現在の名称  :得度山切幡寺

所在地   :徳島県阿波郡市場町切幡
宗派    :真言宗
本尊は千手観世音菩薩と即身成仏信女。四国霊場第10番札所。縁起では空海の開創という。切幡丘陵の南面に位置する。弘仁年間に空海が四国巡錫で当地に来た際信心深い機織の少女が織りかけの布の中ほどを切って空海を接待した。空海は少女の願いを入れて千手観音像を刻み、また得度灌頂を授けた。少女はたちどころに光明に輝く千手観音の姿となって即身成仏したので空海は堂宇を一夜で建立し得度山灌頂院切幡寺と命名したと伝える。
南北朝期阿波国で有力な寺院であったようで、足利尊氏、直義兄弟の発願によって国ごとに設けられた安国寺と利生塔のうち利生塔が置かれることとなった。応安4年4月日付讃州善通寺誕生院住持申状案などによれば、歴応5年3月に塔の落慶供養がおこなわれた。切幡寺は守護細川氏の崇敬を集めており、利生塔の設置もこれによるところが大きかったといわれる。
室町期寺運は隆盛を極めたが、天正年間堂塔を焼失。その後復興され、元禄年間刊行の「四国へん礼霊場記」に大師堂が見え札所として栄えていた様子がうかがえる。明治42年再度堂宇を焼失した。その後再興して現在に至る。
本堂の上の中腹にある大塔は明治6年に大阪の堺から移建したもので国重文。多宝塔とは異なり、二重の方形で全国的にも珍しい様式である。
               
角川 日本地名大辞典 徳島県 より
関連リンク

   切幡寺                四国千寺社
      http://www.nmt.ne.jp/~ohno6257/r8810.htm

切幡寺へは徳島市から伊予街道を西に向かう。阿波川島から北に向かうと切り幡寺の案内が出てくる。
切幡寺は札所と大塔が有名なせいかその説明のみである。利生塔の寺という表現も意識も無い。たしかに大塔は見ごたえがある。


2002/11
本堂とその上の中腹にある大塔
大塔