官寺を増やし私寺を違法化


延喜式では、国家が関与する寺院を、大寺、国分寺、定額寺の三種に区分している。

@大寺  大寺とは私寺に対し官寺をいうのが原義。(国分寺が姿をあらわした)天平宝字元年の段階の大寺は東大、元興(飛鳥)、大安(大官大寺)、薬師、興福、法花、弘福、法隆、四天王、崇福、新薬師、建興(豊浦寺)、下野薬師、筑紫観世音の14寺であろう。

A国分寺  聖武天皇の詔により造営された寺。定額寺を改造したものもある。

B定額寺  もともと皇貴族や僧侶などの私に建立した寺や道場が国家により公認され、(略)政治経済的保護・統制が加えられた寺と考えられ、しだいに大寺、国分寺に次ぐ一種の寺格を与えられた寺と考えられる。こうした内容を含むとすれば、定額寺の起源を書記天武8年4月の「是日、定諸寺名也」に求めても大過ないであろうし、(略)。
私有寺院整理のため、主な私寺に官額を下賜し、これを定額寺とし、以外の私寺を停廃した。あるいは、寺号を書した官額を与え公認の寺とし、以外の私寺は私の道場として公認せずの説がある。
                   
新日本古典文学大系14 続日本紀三 補注   岩波書店

2001/2