して3日ほどは鎮痛剤と灸を併用して、それ以降はテーピングでの固定と灸でピンチを乗り切る事が出来ました。

  • 捻挫は当初の強い痛みが取れたとしても、その後に慢性的な痛みを残す事もあります。こういった痛みを取るのは鍼灸の得意とするところです。鍼灸院、接骨院、病院などはそれぞれの特性に合わせて使い分けるべきだと考えています。

  • 打撲して患部に内出血があるような場合は、できるだけ早めの治療をお勧めします。受傷後早目に鍼での処置をする事で、その後の治りが早くなります。


■リウマチ
  • リウマチとは、広義には、骨、軟骨、関節やその周辺の痛みとこわばりを持つ疾患の総称として使われます。狭義には関節リウマチをさします。以前は慢性関節リウマチと呼ばれていましたが、2002年に関節リウマチと変更されました。

  • リウマチというと、どうしても関節の痛みやこわばり、あるいは変形といったイメージが先行してしまいます。確かに関節炎はリウマチの重要な症状ではありますが、自己免疫の異常による全身性の病気と捉えるべきでしょう。リウマチの患者さんが考える鍼灸での治療とは、痛みのある部分への施術と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。

  • 基本は全身のバランスを整える事です。左右の脊柱起立筋(背筋)には上から下までズラリとツボが並んでいます、この中から圧痛(押すと痛みがある)や硬結(筋肉のこわばり)などを見つけ出しツボとします。まず、この治療法で全体のバランスを整えます。

  • 次に患部の痛みを抑えます。神経痛の痛みなどに対しては直接患部に刺激を加えます、これを患部誘導法といいます。それに対し、リウマチによる関節炎のような患部に炎症を起こしている場合は少し離れたツボに鍼や灸を用います、これを健部誘導法と呼びます。具体的には、指の痛みに対して手関節部のツボを用いる。足首の痛みに対して、ふくらはぎにあるツボを用いるなどです。


■顎関節症
  • 顎関節症は一般的に口腔外科での扱いとなりますが、ここでは運動器系疾患として扱わせていただきました。顎関節症の原因は、歯ぎしりなどの噛みしめ、噛み合わせの悪さ、片噛み、ストレス、外傷・・・などが複合して発症するといわれています。20代から30代の若い女性に多い疾患であり、食生活の変化もその一因になっているのではと言われています。

  • 硬いものを食べなくなった、一昔前からよく言われていた事です。ちょっと極端な例かもしれませんが、古代人との食生活との違いを考えてみれば歴然です。道具を所持していなかった当時は食材を小さく切るという事はしなかったはずです、全て食いちぎっていました。それに火も使いませんから素材は硬いままですね。

  • で、現代人はというと、肉はミンチにしてハンバーグ、穀物は粉にして麺やパンに、野菜は煮込んでトロトロ。古代人のそれに比べれば極めて軟らかいものばかりを食べています。見方を少し変えてみると、古代人に比べ現代人は顎の運動不足が進んでいるとも考える事が出来ます。運動不足による顎の弱体化、確かにこれも発症の一因とも考えられますね。

  • これは私の感覚的なものでしかないのですが、顎関節症と五十肩って似ている気がするんです。痛みで動かせなかったり、関節が引っかかって動かなかったり、経過が長かったり。そんな事もあり、運動器系疾患の中に入れる事にしたんです。一方の五十肩には鍼や灸が良く効きます、もちろん顎関節症にも鍼や灸はその力を発揮します。とはいったものの、場所が場所だけに灸はあまり使いたくないですね、やはり鍼を中心とした治療となるのが実際です。


■ばね指(弾発指、狭窄性腱鞘炎)
  • これは自らの経験談です。ある時、右手の中指PIP関節部(指に3つある関節の真ん中)にばね指を発症しました。幸いな事に腫れや発赤はなく、痛みもほとんど伴いませんでした。当初はそれほど頻繁に症状が出るわけではなく、かなり強い力をかけた時にだけ関節が元に戻らなくなる程度でした。それほど深刻ではないという事で、あえて治療もせず放っておきました。

    それからしばらく、徐々に指の引っ掛かる頻度が高くなり、それほど強い力を加えなくとも症状が出るようになって行きました。わざわざ治療に出向くわけでもなく、治療費を支払うわけでもなく、ちょっと面倒がらずにやればいいだけなのですが、横着をしたつけが回って来たという感じです。雑巾を絞る、ビンのふたを開ける、こういった程度の力をかけるだけで指が引っ掛かるようになり、ここでやっと治療を決意。

    当初こんなもの(ばね指)などすぐに治せる、そうかんたんに思っていました。それも治療が遅れた原因の一つでした。指の引っ掛かる部分に小さな灸をいくつかすえてみる、ある程度症状は軽減するのですが、しばらくすると元に戻ってしまいます。そこで作戦を変えて灸から鍼へ、しばらく患部に鍼を入れたまま放置、その後そのままの状態で関節を動かす、運動鍼という方法を用いました。こちらも症状の軽減にはなりますが、完治には至りませんでした。

    一度症状を悪化させているというのに懲りないもので、その後またまた中途半端なままで放置してしまったのです。そして最近になり症状は悪化、頻繁に指が引っかかるようになり、日常に支障をきたすようになってしまいました。以前と同じ治療を施したところで同じ結果になるのは目に見えていました、そこで今回は刺絡(しらく)療法を用いてみました。

    刺絡療法とはツボに鍼などを用いて傷をつけ、そこから血液を採る方法をいいます。時に皮膚をつまんで絞りだす、あるいは吸角という内部を陰圧にする器具をツボに取り付け血液を吸い出します。今回用いたツボは患指の先端に近い部分にある井穴(せいけつ)といわれるツボを使いました。ツボに小さな傷をつけ、そこから少量の血液を採りました。これを一日一回、数日にわたって続けました。結果、これが思いの外うまく行き、それ以降指が引っ掛かる事はなくなりました。


■上腕骨外側上顆炎(バックハンドテニス肘)
  • 「上腕骨外側上顆(じょうわんこつがいそくじょうか)」あまり聞かない名前ですね。肘の関節を目一杯曲げる、この時肘関節に出来る骨の出っ張りが3つ、その一番外側が上腕骨外側上顆といわれている部分です。ここには前腕の伸筋群(手関節を手の甲の方へ曲げる筋など)が付着しています。この部分の伸筋腱や骨膜に炎症を起こしているのが本疾患です。

    その名の通りテニスのバックハンドで球を受けた時に衝撃の掛る部分です。テニスを始め、この部分に多くのストレスが掛るような仕事をしている人、あるいはパソコンでマウスを多用する人にも起こりやすく、釣竿を持つなんていうのもここに負担がかかる姿勢ですね。

    この部分に炎症を起こしている人は外側上顆部に顕著な圧痛(押すと痛みがある)が見られます。これを第一の治療点とし、そこから少し離れた部分にも圧痛が見られる事があり、これも治療点として取ります。更に、伸筋部分に痛みが広がっている場合もあり、これらも合わせてツボとします。

    関節部の疾患には灸が適しているのですが、強い炎症を起こしているよう場合にはある程度強い刺激が必要となります。やけどを残すような強い灸、我慢する患者さんも大変ですね。熱さを我慢して痛みを頓挫させるか、そんなに熱い思いをしてまで治したくもないと思うか、これは人それぞれです。そんな事から現在では灸を敬遠し、鍼中心に施術をする鍼灸師が増えているのです。


■上腕骨内側上顆炎(フォアハンドテニス肘 ゴルフ肘 野球肘)
  • 上腕骨内側上顆は肘を目一杯曲げた時、肘関節に出来る3つの骨の出っ張りのうちの一番内側の部分をいいます。ここには前腕の屈筋群(手関節を掌側に曲げる筋など)が付着しています。この部分の屈筋腱や骨膜に炎症を起こしているのが本疾患です。外側上顆炎に比べると本疾患の発症数は少なく、これは屈筋に比べ伸筋の使用頻度が高い事に由来すると思われます。

    こちらはテニスのフォアハンドで負担のかかる部分で、物を抱える動作、ゴルフのインパクトの瞬間などにもストレスが掛る部分です。野球肘をこの中に加えましたが、野球肘には本疾患が原因で無いものも含まれています。いずれにしろ痛むのはこの内側上顆の部分が中心となります。内側上顆部分の圧痛点(押すと痛みのある部分)、その周囲の圧痛点、あるいは屈筋群に存在する圧痛や自発痛のある部分を治療点とします。


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