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UPDATE 2005.11.13

 【第 6話】 始まり

「マジでぇ〜。飲んじゃうよぉ俺」

 

まだ、さほど酔ってはいない啓太郎は、そんな計算を思いをめぐらせながら

グラスにジャックダニエルを注いでくれる陽子にも、啓太郎は

 

「陽子も薄めでいいから飲めばいいじゃん」

と酒を勧めた。

 

「うん」「絶対薄くfだよ」

 

と言われながら、啓太郎は陽子に水割りをつくり、

改めて乾杯となった。

 

「ちぃ〜っす」

 

カウンターの向こう側では、白髪で初老のピアニストが

スロー・ジャズピアノを奏でている。

 

たわいも無い会話と笑いの中で、

2杯・3杯と飲んでいるうちに、陽子も酔ってきた。

 

男であろうが女であろうが、酒を飲むと気がゆるくなるのは、

酒の力なのだろうが、

得てして、男と女の間では、その“酒の力”を利用して

お互い、言葉ではハッキリ言えないけど、

つまり、“自分からは言えないけど”、

こんな感じで“なよってる”んだから、貴方から誘ってよって。

 

陽子は、ちょっとした陽子の発言に

逆説的に「っじゃねぇのぉ?」と突っ込む啓太郎に

「もぉ〜〜〜〜」とか言いながら、

啓太郎の膝に手を突き微笑みながら肩を寄せてきた。

 

啓太郎は、その瞬間に「今夜は貰った!」と確信した。

 

啓太郎の左肩に、彼女の右頬が乗っている状態で

啓太郎が言った。

 

「一回、俺ん家寄って、飲んでっから帰るぅ」

 

「うん、いいよ」

 

そして、啓太郎は、陽子と自宅アパートへと帰ることとなる。

 

「この間、ってことで、いらっしゃいませ」

 

 

 

 

啓太郎と陽子は、啓太郎の「神楽坂」のアパートへと着いた。

 

「えぇー、ここが啓ちゃんの部屋だつたよねぇ」〜」

 

 

と言うか、言わないあいだに、啓太郎は

 

「陽子の唇をソッコーで塞いだ後にこう言った。

 

 

 

「今から、始めてみないか」

 

「かりそめのSwing」

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