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BSD物語
 

私は時々クライアントと打ち合わせのため屋敷の外へ出かけることがある。
普段は割りとラフな恰好で仕事をしているが、流石に打ち合わせの時などはスーツにネクタイだ
 

CH89:新調
 

「ご主人様、いい加減カッターシャツが痛んできましたので新調しては如何でしょう?」
「あー、この前一着駄目にしたところだし。そろそろかとは思っては居たんだけど」
先日、客先でプリンタートラブルに対応していた時、インクカートリッジをひっくり返してしまいインクを被って一着駄目にしたところだった。幸いスーツを脱いで上はカッターシャツだけだったので被害が少ないと言えば少ないのだが……染み抜きしても生地が傷むのであまりお勧めしないとクリーニング店員からアドバイスされたところだった。その代替含め新調しようという話だ。

「宜しければ私が見繕ってきます、ご主人様はレイナに付いてやっていただけませんか?」
「りょ〜かい、じゃあ、30分後に2Fの喫茶コーナーで」
 
 

程なく、カートに色々詰め込んだ私とレイナは既に到着していたティナと合流した

「あれ?シャツの包装、何か違わない?」

「どうぞ、お手にとって見て下さい」

シャツは通常有るようなナイロン包装ではなく、厚手の紙袋に入っていた。しかも2重。環境に配慮した簡易包装にしては少し様相が異なる。
袋から取り出して手に取ってみる。なにか、こう、違和感を感じる……手触りが微妙に違うのもあるが、白の光沢感が少し異なる……?

「ティナ、なにかこのシャツ普通のと違うの?」

「はい、かねてより業者に発注していた防刃繊維製カッターシャツです」

「……は?」

「最近はコンビニ行くだけで襲われる物騒な情勢ですからこれくらいの防護は必要かと」

なんでも特殊ナイロンにナイロンケブラー繊維と特殊鋼鉄繊維を組み合わせた素材らしい。

「これだけでは銃や弾丸の衝撃までは防げませんのでこちらのシャツを合わせて着用下さいね」

「あの、ティナさん」

「はい?」

「其方のアーマープレートまで付けると様相がかなり目立ちませんか?」

「大丈夫です、プレートはかなり薄いですし、そもそもご主人様の針金体型ではこれ付けてちょうど良い厚みです」

「それもそうですわ〜」

この場合、彼女たちに苦情を言うより痩せすぎの私の体型を何とかするべき何だろうと思ったりする訳であった。
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その89

コンビニ行くだけで通り魔に刺されたりする物騒なご時世、いかがお過ごしでしょうか。今日のネタは防刃です。なんでもケブラーだけでは弾は止められても衝撃波は止められないので防護パッドが必要だとか。プレートアーマーではブロードソードは止められてもメイスの衝撃までは止められないのと同じ理屈ですね(^^ゞ