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BSD物語

ハロウィン
本来はケルトの古い風習で宗教的な意味合いを持つ儀式だったらしい
その後、アメリカでフェスティバルの一つとなり、今に至るのだが……
 

CH68:ハロウィン
 

屋敷の近くにはキリスト教系の私学校があり、男女共学で幼稚園から大学院までの一貫した教育を売り物にしていた。寮もあり、遠くからこの学校へ来る者達がいる一方、近隣の子供達も結構通っている。

それゆえクリスマスなどのイベントではキャンパスを開放してのお祭り騒ぎとなるのだが……もう一つのイベントがそう、ハロウィン。

小学生達がそれぞれにお化けの仮装をして町中を練り歩く。かけ声はもちろん「Trick or Treat!(お菓子をくれなきゃ悪さをするぞ!)」である。まぁ、いままではそういいながら練り歩く子供達をほほえましく見ながらお菓子をレイナと配っていた。彼女は暇を見てお菓子を作ることが良くあり、欧州出身な事もありこのイベントで子供達に手作りクッキーを配るのを結構楽しみにしていたのだが……
 

「なぁ、メイル。そのくりぬいてある蕪は一体何に使うのかな?」
見れば、メイルは机の上に座り込みミニサイズの彫刻刀で一抱えもある蕪をせっせとくりぬいてジャックオーランタン(普通はカボチャを使う例のかぶり物)を創っているところだった。
「あ、マスター。もちろんハロウィン用の仮装だよ」
「ハロウィンってもともと悪霊払いの祭りだろ? 自己稼働型精霊が参加するってのはどうかと思うぞ?」
「いいじゃない。お祭りなんだし。それにDemonとDaemonの区別なんて機にしている人少ないと思うよ?」
「そりゃマァそうだけど……」
「まぁまぁいいじゃありませんか」

こまった私に後ろから声を掛けてきたのはレイナだったお盆には子供達に配る用のお菓子袋を沢山積み上げてある。多数の来襲に準備万端と言うところか。

彼女は私の耳元にそっと口を寄せるとささやいた。
「メイルに悪さされても困るでしょう?」

たしかに、なんだかんだと言ってもメイルはメイルデーモン。e-mailが正常に送受信できなければ困るのはこちらだ。

「メイル? あんまり悪さしたらダメですよ?」
かわいらしく人差し指を立て自分の顎に当てながら首を傾げメイルに注意をするレイナ。その顔はあくまで優しくほほえんでいた

「はははははいっっっ!!」

思わず直立不動で敬礼までして返答するメイル。
レイナが怒るなんて事は滅多にないのだが、そんな彼女が切れたときには今のように優しくほほえんだままとんでもないことをするのだ。
笑顔のままレイナはこちらへ向き直る。その表情には言いようのない迫力がある……そう、有無を言わせない 何かが。

「ところでご主人様、私達にも何か下さいね?でないと……」

私は壊れた玩具の用にうなずくとそのまま全力で後ろ向きに逃げ出した。
あれほどまでに怖かったのはティナにアンダーグラウンドでウィルス感染したのがばれたとき以来だった。
 
 
 
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その68

ハロウィンは本来悪魔払いのお祭りと言うより日本で言うところのお盆に近い物だそうです

あと、現在の仮装行列になったのはアメリカだとか

確かにティナ達ならやっていそうですね