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BSD物語

インターネットが普及してはや数年

裾野が広がるというころは当然様々な人が参加するわけで……

中には困った人もいるのだった。
 
 

CH43:問題の傾向と対策
 
 

「はぁ、またですわ」

日常となっている朝一番のメールチェックをしながらティナがためいきをつく

「何か問題でも?」

何の気無しに管理人は尋ねてみた

「いえ、これ何ですけどね」

彼女は中空に開いたメールウィンドをちょんとつつくと管理人のところまで移動させた

「どれどれ……なんだこりゃ。私のHPの内容を勝手に削除しないでください? 
 そんな事するわきゃ無いのに」
「それですが私の判断で公開を強制停止しました。これがその公開を禁止した内容です。
 ちょっと見ていただけます? なかなか強烈ですから」
「ん? ……なんだこりゃ」

彼女から送られてきたウィンドに表示されていた物。それは世間一般の常識に照らし合わせても
ちょっとまずいだろうという外国でも18禁以上と思われる画像の数々だった

「基本的に掲載行為は自由ですが……当然野放しって訳じゃありません。警告メールも送りましたが
 反応無し。 先方がそのメールを読んでいるのは確認しています。その上での継続行為でしたので
 悪質な行為として強制停止に踏み切りました。メールの差出人はここのアパッチサーバ管轄の
 レイナの名前で出してあります。」

「このユーザの公開停止処分はこれが初めて?」

「いえ、もう3度目になりますかしら」

やってきたレイナが横から答える

「このユーザにアカウント切ったのが半年ほど前でそれ以来、強制公開停止は3度目になりますわ」

「言って聞かないならしょうがないか。レイナ、このユーザのアパッチの使用権剥奪。1週間後に
 アカウント剥奪するって郵便をメールと内容証明郵便で送って」

「異論有りませんわ。既に準備済みです〜」

彼女たちも相当腹に据えかねていたらしい。その日の昼にはその郵便は投函され処分が下った。

「他に困ったちゃんなユーザは?」

「ウィスル付きメールはこちらで送信をブロックしています〜。レンタルBBSサービスでアラシ行為を
 行ったユーザのIPは3回目からはIPで弾いていますわ、一応判断は各ユーザの申告制にしています」

「でも、悪質なユーザは後をたたないと?」

「事に最近はその辺をわきまえていないユーザが増えました。交流用の掲示板でも品のない書き込み
 が増えています某所の巨大掲示板群風の書き込みも多いです〜 根本的に対策たてないといい加減
 手に負えなくなりそうですわ」

レイナにしては珍しく深刻な顔をして提案する。その表情から事の問題性が読みとれた

「管理人が各ユーザに口を出すのは不本意なんだけど……しょうがない。全ユーザに注意を促すメール を送信後、今後の新規ユーザに対しては過去のネット使用経験に基づいて講習を受けてもらおう。
 あと、3回規約を破ったらアカウントの剥奪を徹底しよう。 レイナ、その辺の実際運用は任せる」

「了解しましたわ〜」

ちょっと厳しい判断だとは思うけどインターネットは無法地帯じゃない
それが分からないような人間には使用資格無し

しかし、こういうことをする人は後を絶たないわけで……
不毛な鼬ごっこは続くのだった。
 

  ( 続く )
 

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あとがき代わりの駄文その43

管理人:「アラシってのは絶えることがないなぁ」

ティナ:「しかもエンドレスで来ますから……ご主人様、軽くこのゴミ達処分してきて良いですか?」

管理人:「やるなとは言わないが見つからないようにね(笑)」

ティナ:「了解しました〜」

かくして、今日も夜な夜なアラシの悲鳴が夜の闇に消えるのであった