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鍼灸治療院 森の気

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鍼灸治療院 森の気


千葉県南房総市千倉町川戸238

0470−44ー2999

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■糖尿病
  • 現在その予備軍まで含めると、10人に1人が糖尿病だとも言われています。なぜこれほど糖尿病が増えたのでしょう。糖尿病とはインスリン不足による過血糖状態をいいます。血糖を調整するホルモンには何種類かあるのですが、血糖を下げる作用のあるホルモンはインスリンだけです。血糖を上げる作用のあるホルモンが不足したとしても、別なホルモンでこれを補えますが、インスリンにはかわりになるホルモンがありません。

  • 消化吸収された糖はいったん血液中に入ります、そのため高血糖、いわゆるドロドロ血液の状態となります。「血液中の糖を回収せよ」との指令を受けて分泌されるのがインスリンです。ちょっと見方を変えるとインスリンは、食後の腹一杯の時に出るホルモンなんですね。しかし、糖尿病の患者さんはこのインスリンが足りません、いつまでたってもドロドロ血液のままです。

  • 人間の歴史を振り返ってみます。今のように三度三度腹一杯、なんて事はここ最近、それも限られた人だけのものですね。事実、今でも飢餓に苦しんでいる人々がたくさんいます。それでは採集生活をしていた頃はどうだったでしょう。獲物が取れない、食料の少ない時期、今に比べると食糧事情は圧倒的に悪かったはずです。

  • つまり、満腹(高血糖)の時など全体からみればほんのわずかで、ほとんどが空腹(低血糖)だったと考えられます。糖は細胞の食べ物です、これが不足すれば死に直結します。低血糖になると「蓄えた糖を放出せよ」と指令が出ます、これが血糖値を上げるホルモンです。もし、これが一種類だけしかなかったとしたら、このホルモンが出なければ死んでしまいますね。だから血糖を上げる作用のあるホルモンは数種類あるんです。

  • それに対し「どうせ血糖の高い時なんてたまにしかないし」という事で「血糖を下げるホルモンなんていくつもいらない」って事になっったのではないのでしょうか。それに高血糖そのものでは死にません。人類の歴史上血糖を下げるホルモンは一種類で十分、そう判断されたのでしょうね。これだけ糖尿病の患者が多いとなると、近い将来この血糖値を下げる第二のホルモンを持った新人類が出現するかもしれませんね。

  • のどが渇く、多飲、多尿、食べても太らない、東洋医学ではこのような状態を「消渇(しょうかち)」と呼びます。糖尿病=消渇とは言い切れはしませんが、糖尿病≒消渇と考えて問題無いでしょう。

  • 五臓六腑、みなさん聞いた事のある言葉だと思います。東洋医学ではそれぞれの臓腑にはそれぞれに対応する経絡(気の通り道)があると考えます。たとえば胃には足の陽明胃経という経絡が、肺には手の太陰肺経という経絡が存在します。くわしくは書きませんが、実はこの五臓六腑を少し詳しく学んだ人なら皆「?」と思う部分があるんです、「それ間違いでしょう」っていう部分が。

  • 五臓は肝、心、、肺、腎の事をさします。しかし、内容を精査してみると「」は実際は「(臓)」なのではないかと思われる部分が多く見受けれれるのです。歴史のどこかで間違って伝えられたのか、元々の認識に間違いがあったのか、あるいは現在あるものが正しいのか、今となっては知る由もないのですが。しかし、五臓は肝、心、、肺、腎の方がしっくり行くのは間違いありません。

  • には足の太陰経という経絡が対応しています。もしこれが間違って伝わっていたのであれば、正しくは足の太陰経だった事になります。そうです、インスリンを分泌する膵臓に対応する経絡なのです。となると、この経絡を調整する事で膵臓の調子が整う、このような観点から消渇(糖尿病)の治療にはこの経絡に所属するツボが多々使われるのです。


■バセドウ病
  • 東洋医学の中には東洋哲学が色濃く入り込んでいます。その中でも陰陽論は大根本になります。「万物は陰と陽の交わりにより生ずる」東洋哲学ではこう考えます。すべての物質、現象、精神世界をも陰陽で説明しています。東洋思想に「中庸(ちゅうよう)、可(か)、不及(ふきゅう)」という考え方があります。中庸はバランスのとれた状態、可は多すぎる状態、不及は不足した状態を現してます。東洋医学では、この中庸を健康な状態とします。

  • ここで陰陽論を少し。陰陽論はあらゆる事物を二元的にとらえます。光と影、天と地、火と水、男と女・・・。より積極的なものの象徴に「陽」を、より消極的なものの象徴に「陰」をあてはめました。具体的には「明、上、暑、熱、外、浮・・・」などには陽、「暗、下、寒 冷、内、沈・・・」などは陰です。ここで重要なのは「明、上、暑」などが全てが陽ではないという事です。陽>陰であって、これでバランスが取れています。逆に「暗、下、寒」は、陰>陽でバランスが取れています。

  • 東洋医学では人体にこの陰陽論をあてはめて考えます。体が中庸の状態なら健康なのですが、可や不及の状態が病気です。以下に病的な陰陽の組み合わせを現してみました。

  •  陰   陽は暴走気味だが、陰には影響を及ぼしていない状態     
  •     陰は暴走気味だが、陽には影響を及ぼしていない状態   
  •      陽は正常だが、陰が不足している状態    
  •     陰は正常だが、陽が不足している状態 
  •     陽が暴走して、陰を圧迫している状態  
  •      陰が暴走して、陽を圧迫している状態
  •       陰陽共に不足した状態

  • さて、ここでバセドウ病の病態を考えてみましょう。この病気は甲状腺ホルモンの過剰な分泌により、眼球突出、甲状腺の腫れ、動悸などを呈します。甲状腺ホルモンには、代謝の亢進や発育促進、精神活動を活発にするなどの作用があります。こういった作用のホルモンが過剰になるので体の中は過活動になっています。陽的な作用のホルモンが暴走している、東洋医学的に考えると という状態になりますね。

  • これらの状況を考えると、陽を抑制してやり、陰を補ってやればバランスを取り戻す事が出来ますね。我々鍼灸師は鍼の用い方、あるいは灸のすえかたによりこれらを使い分けます。不足を補う鍼や灸の用い方を補法(ほほう)、行きすぎたものを抑制する鍼や灸の用い方を瀉法(しゃほう)と呼び治療に用いるのです。


■痛風
  • 鍼や灸には様々な作用があります。現在の鍼灸に一番求められているのはその中の鎮痛作用ではないのでしょうか。腰痛を和らげる、肩こりを取る、膝の痛みを抑えるなど、鍼灸は痛みに対して絶大な効果を発揮します。「風が吹いただけでも痛い」というところから名がつけられた痛風です、その痛みの程度は計り知れません。となると、鍼灸の出番、と、いいたいところだったのですが、ちょっと待って下さい。

  • 過去に一例だけ痛風に出会った事があります。これもそれを目的としての患者さんではなく、脳梗塞後遺症を主訴として来院された方でした。何度か治療をする中で、ある時異様なほど足がむくんでいた事がありました。話を聞くと「痛風だろう」とそっけなく、むくんでいる方の足は麻痺しており、痛みを感じなくなっていたのです。痛みを感じないのなら無理に触る事もない、この時はあえて治療を施す事はありませんでした。

  • さて、今回「痛風」というタイトルを書いて、ふと筆というかキーボードが止まった、痛風の治療法が思いつかないのです。患部をあえて出血させて悪い血液を採る方法が書かれていたのを覚えていますが、これとてうろ覚えの話です。当院にある文献を調べたのですが、どこにも痛風の治療法は書かれていませんでした。しかたなしにネット上を物色、対症療法と思われるものをいくつか見つけたにすぎませんでした。

  • 痛風はプリン体の代謝異常により尿酸が異常に蓄積して起こる病気です。患部の痛みは症状にしかすぎません。ある程度その痛みを軽減させるのは可能でしょうが、それでは根本的な解決にはなりません。代謝異常としての痛風を治してこそだと思われます。今後に課題を残す疾患の一つです。


■貧血
  • 「精神的、肉体的活動の源になるものは『気』『血』『水』である」とするのが東洋医学の考え方です。古代人も動物や人が大量に出血すると死に至ると認識しており、血は生命維持に重要とされていました。当時、血は食物から得られる気と体内の水分により作られていると考えられていました。

  • 虚実(きょじつ)という考え方が東洋医学にはあります。「虚」はむなしいという意味を持っていますが、ここでの虚は「不足しがち」を意味しています。一方「実」には満ちるなどの意味がありますが、ここでは「多すぎる」を現します。中庸(バランスの取れた状態)を健康とする東洋医学においては、虚も実も病的な状態を現しているのです。

  • 血虚(けっきょ)という言葉が東洋医学にはあります、血が虚した状態、血の不足した状態をさしています。血虚=貧血ではないのですが、血虚≒貧血と考えていいと思います。

  • 血は食物から得られる気と体内の水分により作られると書きましたが、貧血の改善には食事が重要という事になりますね。ここから得られた気の働きを活発にさせてやるのが鍼や灸の作用です。きちっと食事を摂り、鍼や灸でバランスを整える、これが貧血改善への道なのです。

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