BSD物語例年にない夏の酷暑の影響か
クリスマス前の年末だというのに今ひとつ寒くなりきらない
とはいえ、体を温める飲み物はやっぱり欲しい物であった
CH60:手間
深夜
管理人は珍しくアニメを見ていた。ここ数年、アニメの質が落ちていたのとアニメを見続けるのがしんどいことから暫くご無沙汰していたが、そのクオリティとかける労力に見合うだけのアニメを友人から紹介されたのだ。そういうわけで、管理人が自室のPCでその番組を見ているとカートにティーセットを乗せたレイナが夜食を持ってきてくれた。
「マスター、眠気覚ましに紅茶はいかがですか〜?」
「ありがとう、頂くよ」
「今夜ももう少し起きる予定なのですか?」
「4時になったらサーバ全台にパッチ当てるからそれまで起きていないと……」
「あら? あららら? これではいけませんわ〜」見ると、アニメの中で主人公の姉がヒロインである呪いのアンティークドールに紅茶の入れ方がまずいと指摘されているシーンだった。
「何か問題でも?」
「このひと、ティーポットのお湯で紅茶を入れてしまっています〜 これでは美味しい紅茶にならないのも当然ですわ」
「そうなの?」
「はい、紅茶の適温は95度、沸騰寸前のお湯を使うのが基本です〜。ティーポットのお湯は90度前後ですので紅茶の適温からは少し低すぎますし、水も美味しくなくなっています〜」
「へぇ、以外ときっちり決められているんだね」
「それにこの人は紅茶の葉をしっかり蒸らしているようにも見えません〜、これでは文句言われても当然ですわ〜」
「むむむ」かなり細かいレイナの指摘に唸る管理人。そういえば自分で入れる紅茶はどうがんばってもレイナの味には勝てなかった。やはり、美味しい物に手間暇は惜しんではダメと言うことか。
「茶道じゃないけど詳細なルールとか有るの?」
管理人がそういうと、レイナは中空から一つのファイルを取り出した
「茶道、というかこんな物まで制定されています〜」
「って、これ全文英語じゃない」
「がんばって読んでみてください〜 良い勉強ですわ」翻訳サイトも使って私はその英語で書かれたファイルを読み解いた。その中身は……
ISO規格:紅茶の入れ方という代物であった。
−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−
あとがき代わりの駄文その60
管理人:「そういやミルクティーでカップに入れるのはミルクが先か紅茶が先か大論争になったんだって?」
レイナ:「ミルクが先だと紅茶の温度が下がってしまうっていうのがそもそもの発端らしいです〜」
管理人:「目玉焼きでサニーサイドかターンオーバーかっていう問題とさして変わらないような気がするなぁ」
レイナ:「ご主人様は当然サニーサイドですよね?」
管理人:「は? ターンオーバーに決まっているじゃないか」
レイナ:「マスタ〜? ターンオーバーだと黄身が半熟にならないじゃないですか」
管理人:「黄身まで火が通っていないと食べにくいじゃないか」
そうして、この討論はパッチ当て作業を挟み夜が明けるまで続いた・・・・・・