99. バーレーンへ移動
10月31日 ラーワルピンディからミンゴーラまではバスなら6時間程度かかります。それを避けるために空路にしました。朝6時にタクシーでイスラマバード空港に行き(80ルピー)、搭乗手続きを終えてもうすぐ搭乗時刻という段階になって、待合所に「悪天候のためフライトはキャンセル」とのアナウンスが流れました。1日1便しかないので、これでおしまいです。パキスタンの北部は山岳地域ですから、航路に雲がかかっているとキャンセルされてしまいます。旅客機や軍用機が山に墜落というニュースが流れることもあります。チケットを払い戻して徒歩で空港を出ます。空港へのタクシー代が無駄になったので市街地に戻る費用を節約します。
空港出口から200mくらい先のT字路の一角に「スズキ」の溜まり場があります。軽トラの荷台に座席をつけて幌を被せた超小型の乗合タクシーです。スズキは空港内に乗り入れることができない決まりになっているらしくて、少し離れた場所から発着しています。ここからラージャーバザールまで2ルピー、別のスズキに乗り換えてピールワダイのバスターミナルまで2ルピーで行けます。ミンゴーラ行のバスはすぐに見つかり、43ルピーでした。私が乗り込んだバスは満席になると出発します(9:30)。大都市と地方を結ぶバス路線の主役は、日本の「ハイエース」のような業務用の箱型バンを改造したものです。それに20人くらいを詰め込んで乗せるので、隣のおじさんと腰から肩までが密着状態になってしまいます。シートの幅と間隔は狭く、日本人の平均的な体格よりやや小さめの自分でも膝が前列の背もたれに届きます。背高足長の乗客は膝を斜めにして狭いスペースに器用に座り込みます。シート自体もいわゆる「パイプ椅子」レベルの貧弱なものです。大都市間を走るフライングコーチよりもはるかに過酷な乗りごごちです。途中、一回の休憩を入れて15:30頃にミンゴーラに到着。もう一度乗り換えて80分でバーレーンに到着しました。時刻は16:50、雨が降っていてHotel Zahoorに駆け込みました。
100. 調査の準備
11月1日 バーレーンに滞在してインダス川本流沿いの調査の装備を整えます。酷暑から一転して寒くなる可能性もあるので、バザールで古着のフード付きコートを入手(100ルピー)。調査すべき範囲は北東南西方向におよそ 70 km に渡ります。この区間の調査は、バーレーンを拠点にスワート川沿いにバイクで行動したのと同様に、どこかに宿泊してバイクで日帰りの行動を繰り返すことになります。簡単なようですが、上部スワート渓谷とは大きく異なる条件があります。当時のこの地域はカラコラムハイウェイをギルギット方面またはイスラマバード方面に移動するための単なる通過経路にすぎません。予備調査の際にパタンからチラースまでの間のインダス川本流沿いを往復していますが、まとまった集落を見かけた記憶はありません。おそらく道路ができる以前には人が定住して町を作れるような場所はほとんどなかったはずです。目に映る景色は岩だらけの山肌と、そこに刻み込まれた「引っかき傷」のような道路、そして灰色に濁ったインダス川の流れです。(下の画像)