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BSD物語
 

リビングに置かれた炬燵に入り、ティナと二人で夕食を取る。今まで何時も賑やかな夕食だっただけに他のメンバーがいないというのはずいぶんと静かでそれがまた寂しさを感じさせた。
 

CH90:閑散
 

事のきっかけは、レイナの不調だった。サーバとして常時稼働状態だった彼女のハードウェア部分にはそれ相応の負荷が掛かり続けていた。そしてある日、とうとう電源部分回路を構成するコンデンサの破損という形でシステムダウンが発生した。全二重化によるリスク分散のおかげで直ちに全システムダウンと言うわけには成らなかったが、事態を重く見たミレイによりシステムの全精査が行われた。結果、他のパーツにも相応の負荷が掛かり続けており、仮に電源部分を復旧させたとしても近い内に他が重複故障する可能性が高いという。

「マスター、システム管理だけなら自動監視機構でやっていける内に一度オーバーホール掛けておくべきだろう。今オーバーホール掛ければ負荷が最大に達する年末までには復旧が間に合うはずだ。逆に延命処理して年末に本格的にシステムダウンしたらそれこそ目もあてられんぞ。」

レイナを監視するミレイの発言はかなり深刻な状況を告げる物だった。屋敷内で色々話し合った結果、レイナの一時帰郷と大がかりな再調整が決定された。さらに念のためレイナにメイルが付き添って状況を各一報告すると共に彼女も調整を受けてくることになった。

「『調整を受ける』とは言いますけれど、先方にご迷惑をお掛けしないか心配です。」

とはティナの言だ。

さて、美宇は……というと、神無月にふらりと出かけて以来まだ帰ってきていない。彼女からの信符によると出雲の方で何かあったらしくしばらくはこちらに戻ってこられないらしい。ティナ宛に大量の符が添付されており当分はこれを使ってくれとのこと。符の使い方は手順書見てもさっぱりだったがその辺りはティナに任せることにした。

そんなこんなで、今、屋敷は珍しく静かな日々を送っているのだった。
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その90

これを書いている現在、リアルにサブマシンが故障して復旧作業中です。BSDもしばらくはティナと二人きりのお話が続きます。