フロントストラットとブレーキの交換。

MAX3号から使っていたDR30ターボのフロントストラットには色々と不満な点があり、
いつかはジャパンのストラットに戻したいと思っていました。

DR30ターボのストラット&ブレーキは
ジャパンのショックアブソーバとサススプリングがそのまま使えるし、
何と言ってもその巨大なベンチレーテッドブレーキローターとキャリパーが魅力でした。
でも、ソレと引き替えにキャンバー角が起きてしまう(ポジキャン)
トレッドが広がってしまう。
ストラット下部の受け皿が大きいのでボルト2本に負担がかかってしまう。
といった不満がありました。


DR30ターボの大径ブレーキです。

ストラットはジャパンのモノを使いたいのですが、
DR30のベンチローターの安定したブレーキ性能を味わってしまった後では
今さらジャパンのソリッドディスクローターに戻すのにも抵抗があります。

ローターの径はDR30ターボ 274mm
ジャパンGT−ES 270mm
その他のジャパン 253mm
ということなので、元々ESのMAX号には大きさはあまり差がないのですが、
ベンチレーテッドローターの放熱性能や
巨大なキャリパーによって
超高速域からの全力ブレーキや
サーキット走行ではブレ−キフェードしにくく安定していました。

そうなるとジャパンのソリッドディスクではもの足りなくなるのは当然で、
下記の条件を満たすことを優先して考えました。

・ベンチレーテッドローターであること。
・270mm以上のローターサイズであること。
・パッドやオーバーホール部品の入手に不安がないこと。

そうなるとジャパンのストラットにポン付けできる
MK63キャリパーは対象外になります。

まず考えたのは
今使っているDR30ローターとキャリパーを
ジャパンストラットに移植することでした。
ハブはジャパンのものを使い
アダプタを作ってDR30ローターを取り付けます。
キャリパーもアダプタを作ってストラットに取り付け。
コレならいけそうかな?と思って
費用計算をしてみると
約4万円。
市販の300mmローター&4ポットキャリパーステーが5万円ちょっとなので、
そこでまた悩んでしまいました。
キャリパーは手持ちにあるR31のでもいいかも?
と思いながらヤフオクを何気なく見ていた時、
S14キャリパーがR32リヤキャリパーとセットで¥5,000で出ていました。
しかも使っていたモノを外したばっかりというシロモノ。
思わず落札してしまいました。

そうなるともう
市販の300mmローター&4ポットキャリパーステーにまっしぐらです。
さらにこのキット(ハコスカ・ケンメリ用)を出しているショップの会報に
ジャパンに組み込んだ人の記事が載っていました。
ステーをちょっと削って
キャリパーのホイールと干渉する部分を削る。
キャリパーがロアアームに干渉するので
ストラットを左右入れ替えて
キャリパーがストラットの前になるようにする。
とのことでした。

早速300mmローター&4ポットキャリパーステーを注文。
届いたローターにはHONDAの文字が。
「やっぱりホンダ車のローターだったんだ」
ローター厚は25mm。
DR30ローターよりチョビっと厚いだけといのが少々気になりましたが、
R32ローターのように30mmもあるのはどうも抵抗があります。

早速KID号から確保しておいたGT−ELストラットに組み付けてみました。
確かにストラットにぶつかってしまいます。
ベビーサンダーでステーをバンバン削ってクリアランスを確保しました。
でも、今度はステーとキャリパーをとめるボルトの頭がストラットにぶつかります。
ココを締め付けるために購入したAC100V電動インパクトレンチで
ボルトをガンガンに締め付けてから
ステーの削った部分に合わせてボルト頭を削りました。
「大丈夫か?」
ちょっと心配になるものの
あまりひどく削ったのではないし、
先駆者がいるので大丈夫だろうと勝手に決め込みました。

ローターもGT−ESのハブ(ハブ単体で持っていたので)
に組み合わせて仮付けしてみました。
「う〜ん、すごいなぁ」


GT−ELのストラットに仮組みしたトコロ。

とりあえず、検証が済んだトコロでまた悩んでしまいました。
「反対側も削るのか・・・」

ちょうどそのころ友人達と共同で13年間借りていた倉庫を解約することになり
倉庫の整理をしていた時です、
目の前にハコスカのストラットが一式ありました。
しかもショック、キャリパー、ローター、バックプレートの無い状態で。

ハコスカを自力レストアしている友人グレさんに
「くれー!コレをオレにくれー!」
と叫んでいました。
あまりの熱意にグレさんは快くストラットをくれました。

「コレがあれば完璧だ!」

早速ハコスカストラットに組み直してみました。
もちろん完璧です。


DR30ターボローターと300mmローターの比較です。
さすがにデカいです。
大きいハズの4ポットキャリパーが小さく見えるほどです。

あとはハブをどうするかですが、
「これだけすごいブレーキを組むんだからキチンとしなければ。」
ということで
日産部品販売で行って部品注文です。
フロントハブベアリング1台分。
フロントハブオイルシール1台分。
フロントハブボルト1台分。
ハブにローターを固定するボルト1台分。
ハブキャップ1台分。
キャリパー取り付けボルト1台分(リヤも買いました)
ストラットアッパー固定ボルト1台分。
ドライブシャフトをリヤアクスルに固定するボルト1台分。
等々で部品代は2万円にもなりました。

次にハブグリースです。
普通のMP2グリースで良いのですが、
良いモノをということで、
何と200gで¥4000もするnutecのハイパーMPグリースを
3本も買ってしまいました。
うっひゃー!

そして整備要領書にある
黄銅棒(10mm径と25mm径)を買いに行きましたが、
そんな太いのはDIYショップに無いんです。
仕方なく8mmと黄銅棒と20mmのアルミ棒を買ってきました。

準備は整いました。
早速GT−ELのハブを分解に入ります。
ハブベアリングは簡単に取れます。
オイルシールも難しくありません。
ハブボルトは再使用しないのでハンマーでガンガン叩いて抜き取ります。

難関1:ローターとハブの分離。
ハブにローターを固定しているボルトを外してもローターはガッチリくっついていて
外れる気配は全く無し。
こういう時はハブにローターを固定しているボルトをかるくネジ込んで、
このボルトを順番にゴンゴン叩きます。
新品交換するのでネジ頭がダメになってもかまいません。
浸透潤滑剤(CRC556等です)をバンバン吹きかけながら
地道に叩いていると少しずつ外れてきて、
コロンっと取れました。

難関2:ホイールハブベアリングスリーブ抜き取り。
まず、ハブの中の古いグリースをウェスを沢山使ってふき取ります。
整備要領書に従ってハブベアリングスリーブを黄銅棒で叩き出しますが、
スリーブの入る部分にキズを付けないよう十分に気を付けないといけません。
ココも時間をかけて根気よく抜き取りました。
ちなみにハブベアリングはインナーとアウターの2個ありますので、
スリーブも2個あります。
設備のないシロウトには結構しんどいですね。
単体になったハブは残っているグリースをキレイにふき取っておきます。

ここまでできたら今度は組み立てです。

まず新品のハブベアリングスリーブをハブに打ち込みます。
裏と表があるので間違えないように、
外したスリーブをあてがって平行にハブに打ち込みます。
完全にハブに打ち込みきらないと高速走行時等にとんでもないことになります。
○菱トラックどころの騒ぎじゃなく自爆マシンと化してしまうでしょう。
ココは整備工場やディーラーに頼んで
油圧プレスで打ち込んでもらうことをおすすめします。

次にハブボルトを打ち込んでから、
ハブにディスクローターを取り付けます。
大事なトコロなのでしっかりとトルクレンチで規定トルクで締め付けます。
もちろんタイヤを付ける時のように対角で何回かに分けて締め付けないといけません。

ローターが付いたら
次にハブベアリングをグリースの入った袋に入れ、
良くもんでグリースをすり込みます。
ハブにグリースをたっぷりと入れてから
ベアリングをスリーブに被せます。
表裏に気を付けてオイルシールを組み込んだら、
ストラットにハブを取り付けます。

先ほど入れたグリースが出てきてしまいますが構いません。
ハブの中にグリースをしっかり充填してから
ワッシャ、
ホイールベアリングロックナットと取り付けていき、
ここで一度ローターをくるくる回してベアリングやグリースをなじませます。
ホイールベアリングロックナットを規定トルクで締め付けてから
またローターをくるくる回してホイールベアリングロックナットを規定トルクで締め付けます。
何度か繰り返してから整備要領書に基づき規定角度ゆるめます。
そうしたらアジャスティングキャップをかぶせて割ピンで回転止めをします。
あとはグリースをたっぷり塗ってから
グリースを詰め込んだハブキャップを被せて軽く打ち込みます。

これでハブのオーバーホール&組み付けは完了です。

次にキャリパーにステーを組み付けてから
ハブを組み込んだストラットに組み付けて完了!

あとは普通に車両にストラット組み付けるだけです。
ショックアブソーバを組み込んでから
サススプリングを取り付けて
ダストブーツを付けてからアッパーマウントを組み付けます。

今回私はロアアーム等への干渉防止&ロールセンター調整のために
20mm厚のロールセンターアダプタを取り付けました。
ストラットを組み付ける時にちょびっと苦労しますが、慣れですね。

ブレーキホースをR31のものに交換して、
キャリパーに組み付けました。
しかし、キチンと締め込み切れません。
でも、あわてずに取り付けボルトを数mmサンダーで削って組み付け完了です。


このブレーキを組むにはホイール変更は避けられません。
MAX1号で使ったことのあるATSタイプAはまさにうってつけ。
スペーサも何も使わずにドンピシャでした。


ホイールディスク面との隙間は約3mm。
実物を見てみると数値で言われるよりキツキツな感じです。

 


ホイールの裏側クリアランス。
このブレーキのタメのようなホイールです。
(画像のストラットはGT−ELです)

ブレーキのエア抜きをしてから
会社近くの農道?でブレーキの焼き入れです。
ブレーキを踏んだまま2速でターボをきかせながら
制限速度の30km/hくらいで数km走り回りました。
止まって(フェードを起こしているので止まらないです)から
ローターを見ると真っ赤になっています。
ブレーキパッドからはもうもうと煙が上がっていてすごいことになっています
と、その時前方から怪しいオーラを放つ白いセダンがやってきました。
ピンっ!ときました。
すぐにジャパンに乗ってシートベルトを締めると
その場を立ち去りました。
すれ違いざまにセダンを横目で見ると
青い制服の人が2人こちらを見ていますが知らんぷりして帰りました。

会社に戻ってからブレーキが自然冷却するまで仕事をしながら待ちました。
ブレーキの確認をしながら帰宅しましたが、
ハブベアリング&グリースがなじんでいないのか
走行抵抗を感じます。
ブレーキも踏みしろはしっかりしていますがききません。

イッケーさんのレポートでは500kmほど走ったら
すごく利くようになったとのことなので
しばらくはナラシということですね。
ちなみにその日はフルブレーキングでもタイヤロックできませんでした(危)


組み付くとこんな感じです。
放熱性を考慮してキャリパーはストラット前に装着しました。

 






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