UPDATE 2005.11.27
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プルルルルゥ・プルルルルゥ・プルルルルゥ。
あの夜から一夜経った夜、啓太郎のアパートの電話が鳴った。
「もしもしぃ、だぁ〜れだ」 「おぉ、陽子」
「昨日はご馳走様」と陽子。 「おう。でも遅くなっちゃって、家の方は大丈夫だった?」 「うぅ〜ん、あんまし大丈夫じゃなかったけど、まぁ大丈夫」
自分から陽子の自宅に電話を掛けようと思っていた啓太郎は、 陽子から掛かってきた事に少々驚きながらも、世間話をし、 啓太郎は切り出した。
「今度、遊びに行こうよ」
「うん、いいよ。何処に行くの?」
「うぅ〜んそうだなぁ、とりあえず後楽園遊園地(現ドームシティ)でも行こうよ」 と啓太郎はベタな誘いをかけた。
「うん、行こう、行こう」
啓太郎と陽子は、昨晩関係を持っているため、当たり前と言えば当たり前なのだが、 かなりスムーズな会話をする事が出来るまでになっていた。 しかし一見恋人同士気分なのだが、あくまでも彼女には彼氏がいて、 基本スタンスは、彼女も変えていなかった。
ただ啓太郎は、彼女は「二股をかけている」状態であり、 自分は「二股を掛けられている」という状況には変わりは無く、 今となっては強引に行くのではなく、真摯に“それ”を受け止め、 自分の気持ちをアピールしながら地道に待つことにしていた。
「ねぇ、啓ちゃんって何色が好き?」
「あっ?俺?。うぅ〜そうだなぁ、紺色とか好きかな。」
「ふぅ〜ん」
と、 一通りに会話を終えて、その週末の休日に逢う約束をし電話を切った。
そして週末が来た。
水道橋駅前での待ち合わせ場所に、待ち合わせ時間より若干早くついた啓太郎に 「おはよー」と陽子が笑顔で手を振ってやってきた。
「みて見て見てぇー、啓ちゃんが紺色好きだって言ったから、紺色の服着できたんだよぉ」
彼女を落とすつもりが、 この時点で、啓太郎の方が、「落ちた」
その日から、「主導権を自分が握る」つもりでいた啓太郎の生活は、 陽子を中心として始まることとなる。 |