*ワガママな悪夢*
(キリリク50000)
【4】
「おいおい黎深、お前のガキってーのはどれだ?」
とん、と前に座る黎深の肩を叩いた管飛翔は、舞台上から絳攸に"ゴロツキ"と評されているとも知らずに、片手に持っていた酒瓶をぐいっとあおった。
「こんなところでまで飲むな、飛翔」
「そうだ。これからせっかく紅男が美味いタダ酒を飲ませてくれるというのに、何も今から安酒をあおることはないだろう」
仮面越しのせいでくぐもった声と、元々暗そうな声が横からそう窘めたが、飛翔と呼ばれた男はちっとも悪びれることはなかった。
「うるせぇ鳳珠、文仲。コレは前祝ってんだ。――で、どれだ黎深?」
ぱたぱたと扇をはためかせた黎深は、機嫌を悪くした風もなく淡々と答える。
「一番右端だ。紅の衣を着ているだろう」
「へー、あれか。それなりにかわいいじゃねぇか」
「それなりだと!? どこをどう見てもウチの絳攸が一番だ!!!!!」
途端、くわっと目を見開いた黎深に、隣に座った黄奇人はやれやれと溜息をもらし、反対隣の姜文仲は冷ややかな目を送った。
「…………兄・姪狂いだけではなかったのか」
「ああ。まさにバカと天才は紙一重、だ」
こいつの親ばかは今に始まったことではないからな、と続けた奇人に、その横にいた鄭悠舜はくすくすと苦笑する。
「まぁまぁ。もう始まりますから、静かに見ましょうね」
「いいか貴様ら、絳攸だけを応援するんだぞ! 他の者などに声援を送ったら絶交だからな!!」
養い子が祭に参加するので見に来い、と黎深に命じられて強制的にこの場に集まることになった4人は、一瞬わざと他の少年に声援を送ろうかと思ってしまったが、そこは今後のため、ぐっと忍耐で我慢した。
「……へいへい。おい、お前の子供が優勝したら紅家で上級酒飲み放題の約束、忘れんなよ、黎深」
「ああ。――まぁ結果は見るまでもなく決まっているがな」
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