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BSD物語

OS業界とMPU業界でそれぞれ多大なシェアを占める会社が新製品を出して暫く建ったある日、
管理人はへそくりとにらめっこしていた。
 

CH82:新製品
 

「うーむむむむ」

私は電子ペン入力デバイス片手に小一時間ほど唸っていた。机の上に広げられているのは今時古風な紙媒体の預金通帳、これは私の個人通帳だ。取り扱いには慎重を期し、電子媒体は一切使用しないようにしている。屋敷内から使ったら一瞬でティナ達にばれるのは確実だ。あまり多くない小遣いからすこしづつ貯めて作った金額は6桁少々、コレで某I社の新CPUを動かす為のPCを買おうというのだ。

管理人たる私が何故自費でPCを買わなければならないのか?それは昨夜のことだった。
 
 

夕食も終わり食後のデザートにレイナが作ったババロアを紅茶と共に食べていたときのこと
「ティナ、CPUメーカーの某I社が新アーキテクチャに基づく製品出したのは知っているよね?」
「ええ、出荷されてから暫く立ちますし品質としては安定してきています。サードパーティーも対応してきていますしそろそろ購入しますか?」

新しい玩具を買ってもらえると期待する期待に満ちた目で私を見つめるティナ、そんな彼女に私は本題を切り出した

「それでね、一台そのCPUで作ったPCに某M社のOSを入れようと思うんだけど」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「申し訳ございません、もう一度おっしゃっていただけますか?」

にこやかな笑顔はそのままで、強烈なプレッシャーを私に与えつつティナが聞き返してきた

「だから、某M社の新OSをそれに入れてみようかなぁ…………なんて、ダメ?」

「ダメです!」

「あ、やっぱり?」

「いいですか?あのドリル縦ロール娘ときたら『私にこの様な低スペックPCが使えるとお思いですの?私に満足に働いて欲しければもっとメモリーを増やしグラフィックボードを高性能な物にお取り替えなさいな』なんていうんですよ!?その上メーカーから提供されたドライバを渡したら『これはXP用のドライバじゃあありませんか、私にこんな旧時代のドライバを使えと言うんですの?』などとぬかすんですよ!!?あんな高慢チキドリル縦ロール巨乳エセメイドにこの屋敷の敷居はふませません!!!ええ、足を踏み入れよう物ならその場で叩き切って差し上げます1!!!!!!!」

「まぁ、おちつけおちつけ」

「コレが落ち着いていられますかっ!!!」

「いやね、クライアントから某M社の新OS使いたいっていう声がちらほら挙がってきているんだよ。で、ウチで使うのは兎も角、技術検証も兼ねて一台テスト導入してみようかなぁなんて思ったりして居るんだけど……とりあえずフォントサイズ元に戻して私に突きつけているその妖刀アクセスリスト仕舞ってくれないかなぁ……なんて思ったりして」

「……ふぅ、事情は分かりました。レイナさん、ご主人様開放してください」
「分かりましたわ〜」

いつの間にか私の体は背後に忍び寄っていたもう一人のネコミミメイドレイナによって拘束されていた。ティナの腕前なら後ろから羽交い締めされているレイナを避けて私だけ斬りつけることなど朝飯前だろう。もっとも、高々一太刀でダメージを負うレイナでもないのだが。

「兎も角、方針は分かりましたがその前にコレを見て下さい」

ティナが中空に出したシートには我が屋敷の財政状況が表示されていた。

「方針は兎も角、来期の機器拡張計画枠は既に一杯です。増設サーバは既に用途が決まっており新アーキテクチャテスト用にはこちらから回すことは出来ません。ご主人様が自費でまかなうというのならハードウェアに関してはこちらも口を出すつもりはございません、エセ巨乳メイドは別ですが。」

「つまり、買っても良い、と?」
「もちろん、ネットワークに接続する際は私の管理下に置かせていただきますが」
「後は予算かぁ」
「言うまでもございませんが、新製品だけにかなり値は張りますよ?」

かくして、私は通帳とネット広告をにらめっこしつつ新PCの構築を考える日々が続いたのであった
 
 
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その82

新PC導入計画中です。でも実際に導入できるのは当分先のようです。