UPDATE 2005.10.10
|
|
多少の期待はあったものの、本当に1ヵ月後に電話があった事に、 啓太郎は俄然やる気になっていた。 後は、もし今夜自宅に電話があれば、彼女に彼氏がいようとも、 少なくとも、自分に興味があるという事は間違いない。
午後9時過ぎにアパートへと帰った啓太郎は、電話が鳴るのを待った。 しかし1時間以上過ぎてもならない電話に啓太郎は「やっぱ、ねぇか」と 諦めかけていたその時、アパートの電話が鳴った。
「プルルルル・プルルルル・プルルルル・プルルルル・プルルルル」
啓太郎は5コール待ってから電話に出た。
「もしもし」 「もしもしぃ、だぁ〜れだ」
間違いなく陽子だ。
「おぉ、陽子、電話くれてありがと」
「ちゃんと電話したからね、約束は守ったからそれじゃぁねぇ」
「おいおい、またかよ。折角自宅に電話くれたんだから ゆっくり話そうぜ」
「なんで?」
「なんでじゃねぇよ、俺は惚れた女と喋りたいんだからしょうがねぇだろ?」
「ホントぉ?」
「当たり前じゃん」 啓太郎はこの瞬間を逃すまいと、話を続けた。
「良く、一ヵ月後の今日を覚えてたね。 スッゲ−嬉しかったよ。マジで。」
「うん。約束だからね。でも私彼氏いるよ。」
「おぉ解ってるよ、そんなもん。何年位付き合ってんの?」
「1年半くらいかな。でも最近、イマイチ」
「何処で会ったの?」
「ビリヤード場で声かけられたの」
「へぇ〜」
と、少しづつ彼女の情報を引き出しつつ、 世間話を1時間ほど会話した後、陽子から意外な相談事が 啓太郎にされた。
「実は、何日か前に啓ちゃん家に行こうと思ったんだ。」
「え?」
「両親が夫婦喧嘩して、もう嫌で家から出たかったの。 家から逃げたくても行く所もなくて、 それで、思い浮かんだのが啓ちゃんだったの」
「来れば良かったじゃん。でも彼氏ん家とかは?」
「ん〜ん、なんか、啓ちゃんが浮かんだの」
「マジで?俺はいつでもOKだよ」
ある意味、充実した会話を2時間ほどしてから 啓太郎が陽子とまた会うべく誘った。
「今週さぁ、飲みに行こうよ」
「うん、いいよ。でも啓ちゃんは水割り3杯までしか飲んじゃダメだよ。 それ以上飲むと、啓ちゃんHになるし。 3杯までしか飲まないなら、行ってもいいよ。 約束だからね!啓ちゃんが3杯以上飲んだら私、帰るからね。」
「おぉ、飲まねぇ、ぜってー飲まねぇよ」
「じゃ、いいよ」
「それじゃぁさぁ、今週の水曜日に 銀座SONYビルの1F入り口で午後7時って事で」
「うん、解った」
|