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BSD物語
 

春。

屋敷の中に桜の木はないが裏手の小さな岡には桜が咲いていた。
 

CH96:桜の下で
 

裏手の桜の下では連日花見の場所取り戦争が地元の人達の間で繰り広げられていた。屈強なおじさん連中がレジャーシートを広げ連日所有権争いを繰り広げている。一方私はと言うとクライアントからの業務が季節柄立て込んでおり、桜が満開になる頃やっと一息ついたと言う状態。気が付いたら季節が冬から春になっていた。

「年に一度だし花見と行きたいが、今から場所取りもなぁ」
「今年もお屋敷で花見にしますか?」
「それが無難だろうね。酔っぱらいも入ってこないだろうし」
「では、早速準備いたします」

裏の桜を見渡せる庭の一角にレイナがパラソルとレジャー用のイス、テーブルをセットする。そこへ、ティナが花見一式を持ってきた。
「メイル、オマエは何をしているんだ?」
「ボク食べる人〜」
「一寸は手伝ったらどうなんだ?」
「まぁまぁ、なれない人が手伝うのもなんですし、メイル、来客とメール、メッセンジャーのチェックだけお願いしますね」
「了解!」
「では、私もご相伴に預かろうか」
「はい、美宇さんの分は緑茶です」
「かたじけない」

桜の花見と有って今日は緑茶と和菓子が並べられていた三色団子に御手洗団子、柏餅と和菓子大隊が勢揃いしている。

「あれ?マスター、桜餅がないよ?」
「ああ、すまん。アレは苦手なので外して貰っているんだ」
「えー!?」
「メイルさん〜香りが移らないように別の更に用意してありますよ〜」
「わーい!」
「のどかだねぇ」

とおく桜の方から聞こえてくる調子外れのカラオケの音を聞きながら住人達は桜を一時観賞したのだった。
 
 
 
 
 
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その96

暫く更新休んでいる間に春、恐ろしい物です。