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BSD物語

プリオン騒動に端を発する食品の真偽疑惑

言っては何だが実際の所、詐称は昔からあったようで(羊頭狗肉?)

信用は安くないと言うことか……たまにこういうケースもあるが
 
 

CH39:真偽疑惑
 
 

行きつけの本屋で定期購読している本を受け取り、ぶらぶらと散歩がてら家へ帰る
時々はコースを変えてあちこち見て行くのを習慣にしている
その日は商店街を通って行くことにした。

揚げたてのコロッケが並ぶ精肉店、大きな水槽に豆腐を浮かべている豆腐店
もうすぐ夕方ということもあり、それなりに賑わっている。
香ばしい香りが漂ってくるパン屋で焼きたてのミニクロワッサンでも買おうかと思ったその時、
ティナを見つけた。どうやら買い出しに来ているようだ。

折角だし、買い物の様子をこっそり覗くことにした。
ティナがこっちに来てしばらくは奇異の目で見られていた物の、今ではすっかり
うち解けているようだ。店員と今日のお買い得についてなにやらやり取りをしている。

ティナ:「北海道産の新じゃが、美味しそうですね……
     店員があっちの客と対応している間に…………」

一体に何をやるつもりなんだ?
ティナは人目に付かないように注意深く、細く、強力な光をジャガイモに当てた。
 
 

ティナ:「含有成分……Xn0.0001%、レイナさん解析結果データ送ります……
     やっぱりそうですか、北海道産ではありえ無いと。では、購入はやめておきましょう」
 
 

また今度にしますと店主に声を掛けて立ち去ったティナの後を追い、
家に近づいてから声を掛ける

管理人:「いい加減気がついているんだろ?ティナ」

ティナ:「パン屋の辺りから覗いているのには気づきましたが……
     一緒にお買い物しましたのに」

管理人:「それは今度にするとして、さっき八百屋で何やっていたの?」

ティナ:「あれですか? 産地を調べていたんです」

管理人:「調べるったってバーコードなんか無かっただろ?」

ティナ:「もちろんバーコードも読めますがもっとはっきりした非破壊型調査です」

管理人:「???」

ティナ:「スプリング8はご存じですか」

管理人:「あの放射光を当てて、そのスペクトルから成分分析できるっていう……

     あの……
     ひょっとして…………? 
     まさか…………………!?」

ティナ:「これぐらい簡単ですわ。流石に比較用の産地データを私は持っていないので
     レイナさんにお願いして調べてもらってます。
     私に出来るのはサンプルの解析結果を送るまでです」

国立研究所の超ハイテク技術を家庭の買い出しで使う彼女たちに、何と返事を
して良いか分からないまま一緒に帰宅したのだった

  ( 続く )
 

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あとがき代わりの駄文その39

管理人:「元ネタはスプリング8の施設を一部、一般開放するという計画からです」

ティナ:「スプリング8は砒素カレー事件で一躍有名になりました
     同じ光も電波もγ線も同じ電磁波ですからこう言うことも出来るんです」

管理人:「じゃあ、目からレーザービームも?」

ティナ:「打てますが、暫く目がくらんでしまうんです。でも、ご希望とあらば」

み゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

管理人:(冗談だったのに……)