エンジンの点検(後半はMAX1号と2号のお話しです)


先日のエンジンブローの状況を確認するためにシリンダヘッド降ろしとピストンの点検をしました。
マニホールドを外すと結構手間と時間がかかるんで、ターボまでくっついた状態でヘッドを降ろすことにします。


まずはジャッキアップしてフロントパイプ(ターボから触媒に行っているパイプ)を外します。
そしてターボからオイルパンにオイルを戻しているパイプも外します。
これでエンジンはかけられなくなりました。
ジャッキをおろして上側の作業に入ります。

ボンネットを外します。
結構重いんで2人くらいで作業した方がいいですね。


ボンネットを取り外されたMAX4号。
手前にフロントパイプがころがっています。

ショート事故防止のためにバッテリーのターミナルを外します。
そしたらヘッドやマニホールドとつながっているケーブル、ホースをみんな外します。
気をつけて良く確認しないとヘッドは外れません。
ここで1番気をつけないといけないのは燃料配管です。
外したとたんにガソリンがドボドボと吹き出しますんですぐさまボルトをねじこんで塞ぎます。
MAX4号は1番インジェクタからガソリンが少しにじんでいたんで
インジェクタも配管ごと取り外しました。


これは?
スロットルバルブの拡大画像です。
こんなちっちゃい口径なんですね。
通常ここはブローバイガスで真っ黒けに汚れているんですが、
MAX4号にはオイルキャッチタンクが付いていて
ブローバイのオイルミストを除去してくれるんでこんなにきれいです。

 

外せる状況になったかよーく確認します。
そして、タペットカバーを外します。


タペットカバーを外したところです。
まだインジェクタや燃料配管がつながったままですね〜。


カムシャフトを駆動しているチェーンがかかるカムプーリーを外しますが、
フロントカバーを外さないのならチェーンテンショナーの飛び出し防止をしなくちゃいけません。
私は手頃なドライバーに細い電線をくっつけたものを使ってテンショナーのところに挟み込みました。
そしてカムとチェーンの位置関係を元通りに戻せるようにプーリーの1番のマークにかかっている
チェーンのコマに印をつけました。
そしてプーリーを止めているボルトを緩めます。
ものすご〜くキツイので全身の力を振り絞ってやっと緩みました。
ボルトを外してからプーリーを外します。

ここまでできて初めてヘッドボルトを外すことができます。
ヘッドボルトは全部で14本。
ヘッドの外側のボルトから対角に中心のボルトへと順繰りに緩めていきます。
一気に緩めないで少しずつ緩めましょう。
これを守らないとヘッドが歪んでしまうぞ〜。

14本全部が外れたら、ヘッドをコンコンって叩いてブロック側と分離させます。
後はヘッドを「うおりゃあああ!!」っと持ち上げます。
マニホールドやターボも付いているのでものすごく重いです。
ココで「やっぱり誰か助手を頼めばよかったかな〜」と後悔するんですね。


ヘッドの外れたエンジンです。
ちゃんと6気筒ありました。(あたりまえだ!)


ヘッドを外して安全なところに置きます。
このとき間違っても燃焼室面が接地しないようにしてください。
バルブが曲がって使いモノにならなくなります。
私はタペットカバーを逆さにして、そこにヘッドを逆さにして置きました。


こんな感じです。
タペットカバーが見えないからわかりにくいかな〜。


さて、問題の5番シリンダはどうなっていたでしょうか?


5番シリンダピストンヘッドは?


溶けてる〜!!!
タナ落ちだー!


しっかりピストンが溶けていました。
しかも想定していた最悪の状態よりももっとひどくて
「タナ落ちしていたらピストン買ってきて交換。ついでに全気筒ピストンリング交換だな」
なんて考えていたのに、ピストンが溶けてシリンダに溶着しちゃってるじゃないですかー!

愕然として意識がとんでしまいました。

次の瞬間無意識のうちにヘッドのマニホールドを外し始めていました。
「おっ!1番と6番の排気マニホールドのスタッドボルトが無いぞ」とか
「ん〜、やっぱジャパンの排気ポートにはライナーが入ってるな」なんて言ってました。


マニホールドを外したヘッド。
排気ポートにライナー(丸い筒状のモノ)が入っているのがわかりますか?


1番の吸排気ポート。
わかりにくいけど排気ポート左側にあるはずのスタッドボルトが折れてしまっていて付いていません。


6番の吸排気ポート。
排気ポート右側にあるはずのスタッドボルトが折れてしまっているのがわかります。

この排気ポートのライナーってヤツがくせ者で、古くなってくると酸化して取れてくるんです。
そしてターボに入って・・・ガガガガ!
悪くするとタービンの羽根が壊れてしまいます。
ライナーの事を知らずに「ターボが壊れた」って言って交換すると、
最初はバッチリ直ったつもりでも・・・ガガガガ!
また壊れるんですね〜。
10万km以上走行しているジャパンターボは気を付けないといけません。
特にブーストアップや社外ターボでパワーアップしているエンジンはヤバいです。

MAX1号はこれでダメになりました。
1987年。
走行中に「パキューン!」て音と共にブーストがかからなくなりました。
最初はターボがイカレたと思ってターボを外してみたんです。
見た目は何ともないんですが、タービンが引っかかって回りません。
ターボを持ち上げて振ってみたら中からカラカランって金属の塊が数個出てきたんです。
それはタービンに叩かれてクチャクチャになってしまったライナーでした。
排気ポートのライナーの話は知っていたので「俺のもか?」と思ったんですが、
ライナーがターボから抜けるとタービンはスムーズに回ります。
良く点検すると何ともないようなのでそのまま組み直しました。

数日は快調にターボも効いていましたが、再びブーストがかからなくなっちゃったんです。
またターボを外してライナーの破片を取り除きます。

しばらく快調に走りましたが、またターボが止まっちゃうんです。
そしてまたターボを外してライナーの破片を取り除きます。

こんなことを何回か繰り返すうちに
「そろそろ寿命なのか?」と思うようになり、MAX2号を探し始めるようになりました。

1988年MAX2号を購入して1年程はソコソコ快調でした。
HKSのフルタービンキットTO4E+HKSインタークーラーで
まるでマシンXのように中央高速や東名高速、第三京浜、首都高等を突っ走りました。
1989年のある日「何か調子悪いな」と思ったんで、それからはゆっくり走るようにしていました。
数日はそんな調子でいましたが、ある時全開加速してしまったんです。
ガラガラガラガラ・・・。
エンジンからいや〜な音がしています。

「エンジンを載せ換えよう」MAX1号の時には思いもしなかった事を実行します。
「ECCSエンジンなら排気ポートのライナーは無いし進化していると聞いたことがある」
時間も技術も無かった私は解体屋さんでHR30のECCSエンジンを見つけてきて
横浜のタXボっていうお店に相談してみました。
「うちはポン載せはしないよ」っていうんで「メタルヘッドガスケットにしてください」って
頑張ってみるものの断られてしまいました。

しかたがないんでアメ車に乗ってる友人の紹介でアメ車のお店に頼みました。
待つこと数ヶ月、
仕上がったMAX2号は友人に運んできてもらう途中でTO4Eタービンがイカレてしまいました。
その後MAX2号は純正タービンで1年ほどは快調に走っていましたが、
6番の排気ポートのスタッドボルトが無いので排気漏れをするんです。
低速加速時にダダダダッってアメ車のような音がします。
「アメ車のお店で載せ換えたからって何も直6エンジンがこんな音しなくっても・・・」
と思い、「ヘッドを乗せ換えよう!」とアパートの前の路地でヘッド降ろしです。
適度に回していたのと、エンジンオイルをきちんと交換していたのでヘッド回りも燃焼室もキレイです。
ヘッドは以前ECCSエンジンを買った解体屋さんでヘッドだけ売ってもらってきました。

最初はECCSエンジンの吸排気マニホールドをそのまま使おうと考えていましたが、
ジャパンとは位置関係が合わないことが判明。
しかたなくジャパン用のマニホールドを合わせてみてビックリ!
マニホールドが歪んでいる。

また解体屋さんに行きました。
ジャパンの解体車は無く、転がっているL20ETを物色していました。
すると、インマニはECCSなのにエキマニはジャパンのと同じエンジンを発見!
C31?
ジャパンターボと同時期にモデルチェンジしてR30と同時期に販売されていたローレルです。
「こいつは使えそうだ!」速攻で購入しました。
そしてヘッドの載せ換えです。
メタルヘッドガスケットもちゃんと入れてね。

だけどそのエンジンはセルを回すとガッ!といったまま回らなくなってしまいました。
おそるおそるヘッドを外すとバルブがピストンに当たって曲がっていました。

また解体屋さんでヘッドを売ってもらって載せ換えました。
「今度は完璧だ!」
バルブタイミングもバッチリですしクランクプーリーを手動で回してみても問題ありません。
タペットカバーを付けようとして、ふっと見るとバルブが1本上がってきません。
「こいつもダメか〜!」

もう頭にきていたんで今度は解体屋さんでエンジンを丸ごと1基買ってきました。
解体屋のおじさんは「またダメだったのかい?じゃあおまけしてあげるよ」と
3万円のところを2万円にしてくれました。
今度のエンジンは自分の目でしっかりと状態を確認してきたのでバッチリです。
昭和59年式で走行距離28000kmのAT車のエンジンでした。

MAX2号は友人に牽引してもらってアパートの裏手にある運動公園の駐車場に移動しました。
そこで友人は用事があって帰ってしまったので、自力で載せ換えです。

3m以上はあるだろうと思われる鉄パイプ3本にワイヤーを通して3脚にします。
それをエンジンルームの上に広げてからチェーンブロックをぶら下げます。
エンジン側はミッションとの連結部、エンジンマウント部、
エアコンコンプレッサー等を外しておいて、ヘッドのないエンジンに
ロープをかけてチェーンブロックで持ち上げました。

すかさずジャパンを押して3脚下からどけます。
そして換装用のエンジンを載せた軽トラに入れ替えて、外したエンジンを降ろします。
新しいエンジンには吸気マニホールドや排気マニホールド、
タービンやデスビ等がすでに組み込んであります。
このエンジンをチェーンブロックで持ち上げておいて、軽トラとMAX2号を入れ替えます。

さすがに1人じゃ上手くエンジンルームに収めてミッションとくっつけられないと思ったので、
パーソナル無線でアパートに居る彼女(現在の妻ではありません)を呼び出し、
「エンジンルームに収まるまで手伝ってくれ!」とチェーンブロック操作を頼みます。

最初は自分でエンジンルームに2/3位入れようとしていたら、ガツッ!
エンジンがコアサポートにぶつかってしまいました。
それでもめげずに大体の位置を出して彼女にバトンタッチしました。

私はエンジンとミッションの位置関係を見ながらエンジンを手で誘導します。
「ちょい下げ、行き過ぎた!ちょい上げて!」などと指示しながら
なんとかエンジンは所定の位置にハマりました。
今思うとよくミッションと合体できたもんだと思います。

あとは1人で配線、配管をつなげていって何とか完成しました。

そして、今度は大丈夫!とセルを回します。
ガソリンが回るまでの長めクランキングでエンジンは目覚めました。

各部を入念に点検して異常がないことを確認したら試運転です。
「あまりパッとしないエンジンだな」などと思いながらMAX2号は快調に走りました。

その後このエンジンはMAX3号に引き継がれることになるのですが、
ATのエンジンだったこともあって慣れてくるまでは回らないエンジンでしたね。
でも、だんだん高回転まで回るようになって
車検の時には車屋さんに
「このエンジンものすごく調子いいけど何かやってるの?」
と言われるまでになりました。

ECCSエンジンの良いところは

排気ポートにライナーが無い。
6番の排気ポート横のスタッドボルトがエンジン吊り金具と共締めになっていない。
(スタッドボルトが折れにくい)
カムの作用角が低いんで低速域が扱いやすい。
贅肉を削ぎ落とされているため軽い。

です。

でもジャパンに載せるためには何ヶ所か注意、変更しなければいけない場所があります。
知りたい方は掲示板ででも質問してみてください。

 

 

ところでMAX4号どうしよう?

つづく。

 

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