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BSD物語

はらはらと庭の桜から花びらが舞っていた
しかし、屋敷を包む雰囲気は極めて緊迫した物だった
 

CH64:緊急警戒態勢

「ご主人様〜、アフタヌーンティーの準備ができましたわ」
「準備してもらってすまない。レイナ、お茶会は中止だ。これより全システム緊急警戒態勢へ移行、一般ユーザは全てログアウトさせてくれ。無期限一般業務停止!」

レイナが用意したアフタヌーンメニューから卵サンドを一つ掴むと口に放り込み、ミルクティーで流し込むと、え〜!? というメイルの非難の抗議を背中に上着をひっつかみ走り出す。

屋敷最深部へ2重隔壁を順番に通過して入る。エアロックのむこう側ではティナが既にウィンドボールを何重にも出して作業を開始していた。そのウィンド密度は通常の倍以上。既に彼女の額にはうっすらと汗さえにじみ出していた。

「状況はっ!?」
「既に北急州ブロックへ敵勢力の進入を許しています! 現在喚問海峡に3重防衛線を展開!! 一進一退です!!」
「どこか落とされた拠点はあるかっ!?」
「北急州ブロックで学部サーバが一つ落とされました! 他はまだ健在!」

事の発端は歴史認識と国家政策の行き違いから起こった些細な諍いだった。しかし、それは瞬く間に大陸国家の青年達を燃え上がらせ怒濤のごときサイバーアタックへと替わるのに時間は掛からなかった。以前合った半島からのF5アタックが台風の高波とするならば今回の攻撃は巨大地震による30mを越える津波、予め対応策があったサーバはともかく無防備なサーバ群は瞬く間に数の暴力によって叩きつぶされた。

この屋敷のサーバ群も結構な攻撃を受けていた。しかし、ティナの分析から
これは前哨戦であり、本体はこれから来る という恐ろしい結果が推定された。

「冗談じゃない! まだ前哨戦!?」
「はい……信じられませんが本命はこれから、おそらくGWかと」
「当分デフコン2だな……」

管理人とティナの顔色は悪かった。いったいどれほどの被害がでるのだろうか……全く予想が立たない状態だ。想定される攻撃に対応してサーバ防壁を強化し、我々は大陸からの侵攻に備えたのだった
 
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その64

時節ネタです。続きます……言いたいことは色々ありますが……ね