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鍼灸治療院 森の気

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鍼灸治療院 森の気

千葉県南房総市千倉町川戸238

0470-44ー2999

morinoki.rose@orange.zero.jp



診療時間 9:00~17:00

休診    日曜 祭日


日曜祭日、時間外の診察は事前にご相談ください。


「地図」


 森の気の電話番号0470-44-2999


森の気全景
「現代人の頭の中は知らず知らずのうちに現代医学になっている」

「うちのだんながインフルエンザにかかって、先生からタミフルを処方されて」何の事かわかりますね。

「私、腎経が虚して脈が沈、痩舌で舌苔薄、全体には上実下虚らしいの」読む事すら出来ませんね。

前者は現代医学的、後者は東洋医学的です。ヨーロッパを中心に発達した西洋医学は全世界へと広がりそこに根付いた。それはそれぞれの地で発展を続け、これがまとまり現代医学となった。一方、中国を中心に発達した東洋医学は各地へと広がりはしたが、現代医学に押されて主流にはなれなかった。

我々現代人がテレビや雑誌などから得られる医学の情報のそのほとんどは現代医学なんです。知らぬ間に、無意識のうちにこれらの情報が蓄積されて、結果的に頭の中は現代医学になっているんです。だから「おじさんが糖尿病でインスリンの注射をしていて血糖値を抑えているの」なんて会話はスラスラ出てくるものの、
「おばあちゃんは肝と腎が虚してて、瘀血があって脈は微なんだって」という会話は出て来ない。

「つまり、鍼灸治療の事をくどくどと説明したところで一般の人には核心を伝える事は出来ない、だって元になる東洋医学の知識が無いんですから」。これは足し算のできない子に掛け算を解けと言っているようなものです。

だからといって、「ツボ」だの「気」だの「経絡」だのって、一から説明するのも不可能ですよね。よく見かけるのが、東洋医学を現代医学的に説明しようとして墓穴を掘っているもの。逆を考えてみてください、MRIを東洋医学で説明できますか、内視鏡手術を東洋医学で表現できますか、Noです。根本のステージが違うんです、元々比べるようなものではないのです。

「鍼灸の効いて行く仕組みと・・・」なんて見出しを書いておいて無責任ですね。

頭頂部に灸をして痔を治す。かかとに灸をして歯肉炎を抑える。すねに鍼をして胃痛を和らげる・・・。これらは東洋医学的には因果関係が証明されています。しかし、これを現代医学的に考えると「まやかし」あるいは「気の迷い」としか捉えようがないんです。だって神経も血管も、リンパもその他諸々もつながってないんですから。「すねに鍼をして胃痛が治るはずがない」これが現代医学的考え方です。だから、お医者さんには東洋医学を嫌う人が多いんです。

だけど、少しだけ見方を変えてみる。たとえば10人の胃痛の患者さんがいたとします、この方たちのすねに鍼を打ってみます。その後5人の人の胃痛が改善されました、なんだかすねと胃に関連があるように感じられますよね。元々古代人たちは、胃の痛みを治そうと思ってすねに鍼をしたのではないと思います。すねの痛い人に鍼をしたら結果として胃の痛みが取れた、これが実際でしょう。こんな経験を長年に渡り積み重ねた結果、考えられたのが「経絡(けいらく)」です。

胃とすねは経絡でつながっています。しかしMRIにも、レントゲンにも、エコーにも写らないし、解剖してもそれは見当たりません。確かに現代医学的に考えたら存在しないのですが、どうです、目には見えませんが有るという事にしておいた方が得なのでは。だってこれを否定してしまう人のすねに鍼をしても、胃の痛みは治らないという事になってしまいますからね。どうせなら、「ツボ」も「気」も有るって事にした方が都合がいいですね、なんだか東洋医学的になってきましたね。

「ここまで書いて何なのですが、実はこんな事どうでもいい話なんですよね」

だって実際の臨床では、どのように鍼が灸が効くかなんて患者さんにとっては関係の無い話。痛みがなくなる、しびれが取れる、咳が止まる、心が穏やかになる、といった事が肝心なんですよね。「気」が有ろうが、「経絡」が無かろうが、結果、症状が緩和されればなんでも有りって事なんですよね。理論が必要なのは我々術者の側の話です、「鍼灸治療とは」は術者が知っていればいいだけの話なんです。
治療の実際と症例集

    ※患者さん本人を特定できないよう、年齢、職業、内容等一部変更してあります。

    ※ツボの名前、テスト法など専門用語はそのまま使わせていただきました。少々わかりづらい部分があると
     は思われますが、ご了承ください

 カルテ1 

5月21日



5月23日


5月25日



5月29日


6月3日


6月8日



6月15日



6月21日


6月28日


7月17日


考察








患部周辺の圧痛(押して痛い部分)、押して気持ちいい部分、痛みの中心部分などをツボとする。右膝に5本、左膝に4本の鍼、そのまま15分ほどその場に留める。左右の足の裏に米粒ほどの大きさの灸を10壮(10回)、熱さを感じたところで取り去る。鍼を抜いた後、痛みの中心部、圧痛部に灸を各3壮。

むくみは幾分改善されたが、静脈瘤に変化なし。痛みは「減ったような、減らないような」。治療後だるくはならなかったがいくぶん眠気感じた。治療は前回同様。

今回は治療後の眠気なかった。「足がいくらか軽くなった感じ」も痛み続く。静脈瘤、むくみ前回と同程度。自宅での灸を進める。「やってみる」との事なので灸のすえかた指導。これまで中1日での治療としたが、自ら灸をする分を考慮して週2回とした。

初診の痛みを10とすると今は5。動きだしの痛みはあるが、ある程度動いてしまうとその後は楽。自宅での灸続けているとの事。膝に灸の痕あり。

膝が以前より曲がるようになって来た、仕事をするのもいくぶんスムーズ。灸は続けている。むくみいくぶん改善、静脈瘤も改善傾向。

つまずく事が少なくなっているとの事。だいぶ足が上がるようになってきた。痛みにそれほど変化ない。、「膝のギシギシした感じが無くなった、油が回っている」とは本人談。治療を週1度に。自宅での灸続けるように指導。

今までは順調に回復していたが、今日は少し悪化傾向。痛み減ったので油断して広範囲の草刈りをこなしてしまった。その結果ではないかとの事。痛み10→3→5。痛みが出るようなら、次の予約を早めても治療するように伝える。

むくみ減ったせいか足が軽い。痛みも前々回程度にまで戻る。前回で懲りたので無理しないようにしている。

朝の動きだしだけは少々痛むが、それ以降は忘れてしまっているほど。むくみ、静脈瘤もだいぶ改善。灸は続けているが、以前のように毎日はしていない。次回の予約はせずに、様子をみて来院するように伝える。

ほとんど痛みないが、ここのところ忙しくて無理をしたので予防の鍼を打ちに来たとの事。灸は毎日ではないが、暇をみつけてはやっている。

この患者さんの膝痛の歴史は30年も前にさかのぼる。その後、痛みと寛解(無症状)を繰り返す。こういった慢性的な経過をたたどったものは治療を始めてすぐに結果が出る事は少なく、何回か治療を重ねるうちに徐々に回復していく、まさにその典型的な例である。膝は自らでも灸をすえられる場所でもあり、これが回復の後押しをしたのは間違えのない事実である。

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 カルテ2

8月16日




8月18日



8月20日



8月23日


8月25日


8月30日



9月6日



9月14日


考察









患者さんは少し興奮気味に症状などを話す事、患部にこれといった所見が見られない事などから、半年前の膝の痛みはほぼ治癒しているものと考えた。「二度とあの痛みを経験したくはない」という思いが痛みを作りだしているものと判断した。鎮静作用を目的に百会、足三里、三陰交に鍼。患部2点にも鍼。鍼を打つ間、打ち終えた後も患者さんの話を丁寧に聞く。腰臀部4点にも鍼。

膝にはこれといった変化なし。治療後だるさ等は出なかった。「腰は少し軽い気がする」。問診に時間を十分かける。鎮静効果を狙った治療続ける。痛みの中心部がどこにあるか、またその周囲に圧痛がないか探すように指示。

「先生、ここが痛いんです」と膝を指さす。何回か治療をする事で痛みが限局される事は珍しくはない。問診に十分時間を取る。だいぶ落ち着いて話すようになってきた。膝の痛みに変化ないが、腰や臀部はかなり楽になったとの事。

痛みが減ってきた事もあるが、体が軽い感じ。腰から臀部にかけての痛み10→3、膝の痛みは10→5。これまでは車で来院していたが、今日は自転車。もう少し自信ついたら歩きで来たいとの事。

用事でエアコンのあるところに2日間いた、そのせいか膝の調子悪い。「ここを押すと痛いんですよ」と訴える、その部分に鍼を、その後灸頭鍼3壮。腰から臀部の痛みはほぼ消失。

少し間開いたが調子は良好。膝の痛み全くない日もあったが、今日は少し痛む。今日も自転車で来た。腰、臀部は痛みはない。腰臀部の治療は打ち切り。鎮静作用の鍼と膝への鍼。自らに自信を持って、少し運動するように指示。

今日は歩いてきた。前回治療後運動してみた、痛みはなかった。膝痛発症以来初めての散歩だった。「テニスできるようにまでなれますかね」と質問を受ける「大丈夫です」。様子を見て運動量を徐々に増やすよう指示。

今日は腰が少し重いとの事。腰部への鍼。歩く距離だいぶ伸ばした、それでも膝に痛みは出ない。毎日散歩している。

2ヶ月ほどして道端でたまたまお会いした時、テニスを再開した事を聞いた。その後膝の痛みは完全に消失していた。痛みがあるにもかかわらず、これといった原因の見つからない症例は数多く見受けられる。一説によると、腰痛の約半分が原因不明によるものだとも言われている。歩くのもおぼつかないほどの腰痛の患者さんが、整形外科と並行して精神科を受診したところ、みるみる回復した例なども報告されている。こういった患者さんは患部の治療よりも心のケアに主を置く事で好結果が得られる。

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 カルテ3

3月2日






3月6日


3月10日


3月16日


3月23日


3月30日



4月16日


5月2日


5月17日


5月30日


6月14日


考察








 

患者さんは鍼灸治療未経験者であり、とにかく話が聞きたいと来院。東洋医学には中風七穴(ちゅうふうななけつ)という、中風(脳卒中)やその後遺症に用いる治療法がある事を説明。ただし、鍼をしたから、灸をしたから突然手が動く、足が動くという事は考えられず、目に見えるような回復は望めない事を伝える。そのうえで、「やらないで後で後悔するよりは、今やっておいた方がいいのでは」 とアドバイス。中風七穴に鍼。麻痺側指先5点、足底5点に米粒大の灸。肩関節、頚部に運動鍼(鍼を刺したまま腕を動かす)。とにかく3回治療を試みて、その後続けるかどうかはその時点で決める事にした。

中風七穴。指先、足底の灸は患者さんが拒否したため中止。足背部のしびれ感が一番気になるとの事、この部分に運動鍼を施す。肩も前回同様運動鍼。

指の動きにスムーズさが出てくる、足には大きなに変化なし。足背部のしびれは相変わらず。治療は前回同様。治療後肩関節の痛み明らかに減った。今後は週に一度のペースで治療を継続する事に。

手、足ともに以前より動きがスムーズになる。しびれ感もいくぶん減った。杖での歩行だいぶ早くなった。手足の震えが気になるとの事。

寒かったせいか、関節が重苦しい。特に動き出しがギシギシした感じ。ある程度動きだしてしまうと滑らかに。杖無での歩行訓練始める。車の運転を少しだけしてみた。

気温の変化に体調が左右される。温かい時は調子良く、寒い時は調子悪い。全体には回復傾向と感じている。手足の震え小さく、しびれている範囲も少なくなった。肩関節の痛みほぼ消失。患者さんの希望で来月からは月2回のペースで治療。

握力がだいぶ回復してきた。足のしびれも小さくなった。震えも驚くほど減った、この回復には本人も驚いている。頸の凝っている感じが強い。頸の鍼を念入りに。

杖を使っての歩行だいぶ慣れてきた。足の震え止まって来たせいか歩行もだいぶスムーズになって来た。足背部のしびれあるが、それほど気にならない程度にまで落ち着いた。

手足ともに明らかなむくみ。本人いわく「食生活がかわったせいかも」。これに伴い歩きづらさ出る。いつもの調子で歩いていて転びそうになった。

むくみいくぶん改善もまだ元には戻っていない。それでも、動きづらさ改善。しびれ感も減少。手足の震えもほとんど見られなくなった。

むくみほぼ消失。動きだいぶスムーズになった。車の運転再開、昼間車の少ないところで練習している。仕事にも積極的に参加するようになった。

完全な回復は実現しなかったが、現実的な歩行レベルにまでは回復した。車での外出もできるようになった。手足のしびれや震えも気にならない程度にまで回復、日常に支障をきたさない程度に。体調維持、再発防止を兼ねて現在も月一度くらいのペースで治療を続行中。脳梗塞後遺症は出来る限り発症から早い時期に治療を始めるのが良いとされている、この患者さんがその例である。これとは別に発症一年後から治療を始めた例もあるのだが、こちらは回復が緩慢であった。

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 カルテ4

7月4日



7月7日


7月11日



7月18日


7月25日



8月1日


8月14日


8月28日


考察

仰向けで目の周りに鍼を施す。その後うつ伏せで、百会、天柱、風池などの頭部、三陰交、肩甲骨周りの強ばり、圧痛に鍼を打つ。鍼は初めてなので細めのものを使用。 治療後だるさ出るかもしれない旨伝える。

治療後いくらかだるい感じはしたが、それほど深刻なものではなかった。治療後頭痛は無し。肩こりはいくぶん改善された感じ。今日は腰も重いとの事、腰部4点にも鍼。治療後「目が良く見えるようになった」。

治療後のだるさ初めての時よりきつかった。刺激量を増やしたのが原因と説明。風邪気味で咳をしている。頭痛は出ていない。肩は信じられないほど軽い。一日でトイレに2回くらいしか行かないとの事、尿量極端に少ない。水分を多く取る事を心がけるように指示。咳止めに尺沢の円皮鍼。

治療後のだるさ無し。咳は止まった。頭痛はない。昨日仕事きつかったせいか腰痛あり。首の付け根部分も重だるい。水分積極的に摂るよう心がけている、尿量いくぶん増えた。

治療後は体調持ち上がるが、一週間すると落ちてくる。「治療の効果が薄れるのと、疲労の蓄積による」と説明。頭痛は治療開始から一度も出ていない。首の付け根部分は相変わらず、腰はだいぶ良くなっている。

仕事が忙しく疲労蓄積。腰、肩あまり調子良くない。それでも、ウォーキング、食事制限によるダイエットを始める。引き続き水分摂るよう心がけている。だいぶ汗をかくようになった。頭痛は出ていない。

盆休みでストレス無い分体は楽。現在胃の調子少し悪い。いつもの治療に胃の六つ灸(背中6点に灸)。血圧高めだったものがいくぶん下がって来た。

一月で5キロ体重落ちた。体が軽くなり、尿量増える、血圧降下、肩こり、腰痛軽減。頭痛の消失と共にめまいや吐き気は起こらなくなった。

トップページにも書いように、鍼灸の治療はきっかけにしか過ぎない。「今までの生活の結果が今の体なんですよ」の言葉に奮起、生活習慣の改善に患者さんが取り組んだ。水分を摂るよう心がけ、運動、食事の内容や量を調整した結果、体質が改善され始めた。心配はリバウンドであったが、3か月ほどして当院を訪れた時にはそれは見受けられなかった。

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カルテ5 

6月24日



6月26日


6月28日


7月1日


7月4日



7月12日



7月19日



7月29日


考察

 
頸椎の7番が狭いと医者から言われている。後屈時に頸の付け根付近に鈍痛がある。普段は頸全体が何んとなく重い感じ。手に痛みやしびれは出ていない。天柱、風池、頸椎7番神経根部両側、肩井、膏肓、肩外兪、手三里に鍼。後、頸周辺の硬結部4か所に点灸各3壮。

昨日までは治療効果感じていたが、今日は元に戻ってしまった感じ。前回の重だるさと共に、頸が突っ張る感じを受けている。灸を5壮に増やす。

初回は翌日まで調子良かったが、前回は治療して数時間後には元に戻っていた。引き続き頸肩の重だるさ、頚部の突っ張り感ある。今日も灸は5壮。最後に、頚部に運動鍼。

何となく悪い部分がわかってきたとの事。今までは全体的にであったのだが、今日は右側が調子悪い。今回は治療直後に元に戻るような事はなかった。前回と同様の治療続ける。

今日はまだ鍼の効果が残っている感じ。突っ張り感、重だるさ少ない。風邪気味という事なので、大椎に灸頭鍼3壮。一週間治療の間隔をとってみたいとの事なので、それを了承。ただし、悪くなるようなら早めに来院するように指示。

始めを10とすると今は5、半分程度にまで症状は減っている。風呂の後は調子がいいので、毎日ゆっくり入っているとの事。多少感覚開いたが、悪くなった感じはない。良い意味での平行線。引き続き次回は一週間後。

前回より調子良い。重だるさはほぼ消失して、突っ張り感だけが残る。症状10→5→3と減った。次回の治療は2週間後とした。この時も悪くなったら早めに来院するように指示。予防に頸椎7番両側に円皮鍼を施す。

予定より早くなっての来院、調子が悪くなったからではなく、用事の関係だそうだ。引き続き回復は順調、これまでの突っ張り感もだいぶ少なくなった。

始めは翌日、あるいは当日には元の状態に戻ってしまっていたのだが、治療を重ねるにつれ徐々に治療効果の継続時間も長くなっていった。この経過はほとんどの患者さんに共通のものである。そのため、開始当初は間隔を詰めて治療を施し、回数が進むにつれて間隔を広げていくのが一般的です。

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カルテ6 

年月不明





翌日


更に翌日


その翌日


翌日


考察












花粉症発症以降食事をほとんど摂らなくなり、体の手入れも全くしなくなった。そのためハチ君はみるみるボロ雑巾のようになってしまった。「死なないよ」「時期が来れば終わるよ」と言ったところで馬の耳に念仏。それならと東洋医学の真髄を見せてやる事にした。始めは印堂(眉間の真ん中)というツボに鍼をしようとしたのだが、さすがにこれは拒絶された。そこで、ウトウトしているところを見計らい、頸の付け根にある大椎というツボに鍼を施す。そのままそっとしておき、15分ほどしたら鍼を抜く。

特に変化はなく、相変わらずウトウトしているだけ。ほとんど食事もとらないため、好物のアジのお刺身を勧める。多少口にしたが嬉しそうな表情はない。昨日同様大椎に鍼。

少しだけ外出するもすぐに帰って来た、それでも発症以降始めての外出。相変わらず「プシー、プシー」とくしゃみは続くが、頻度が減って来た感じ。

いつものようにウトウトしているところに鍼。ちょっと目を離したすきに身震いをして鍼を飛ばしてしまった。探すのにおおわらわ、なんとか鍼は回収できた。ネコへの鍼はきちっと見張りをしましょう。

だいぶ気を取り直して来た。くしゃみの回数は確実に減り、食事もだいぶ摂るようになって来た。久々に体の手入れをしているのを見かける。

その後全くくしゃみは出なくなり、食欲も戻り、体の手入れも念入りにするようになり、いつものピカピカのハチ君に戻った。5月前半の花粉の飛び終わる時期まで時折鍼を続けた。その後発症したロクちゃんへの鍼も4回ほどで効果を現した。

「何もネコの症例を」と思われるかもしれないのだが、半信半疑だったネコへの鍼があまりにもうまくいったので紹介した。しかし、残念な事に我々鍼灸師には動物への施術は許されていはいない。実際にこれができるのは獣医師だけらしい。しかし、獣医師に鍼を打てる人はほとんどいないのが実状だろう。

もちろん人の花粉症への鍼の効果は絶大である。花粉症そのものを治癒させることはできないが、症状を軽減させる事は可能である。術者も重度の花粉症であるが、鍼をする事で薬もマスクもなしでも普通に生活できる。

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 カルテ7

7月28日




8月3日


8月7日



8月12日


8月14日


8月17日


考察
 
落下事故で腰椎の圧迫骨折。骨折治癒後も時折腰痛を起こすようになった。時に痛みが強く出る時があり、その都度様々な治療を試みたが、これまであまりピンと来るものはなかった。歩く姿から強い痛みがあるようだ。痛みの中心は第4腰椎から仙骨部にかけて、左側が特に痛む。腰椎の4、5間とその両側、第5腰椎と仙骨の間、左臀部の圧痛点に長めの鍼を置鍼15分。その後灸頭鍼各3壮。委中へは誘導の鍼。

痛みに変化ほとんどない。とにかく痛み周辺の筋肉のこわばり強い。鍼は前回と同じだが、灸頭鍼を止めて点灸3壮に変更。患者さんの了承をもらいやけどになる灸を施す。

歩く姿から依然強い痛み続いているようだ。治療後の様子を聞くと、翌日くらいまではある程度いいのだが、それ以降は元に戻ってしまうそうだ。灸の痕は水泡が破れている、エタノールで消毒。点灸はやけどの部分を避けて。

症状にあまり変化ない、依然痛みは続いている。前回の治療に帯脈、崑崙の鍼プラスする。あまり間隔をあけないでの治療を勧める、これを了承して明後日の予約。

臀部の痛み減ったような気がするも、明らかなのものではない。腰部の痛みはほとんど変化なし、靴下履くの辛い。鍼の効果半日から一日しかもたないとの事。

すでに5回の治療をしたが、依然腰の筋肉緩む様子ない。痛みのレベルも当初を10としたら今は8程度とあまり変わらない。

患者さんには申し訳なかったが、これといった結果を出せないまま治療を終えてしまった例。鍼や灸の治療にはこれといった決まりごとはなく、万人に同じような治療を施すわけではない。そのため、どうしても効く、効かないのむらが出てしまう。すべて術者の力不足である。

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 カルテ8

1月14日




1月18日


1月22日


1月25日


1月30日



2月7日


2月16日


考察
 
SLR陽性。Kボンネットテスト陰性。これらの結果から坐骨神経圧迫部は腰椎と推測される。第5腰椎右側、右仙骨部、両志室圧痛あり。以上4点、右委中、崑崙、殷門に鍼。第5腰椎両側、殷門、崑崙に点灸各5壮。「温めるのと、冷やすのはどちらが良いか」の質問を受ける、冷やしてはいけない、逆に強制的に温めてはとアドバイス。使い捨てカイロなどを使ってみるように勧める。

治療後に多少だるかった。大腿部の痛みはなくなったが、下肢外側から足背部外側の痛み続く。外くるぶし周辺も今日は痛む。使い捨てカイロ使ってみたらかなり良かったととの事。

いままで朝の起きぬけが一番辛かったが、それがいくぶん改善されて来た。夜間のトイレも。大腿部の痛み再発したが始めほどではない。

今日は痛み強い。楽だったでのジャガイモの畑の準備で無理をしてしまったとの事。作業の時など外出時はカイロ張るようにしている。ぬるめの風呂にもゆっくり入る。

安静心がけている、その分調子が良い。大腿部の痛みほぼ消失、全体の痛みも半分以下に。今日は奥さんに同席してもらった、灸のすえ方を指導するため。ツボの取り方、灸のすえ方を覚えてもらう。次の治療は一週間後とし、その間一日一回ずつ自宅での灸をしてもらう。

奥さんに灸をしてもらっているとの事。どこに灸をすると効くかわかるような気がするので、自らツボの位置を指示しているとの事。そのせいもあってかだいぶ調子が良い、奥さんと共に軽いウォーキング始めた。

腰から足にはほとんど違和感ない。夜間のトイレや、朝の起きぬけも問題なくこなしている。腰のカイロ、奥さんの灸続けている。治療は今回で打ち切りも、灸はしばらく続けるように指導。

この後半年ほどして同じ部分に神経痛を発症したのだが、この時は始めから奥さんに灸をしてもらいつつ当院へ通った。そのため、3回ほどで痛みが消失した。家族に灸ができる人がいるといろいろと役立つものです、それほど難しいくはないのでぜひ覚えていただきたい。

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 カルテ9

11月24日




11月25日


11月26日


11月29日


12月3日


考察

30キロほどのかごを持ち、それを置こうとした瞬間にギックリ、しばらく動けなかった。気を取り直しそろそろと屋敷まで歩いて戻った。ちょっとした拍子に刺すような痛み走る。痛みの場所は第1腰椎の高さ、腰というよりは背中。第12胸椎と第1腰椎の間に強い圧痛あり。腰痛点4点に円皮鍼、圧痛部とその両側に鍼。本人の了承を得てかなり熱い灸をする。さらしかコルセットで腰部を固定し、安静を心がけるように指導。

薬局でコルセットを購入、これで腰部を固定している。歩く様子から昨日よりはいくぶん改善されたようだが、時折激痛走るようである。引き続き灸は焼き切りの熱いもの。

歩くのが以前のようにおっかなびっくりではなくなった。時々痛み走るが、かなり頻度減って来た。「風呂に入って良いか」との質問、ご主人に付き添ってもらうように指示。

刺すような痛みは出なくなったが、重だるいような感じを受ける。コルセットはつけている。「無理しない程度で仕事して良いか」との質問、安静心がけるように指示。

予約は2日後であったが、急遽来院。また、ギックリやってしまったそうだ。痛みはかなり強く、発症当初と変わらない。痛みの場所は前と同じところ。

実はこの患者さん、この後も治りかけるとまたやってを繰り返した。少し良くなると農作業に手を出してしまうのだ、そしてまたギックリ。この患者さんの話し方などを見ていると、せっかちでじっとしていられない性格なのはわかるのだが、こういう時くらいは安静してほしかった。これは術者の技術うんぬんではどうにもならないものである。

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 カルテ10

7月22日



7月29日


8月2日



8月5日


8月12日


8月20日



考察

 肩こりが主訴で来院したのだが、閃輝暗点、それに伴う頭痛を訴える。長時間画面を眺めている事が多く目の疲れもひどい。便秘と月経過多。特に月経過多は時に仕事休むほどひどい時もある。子供も小さく子育てにも手がかかる。仰向けで百会、足三里、三陰交、血海、太谿。うつ伏せで頸肩周辺の反応点に鍼。

治療後2、3日は調子良かったが、徐々に元の状態に戻っていった。肩こりはひどいが頭痛はなかった。治療は前回同様。少し間隔を詰めて治療する事勧める。

ちょっと疲れてはきたが前回ほどではない。頭痛はなし、目が疲れづらくなっている。肩は重い。自らに灸をする気はあるかと質問、「簡単にできるのならやってみたい」。灸の据え方指導。毎日三陰交に3壮ずつすえるように指示。

治療開始以降頭痛、閃輝暗点は無い。肩こりも徐々に軽くなって来た。特に治療翌日は調子が良い。毎日灸をすえているとの事。

昨日より月経始まるが、いつもに比べて軽い。頭痛、閃輝暗点はない。肩こりも軽くなった。目の疲れほとんどない。灸は毎日続けている。

結局月経はそれほど重くなかった。肩こりもかなり改善。引っ越しで当院へは通えなくなるとの事。引っ越し先で開業している友人がいるので、そこを紹介。毎日でなくてもいいので灸を続けるように指導。特に月経数日前からは毎日続けるように。

三陰交は婦人科疾患の特効穴(とっこうけつ)。月経過多だけでではなく、月経不順、冷え症や更年期障害、不妊治療、安産祈願などにも用いられる。健康な女性も健康維持を目的に、この三陰交に灸をする事をお勧めしたい。三陰交は足にあるツボなので、自らでも簡単に灸がすえられます。

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