*父の日*
(絳攸・楸瑛・黎深・奇人・邵可)


【5】

「あの、突然すみません、邵可様」
「いいえ絳攸殿、藍将軍、来て下さって嬉しいですよ。――それで、折り入って私に話とはなんでしょう?」
急な訪問にも驚くことなく2人を迎え入れてくれた邵可は、ほこほこと湯気を立てるお茶を3つ卓子に並べた。
絳攸が内々の話だと言うと、秀麗と静蘭は気を利かせて夕食用の買出しに行ってくれたのだ。
「邵可様……。あの、黎深様の好きなものが何かご存知ですか?」
「ええ。よく知っていますよ」
にっこりと笑い事も無げにそう言った邵可に、絳攸はパッと顔を輝かせた。
「本当ですか!? あの、実は、黎深様へ"父の日"の贈り物を探しているのですが、なかなかいいものがなくて……。それをお教え頂けると嬉しいのですが!!」
「え、ああ、"父の日"の"贈り物"ですが……。それは困りましたねぇ……」
これでやっと贈り物が決まる、と嬉しそうな絳攸を前に、邵可は笑みを苦笑に変えた。
「私はあの子の好きなものを知っていますが、あいにくと売り物ではないのですよ……」
「え……。では、どうしたら手に入るのでしょう!?」
「うーん、まぁ、もう手に入れているとも言えるかもしれませんが……」
「? 売り物ではないのに手に入れているのですか??? 私には仰る意味が……」
困り顔で首を傾げた義理の甥に、邵可は微笑んだ。
「黎深の好きなものとは、あなたなのですよ」

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