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BSD物語

その日、管理人は「薔薇少女」既刊全てと某仮想戦記最新刊、小説3冊にコミック2冊と
かなりの量の本を購入して家路についた
その有様を見たティナは玄関先で管理人を問いつめた。
 

CH61:下準備
 

「ご主人様っ!! 前から言っているじゃないですか、こんなペースで本を買い続けたら書庫があふれるって。なのに又こんなに買ってきたんですか!」
「いや、古本屋に行ったら結構安かったから……」
「値段の事じゃなくて書庫のスペースが問題なんです! 書庫があふれて床が抜けたらご主人様のお小遣いから修理代天引きしますよ!」
「一寸それは勘弁して欲しいなぁ……」
「なら対策考えてください!」

そういってティナは玄関先から引き上げた。何しろクリスマスと年末を控え例によってサーバルームはクラッキング対策で忙しいのだ。今年はティナ直属のセキュリティ専門対策チーム<スクィッド>達も慣熟し、かなりの部分を任せられるようになったがまだまだ油断は出来ない。技術は敵も日々進歩しているのだ。

管理人はこそこそと書庫にはいると買ってきた本をばらした。そうして、仮想戦記新刊を開き、目次のページから一つの封筒を取り出した。

「ふぅ・・・・・・早めに見つかって良かった……」

本の間に隠した封書、それは年末にこの国の首都へ行くための往復交通チケットだった。もし、ティナ達にばれよう物なら私も連れて行け年末の忙しい時期にどこへ行くと問われ兼ねない。ネットでのチケット予約も彼女たちの監視下にある屋敷からでは見つかる可能性が高い。直接飼いに行った方が安全だ。

そういった理由で私はこそこそと本を買うフリをして往復の交通チケットを押さえに行った。他、ホテル予約や現地の交通機関の下調べも万全。まずばれていないはずだ。封筒を開封して内容を再度確認する・12/28出発首都行きの夜行バスチケットと12/30出発帰りの弾丸列車指定席券だ。どちらも年末で込み合うためいち早く入手しないと予約さえ出来ない代物だ。

パシャッ

私の背後で今やもう珍しいフィルムカメラのシャッター音が聞こえた。慌てて振り向いた管理人がみたものは手に使い捨てカメラをもってにっこり佇むティナの姿だった。

「ご主人様、年末で大変なときに首都へお出かけになる予定ですか?」
「一体何時気が付いた?」
「ご主人様と玄関で本の話をしたときです。さほど暖房を効かせていないのに手がずいぶん汗ばまれていましたので何か隠しているのかと思いX線で本を調べましたら……このとおり」

そういってティナが差し出したX線写真にはきっぱりチケットのシルエットが本の輪郭と重なって写し出されていた

「降参、こうもあっさり見つかるとは誤算だったよ」
「では、私の次の要望もお分かりですね?」
「年末の首都遠征を取り止めろ。さもなくば……君を同行させろ。か」
「良くお分かりです。いつぞやの小坂遠征と同じ方法使いましょう。そうすれば余分なチケット取らなくても済みますし」
「今度の遠征、危険度は小坂の比じゃないぞ?」
「私が付いていきます。何があってもお守りします」

はて、ティナにどう説明した物か私は迷った。何しろ今度の目的は……
この国最大の電気街「秋葉原」と同人誌即売会なのだから
 

   ( 出張編へ )
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その61

この話は出張編02に続きます
掲載は2005年初めを予定しています