*父の日*
(絳攸・楸瑛・黎深・奇人・邵可)


【3】

一方そんな2人の様子を、怪しげな男たちが物陰から窺っていた。
その衣の色は紅と黄。それぞれ色味を押さえてはいても、目立つことこの上ない。
その上、1人は通行人が振り返るほどの美形、もう1人はなんと仮面をつけている。
街の者たちは一様に彼らを遠巻きにし、それによって彼らは周囲からまったく妨害されることもなく尾行を続けることができた。
「……藍家の小僧め、絳攸を連れてどこへ行くつもりだ……。――くっ、あんなに近づきおって……っ!!」
「黎深。李侍郎ももう小さい子供ではない。友人と出かけるのをつけなくとも良いだろう? ――それに、あの2人よりも、私とお前の距離の方が近いと思うのだが」
「なにを言う鳳珠っ。あの小僧が絳攸に色目を使いたぶらかそうとしているのが分からないのか!? 2人きりで供も連れずに外出など、許さん!!!!!」
「…………私たちも2人きりだとは思わないか?」
「ああっ! また街外れの方向に……っ! 側に付いていながらなぜ間違いを正さぬのだっ、小僧っ」
「――李侍郎の物理的方向音痴は養い親譲りだな。お前は思考が方向音痴だ」
「藍家めぇぇっ!」
「やれやれ……。なぜ私はこんな奴と共にいるのだ…………」
はぁ、と奇人がもらした溜息は、仮面に邪魔されて横にいる黎深の耳にも届かなかった。

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