BSD物語CH55:クリスマス戦線異常無し
「あぁもう! なんでクリスマスだって言うのにご主人様とデートさえ出来ないんですかっ!」
「仕方がありませんわ、クリスマスは私達The Internetに携わる者にとって忙しい日の一つですわ。今日休むケーキ屋が無いのと同じです〜」
「それは分かってはいますけど、やっぱりやりきれないじゃにですかっ! 巷じゃ彼氏持ちの女性が好きな男性とふたりっきりの一晩を過ごしているってのに私達はくずクラッカー共とウィルスとワームの対応に追われているんですよっ!?」
「あうぅ〜またメールボムだよぅぅ」
「メイル、カウンターアタックを許可します。逆ハックかけて相手のメールボックス吹き飛ばしなさいっ!」
(ひょっとしてティナお姉ちゃん思いっきり荒れてる?)
(ひょっとしなくても荒れています〜)
ビーッ!! ビーッ!! 「この屋敷にF5アタックとは良い度胸ですね……ケンサキ!モンゴウ!!聞こえています!?」
「こちらケンサキ。モンゴウ他、一同臨戦態勢出来ております」
「ダイオウがディフェンダー、ケンサキとモンゴウがアタッカー、アオリはサポート、ホタルは私についてバックアップを!!」
「了解」「承知」「ワカッタ」「俺に任せな! イェイ!!」「うん、おねぇちゃん」
「ティナさん、その美味しそうな方々は?」
「私直轄のプロクシセキュリティシステム群<スクィッド>です。食べちゃ駄目ですよ?腰抜かしますから。貴方達、好きなだけ暴れて来なさい!!」
「その、ティナ殿? ひょっとしてクリスマスに『ご主人とデートに行けない』から荒れて居るのでござるか?」
「バカ! モンゴウ!! そういうことを本猫に聞くヤツがあるかっ!!」
「いやその拙者はケンサキ殿と違ってこういうことに疎いのでな」
「ちょっとは想像という物を働かせろ! お前の足の上についているのは飾りかっ!!」
「いつまでくっちゃべっているんですかっ!! さっさと行ってきなさい!!!」
「ワカッタ オレ ココ マモル」
「ケンサキ以下3名 前線に行って参りますっ! ほらモンゴウ、いくぞっ!!」
「毎年の事ながら戦場だねぇ ハイこれ、流石にチキンフライだと手が汚れるからサンドイッチにしたけど。こっちは紅茶ね」
「あ、そこに置いてください。 アオリ、解析はどう?」
「順調だぜ! 今から解析結果データ送るから宜しく頼むぜ!!」
「おねぇちゃん、F5アタッカー全員の解析とカウンターワーム準備出来たの」
「ホタル、ありがとう。ケンサキ、モンゴウ、BIOSクラッシュワーム転送! 外部にハニーポッド設置、クラッカーが食らいついたらワームをたっぷりくれてやりなさい! 5号ウィルス群使用許可します!!」
「5号ウィルス群って……HDD物理破壊型にメモリモジュール破壊型じゃない! ティナお姉ちゃん、そんな危険な物マスターの許可無しに使ったら……」
「いいんです、私が許可します! カウンターアタック開始!!」
「了解!」「承知!!」
スクィッド達に寄るカウンターアタックが成功裏に終わり、クラッカー共のPCがクラッシュする事を確認した上で休憩に入ります。今夜一晩だけでもかなりの攻撃を受けましたがクラッカー及びクリスマスウィルスの制作者にはもれなくカウンターアタックをかけたので流石に攻撃も下火になってきました。そばのサイドテーブルに置かれていたチキンサンドの包み紙をほどき、紅茶と共に夜食といきます。
「ふぅ、是でようやく一休みできます。レイナ、サンドイッチと紅茶ありがとう」
「私ではありませんわ〜」
「へっ!!?」
不覚にも私は一瞬フリーズしてしまいました。よく考えてみればレイナはサーバー管理・運用で、メイルはピークに達しているメールサーバー業務で、どちらにしてもこんな忙しいときにゆっくりと紅茶を入れチキンサンドを作っている暇は無かったはず。手の空いていそうな美宇ならサンドイッチではなくおむすびと日本茶になるでしょう。では、これを作ったのは!?
「あの……僕なんだけど」
「ごごごごしゅじんさまっっっっっ!? いやあのそのですねごしゅじんさまのきょかなくすくぃっどたちをうごかしたのにはそのわけがありましてそのけしてごしゅじんさまとでーとにいけなかったからやつあたりですくいっどたちにかうんたーあたっくをめいじたとかついでにまちなかをいくばかっぷるどもにでんぱをあびせてうさばらしとかそういうことはしていませんええしていませんたらもうこんなおみぐるしいところおみせしてもうしわけないとうかなんというかあ!こんなところにぱけっとのきりくずが!ごしゅじんさまのまえだっていうのにみづくろいもできないでああもうどうしましょう……」
「お〜い、かえってこ〜い(汗)」
「仕方がありませんわ〜 暫く放置してこっちに帰ってくるまで待つしか有りませんわ〜」
せっかくのクリスマスをサーバ管理で楽しむことさえ出来ないティナ達にせめてもの差し入れをした物の、当の本人がハングアップ状態で帰ってくるのをひたすら待つしかなかった管理人であった。
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あとがき代わりの駄文その55
ティナ:「ああせっかくごしゅじんさまがじんちゅうみまいにいらしたっていうのにわたしときたらぱけっとくずがついたままでこんなおみぐるしいすがたで・・・・・・」
管理人:「まだ帰ってこないのか(汗)」
ミレイ:「いっそ外部から強制再起動かけた方が良いのではないか?」
美宇:「私もそう思う」
管理人:「しょうがないなぁ……えいっ!」
意を決してティナのしっぽを掴む管理人。一瞬ティナは気を失うも直ぐに復帰。が、しかし……
ティナ:「あ、ごしゅじんさまっ!?あらいやだこんなごしゅじんさまにだかれたじょうたいでさいきどうがかかるなんてこんなろまんてぃっくなじょうたいでさいきどうかかるんだったらもっとみだしなみにきをはらっておかなきゃならないのにってこんなところにぱけっとの・・・・・・」
管理人:「だめだこりゃ」
結局、ティナの復帰にはそれから1時間もかかったことだけ最後に付け加えておこう。