ビクター  XA−HD500     定価\オープン (2005年11月発売、06年12月購入)


 K2テクノロジーを搭載したスタジオチューニング・モデル  

正面 



    主な特徴

 1.圧縮の際に失われた情報を復元し高音質化するCCコンバーター
 2.ネオジウムマグネット使用のカナル型イアホン付属
 3.連続再生30時間のタフバッテリー



    音 質   ★★★★

 本機に付属のヘッドホンは同社の「HP−FX55」と同等のもので、
 8.5mmのドライバーを用いたカナル型。評価はこの付属ヘッドホンを
 使った音質を対象とした。
 
 一聴して驚いた。低音が出過ぎでボワボワな音になっているのだ。
 これは低音増強機能「AHB:アクティブ・ハイパー・バス」がONになっているからで、
 オフにしたら普通になった。AHBがONの状態がデフォルトになっているのは
 確信犯なのだろうか?おかしいと思う。
 
 AHBをOFFにして、フラットな状態にしても低音の支えは非常に
 しっかりしており、室内で聴く分にはこの状態でも満足できる。
 外出時では街の雑踏に低音が若干かき消されるので、
 5バンドグライコ機能を使って低域を+1した。
 高域はもともと少し不足気味だったので+2した設定を登録した。
 低域から中域にかけては力感があって非常にしっかりしており、
 CHEMISTRY、中島美嘉、ヘビメタなどを躍動感豊かに再生した。
 高音はチキチキシャカシャカという粒立ち感がやや物足りない印象も受けるが、
 ヘッドホンを替えれば解消しそうな感じがする。
 
 CCコンバーター。
 同社のAVアンプ「AX−D701」にもこの機能は付いていたが、
 その時は差がほとんど分からなかった。
 本機のは差がわかりやすい。ヘッドホンだから分かりやすいのだろうか?
 高音が前に出てくる印象で、音場の見通しが良くなる。
 常時ONで間違いない機能だ。
 
 エモーショナルサラウンド機能というのも付いている。
 「エナジー」「クリスタル」「ハートフル」「サブウェイ」の4モードある。
 「エナジー」は広めの空間を感じさせる残響が少し付き嫌らしくない。
 ただ、低音が強く出るようになるので付属ヘッドホンでは少々ブーミー。
 「クリスタル」「ハートフル」は特殊効果みたいな感じで個人的には
 用のないモード。「サブウェイ」は狭めの残響が付く感じ。
 
 「サブウェイ」と名前が似ているが「トレイン」モードが存在し、
 これは音漏れ低減モード。高音が引っ込む。
 しかし本機に付属のヘッドホンは密閉型で、しかもシリコンイヤーピースで
 遮蔽されるためもともと音漏れ自体がかなり少ないので、使わずともいいと思う。
 
 違和感を感じたのは、AHB、5バンドイコライザ、エモーショナルサラウンドは
 それぞれ単独でのみ動作し、掛け合わせができないという点。
 音質調整機能とサラウンド機能は掛け合わせできるのが普通だと思うが・・・。
 掛け合わせする必要があるかというとそれは不要なのだが、
 製品仕様として腑に落ちない点ではある。


    操作性   ★★★

 上下左右の円状のカーソルキーと、その周辺のキーを使った操作は
 すぐに覚えられた。曲は、アーティストとアルバムの両方から検索できる。
 リストの検索の際のカーソル移動はiPodほど高速ではないが
 普通に使う分にはあまり気にならないだろう。
 
 以前まで使っていた「iAudio M3」がフォルダ構造を認識したため、
 本機を買ってフォルダごと曲をドラッグ&ドロップでいくつか入れてみたら、
 フォルダが全く認識されずにびっくりした。
 本機はタグを使ってアーティストやアルバムの検索を行うようだ。
 Windows Media Playerを使ってタグの編集ができるようだが
 私はなんだか馴染めず、知人から「Super Tag Editor」という簡便に使える
 タグ編集ソフトを紹介してもらい、それでタグを編集してドラッグ&ドロップで
 本機に移動するというやり方にした。
 
 本機は電池がなかなか減らない。30時間連続再生はダテではない。
 音楽を聴いていて電池が切れる心配がないというのはやっぱり大きい。
 連続再生時間が長いということは充電回数も少なく済むということであり、
 電池容量の減少ペースが遅くなる、つまりは製品寿命も長いということだ。

 時計が付いており、アラーム、スリープ機能がついている。
 アラームは電車の寝過ごし防止に役立ちそうだ。
 
 赤外線リモコンが付属している。主に車の中や、室内で音楽再生機として
 使う時のことを想定しているようだ。使っていないため報告できず。


    デザイン   ★★★★

 写真では分かりづらいが表面はヘアライン加工。
 表示面は厚手のアクリル(?)で覆われている。
 裏面は鏡面加工。指紋が目立つのは鏡面加工ゆえの宿命か。
 手に持った感じも程よい大きさ、程よい厚みでいい感じ。
 本機の断面はかまぼこ状になっていて角が取れているので、
 そのおかげもあって手に馴染む。
 
 ボタンは「カチッ」という適度なクリック感があって良い。


    総 評   ★★★★

 音質は低域から中域にかけて密度が詰まった音で満足度が高い。
 しかも付属のヘッドホンでそれが味わえるというのは嬉しい。
 ヘッドホンを換えれば更にパフォーマンスがアップするのかと思うと
 ますますワクワクしてきてしまう。CCコンバータも有効に機能している。
 長時間スタミナ再生、外観も高級感があって良い。
 タグを使った曲検索という流儀の違いや、音質調整機能の仕様に戸惑ったところは
 あるが、「曲をいい音で聴く」というツボは押さえていると感じた。
 6GBという少なくもなく多くもない容量で高音質を追求した本機は
 独自の立ち位置にあるのではないだろうか。




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