トップに戻る
1話戻る
BSD物語

CPUの新型アーキテクチャがリリースされて暫く
管理人は頃合いを良しと見た
 

CH63:PC改造狂想曲
 

ぴんぽーん

「あ、左川かな? ティナ。悪いけど替わりに受け取ってきてくれる?」
「了解です」

管理人は仕事の合間を縫ってサイトをチェック、ノースウッドコアのPentium4 3.4GHzの発注に成功していた、最新のプレスコットコアではなく、一つ前のノースウッドコア最終リリース版、いわば『枯れた』製品だ。トラブルも少ないだろう。合わせて新規格用のマザーボードとCPUファン、メモリモジュールも2枚用意してある。データの移行作業も万全、後はセットアップするだけだ。

「ご主人様? こんなサイズの箱ですが本当にCPUですか?」
「まぁ、開けてみればわかるさ……っていくらバルクの現品オンリーでも本当にCPUだけ送るってなぁ・・・・・・」

箱を開けると中には大量の緩衝剤、そして静電気防止がたエアーキャップに包まれたCPUが一つちょこんと入っているだけだった。

「まぁ、気を取り直して早速セットアップと行くか、静電気放電してっ……と、CPUリテンション開放、CPU及びCPUファンセット」
「はい、次はメモリモジュールです」
「向きを気を付けなきゃ行けないんだよなぁ……しかし相変わらずメモリーって刺さりにくいねぇ」
「では、筐体に納める前に起動チェックしましょうか?」
「うん、そうだね。最小構成で電源投入!」
「BIOS……OK、正常認識しています」

と、安心したの持つかの間、BIOSチェック中にいきなり電源が落ちた

「何が起こった!?」
「えーと、ご主人様、電源ケーブルには触っていませんよね!?」
「全く触れていないよ」
慌ててハードウェアをチェックするが特に異常らしい異常は見あたらない。少なくともBIOSでは正常に起動するのだがやたらに稼働が不安定ですぐ落ちるのだ。これではOSの再インストールもままならない
 
 
 

「全く見ていられないな」
「ミレイっ!?」
後ろからかけられた声に驚いてティナが文字通り飛び上がる。ティナの背後に来ていたのはこの屋敷に住むもう3人目のネコミミメイド、ミレイ=ゲートキーパー。役割はハードウェアを担当、文字通りのこの状況にふさわしい存在だ。只、もっぱらティナとは仲が悪いこともあり普段は裏方に徹しているため滅多に表に出ることはない。こうやって表に出てくること自体かなり珍しいことだった。どうやら見るに見かねて出てきてくれたらしい。

「マスター、マザーボード側の電源ソケットを確認してみろ」
「マザーボードのソケット?」
マザーボードから電源ケーブルを外し、手に取ってみる。ミレイの言うとおり電源ソケットを確認してみると……

「あっちゃ〜、外れてる!?」
「おそらく初期不良だな。それともう一つ稼働が不安定な理由がある。ティナ、この電源ボックスの出力はいくらだ?」
「えーと、XXXWですけど」
「それは最大の出力だろう、5Vと12Vの合計出力は?」
「え?」
「電源ボックスには最大出力の他に5Vと12Vの合計出力が有るんだ。CPU換装でより大電力を必要となったからな、電源出力不足の可能性もある」
「確かに出力が限界いっぱいですね」
「マスター、これなら大丈夫だろう」

ミレイはそういうと亜空間サブポケットから真っ黒な電源ボックスを取り出した、プレスコットコアまで対応できる最近の型の電源ボックス、これならおそらく行けるだろう

「プレスコットコア型のマザーボードは電源ソケットの形態が若干異なっているがこれはどちらにも対応している。これなら大丈夫だ」

彼女の言葉にはいつもながら安心させられる。電源ボックスを交換し無事な稼働を確認すると引き続きBIOSの設定に入った。

「うん、もう大丈夫だと思う。ミレイありが……ってもういないや」
「全く、最後に礼ぐらい言わせてほしいものです」

ティナはいつものように悪態を付いていたが、それはミレイへの素直じゃない彼女からの感謝のしるしだった。
 
 
 

   ( 続く )

−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−

あとがき代わりの駄文その63

と、いうわけでPC換装完了です。それに合わせて自分のPC、全てOS再インストールを行いました。その為しばらくの間ネットに接続できずご迷惑をおかけしました。この場をお借りしてお詫びとPC再構築の相談に乗ってくれた皆様に御礼申し上げます

m(_ _)m