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BSD物語

赤道直下で太陽の熱エネルギーによって生み出された台風が
日本へ来るようになったある日、
それは我が屋敷へと襲いかかった
 

CH59:有れば良いという物では無い
 
 

つるつるつるーーーーーーつるん
「ごちそうさまでした」
「はい、これで頂き物の素麺はおしまいです」
「ながかったよなぁ……素麺づくしの毎日」
「でも、これで終わりですー」

そう、昨年の夏、大量にもらった素麺が今日の夕食でやっと全て食べ終わったのだ
冷やし素麺は言うに及ばず煮麺に沖縄風の炒め素麺……といってもそれほど
レパートリーがあるわけではない。昨夏はレパートリーも尽き、冬の間は時々
食べる程度で置いておかれ、この夏、一気に片づけたのだ

とくに今年の夏は猛暑が続き、食欲の落ちた体には味気ない飽きた素麺でも
それなりに美味しく食べられた……とはいえ、ここら辺が限界だ

貰い物の茄子やピーマンもあるし、たまには中華三昧と行きたいところだ
 

ぴんぽーん
 

そう、ティナに提案しようとしたとき、玄関で呼び鈴が鳴った

「あら?……キジトラシナノさんですね。『すぐいきますー』」

屋敷内は全てホットスポットになっている。ティナ達にしてみれば玄関先の
カメラ影像を自分の所へ無線で転送させ、人物認識及び危険物のチェックを行い
さらに喉元のカラーについているマイクからの出力を玄関のインターホンに接続させ
リビングに居ながらにして来客の応対をすることなど朝飯前の事だった。
 

だからと言って、起き抜けの無茶苦茶ハイな状態での来客対応は止めてもらいたい物だが
 

「ありがとうございましたー」
私も玄関先に来たが、ドライバーのおねえさんが挨拶と荷物を残して出て行くところだった

「荷物内容は……食品? それにしちゃ重いな」
「重量10kg、結構入っていますね」
「でも、チルド指定ではありませんわ〜 缶詰でしょうか〜?」
「あんみつとかムースだったら嬉しいな♪」
「水羊羹が良い……」

それぞれに希望を言う中、管理人はなぜか嫌な予感に襲われていた。
まず、重さがあまりに均一だ。おまけに振っても荷重移動する様子がない
音もしない。まるで内部まで均一ななにかで充填されているようだ

「ティナ、内部チェックはしたんだろ? 中身は一体?」
「……それは……ご主人様自ら確認された方が宜しいかと存じます」

ティナにしては珍しく回りくどい言い方をするのが益々気になった。
おそるおそる箱を閉じているガムテープを外した。

その中にあったのは……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

素麺10kg分だった
 
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その59

管理人はただいま素麺に埋もれております。ピーという発信音の後に
お名前とメッセージをどうぞ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ぴー