第72話:「女王様とお呼び」
<update/2005/06/25>
最初に断っておくが、俺はいたってノーマルで、健全な日本男児だからな。
以前、第40話 :「サディスティックな夜」 update/2002/06/23 で
SMチックな話を書いた事があるのだが、実は昨年あたりから、
若干その世界に接する機会がある。
「ビザール・ラウンジ」
と呼ぶのらしいのだが、解りやすく言えば、
「SM嗜好の館」かな。
どんなお店かというと、「クラブ」や「ラウンジ」や「キャバクラ」と言えば、
華やかでゴージャスな装飾の店内で、
美しき蝶たちに囲まれて、鼻の下伸ばして、いつもより高い金払ってるのに
アホ面して有頂天になって酒を飲む場所なのだが、
この銀座にある「ビザール・ラウンジ」は、当然ちと違う。
かなり怪しい入り口。
扉を開ければ隠微で妖しい装飾の店内。
当たり前のようにさり気なく掛けられた「鞭」の数々。
舐めるように揺れる蝋燭の灯り。
そして、
我々の接客をしていただくのは当然、
ボンテージファッションに身を包まれた、
多数の女王様方
かなり、本物志向です。
なぜ、そのようなお店に、たまぁ~に行くようになったかと言うと、
その店のママ(多分)が、たまたま当マーヴェラスな憂鬱をご覧になられていた方で、
ある時、面白かったですとか言う内容の他に、
銀座でこんなお店をやっているので、是非一度、お気軽にいらして下さいな。
ってなメールが俺に届いたからだ。
そう、あくまで、当サイトを閲読していただいていた方が、
たまたまその店の方で、「お気軽にどうぞ」とメールに書かれていたので、
折角だから一度は行ってみようかなと思い、
そう、「折角だから」行ってみただけで、他に他意は無いからな。
で、
文面などからして、いわゆる迷惑メールとは違い、本当の内容だと思ったので
記載してあったお店のHPを覗いて見てみたものの、
こいつぁ~、この店、
DEE~~~~~EEEEEP!
ディ~プ過ぎるぜ、
その名も「TABOO」
!!!!!R指定!!!!!18禁!!!!!
(サイト内「PHOTO BBS」と「STAFF」コンテンツ拝見が、雰囲気を理解する早道。
ただし、断っておくが「PHOTO BBS」に掲載されているような事がいつでも開催されている訳ではなく
店のイベント時のものらしので。俺は出くわした事が無いので悪しからず。)
か、かなりディープな感じがしたので、幾ら会社から近いといっても暫くの間、
行くのを躊躇していたのだが、去年だったか、後輩拉致して飲んだ勢いで、
お店に行った。
勿論、最初は店内のディ~プな雰囲気に呑まれ少々ビビリ気味だったのだが、
飲みながら話を聞くと、
確かに客の多くは本物志向みたいだし、女王様たちは本物だけど
ノーマルなお客には、それなりの普通の対応をしてくれるので、
俺らにとっては、いわゆる「リアルコスプレ・パブ」的感覚で飲めるので安心である。
なんつったって目の前に居るのは単なるボンテージのコスプレ好きな女性じゃなくて、
ところ変われば、本物の女王様に豹変するんですから・・・。
とまぁ、そんなかんだでその店に酔った勢いで、たまぁ~に行くようになったのだが
(またまた断っておくが、俺は一人で行った事は無いからな)
その店から先日、DMが会社に届いた。
飲みに行った先で名刺とか出すので、会社にお店からDMが届くのは、
珍しくないのだが、店の趣向が趣向だけに、
内容も少々ハードである。
封筒に入っていたものは、お店の割引券と
「SMイベントチラシ」
キッツイぜ!
内容よく読んだら、俺の領域遥かに超えてて、
ステージ高過ぎです。
だってよぉ、演目の中の1つを見たら、
「ルドルフと素敵なゲロ娘2」
「イケメン外人の嘔吐オーケストラ」
って、
はぇ?
意味わかんねぇし・・・・。
「嘔吐」と「オーケストラ」って単語、
普通繋げて使用する事なんか、ねぇよな。
少なくとも、俺ぁ~使った事ねぇぞ。
しかも、チラシよく読んだら、
「当日の服装は、なるべくボンテージ系の服装でお越し下さい」
見たいな事が書いてある。
じゃぁ、なにか?
俺がもし、行く場合は、
最近巷のTV番組で流行の、
「ハァ~ド・ゲイです!フゥ~!」
とか、やってる奴みたいな格好して行かなきゃいけねぇのかぁ?
不可能です。
ってな事で、イベントには行くつもりは無いのだが、
実は、このイベントご案内のお店のDMに、あるメッセージが含まれている事が
発覚したのである。(俺は、そうみた)
普通DMというのは、販促ツールの中では、
最もポピュラーで簡単で手軽な手法の一つである。
簡単で手軽といっても、大抵はお客様が勤務する会社宛に出すわけで
そのお客様には最低限の注意は払わなければならないわけで、
大体は、差出人はお店の名前ではなく、個人名や、
「○○エンターテイメント」や「○○インターナショナル」とか、
実は、何気にバレバレな企業名で出してくるのが普通である。
そして、なんと言ってもDMと言うのは、
お客様にお店に来てもらえるようお店をPRするのだから、
普通の店は、
お客様に失礼の無いようにしなきゃいけない。
いや、
常識的にみても、あて先は間違えずに、
普通の店は、
名前など間違えるのは、もってのほか、
たとえ、PCにお客様情報入力してプリントアウトした宛先ラベルを
貼っただけかもしれないが、
「社名」「役職」「名前」など間違ってはいけない。
お客様が不快に思うような事は避けなければいけないのが
普通の店の常識である。
例えば、俺にはその店から、普通にこんな宛先で、会社宛にDMが届いた。
と、まぁ、普通だわな。
ところが、実は同じ内容のDMが、一緒にその店に行った事がある
若い後輩にも届いていたのである。
本人は、名刺を出した覚えは無いと言っているのだが、
その、「宛先」が、ちと変わっていた。
本人は、名刺を出した覚えは無いと言っているので、
その「宛先」でDMを出す事になった女王様のつぶやきを、
俺が、勝手に推測しよう。
~女王様のつぶやき~(俺の憶測)
「健地蔵さんと何度か一緒に来たことがあるあの男(こ)」
「あの男(こ)にも、DMだそうかしら。」
「会社は、健地蔵さんと同じだから、同じ住所で大丈夫よね。」
「あれ、でもあの男(こ)、名前何だっけ?」
「苗字わからないけど、下の名前、“のりやす” だっけ?」
「どんな漢字で書くのか、わからないわ。」
「でも、まっ、いっか。呼び捨てで。」
「あの男(こ)も私の奴隷にしちゃおうかしらん。」
「呼び捨てで宛先プリントアウトしちゃったけど」
「やっぱ、会社宛に出すのだから呼び捨てはまずいわよね。」
「じゃ、取って付けたように手書きで“様”って書いあげるか。」
ってな、つぶやきがあったかどうかは知らんが、
後輩宛てに、こんなDMが届いた。
さぁ、典やす、
私を、
「女王様とお呼び」
女王様の
調教の始まりです。
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