*ななつのちかい*
(黎深・絳攸)
※「えいぷりるふぅる」の続きとなっております
【1】
「それでは御前失礼。行くぞ絳攸」
「へ……っ? あの、黎深様???」
黎深からそう言われた絳攸は首を傾げた。
絳攸は確かに「朝廷を辞す」と言いにきた黎深を引き留めるため王執務室に来たのだが、どうして自分まで一緒に執務室を出るのだろう、と思ったからだ。今日はこのまま主上の仕事を手伝おうかと考えていた絳攸は、疑問のいっぱい詰まった瞳で黎深を見る。
そんな絳攸と瞳が合った黎深は、にっこりと微笑んだ。
彼のことをまったく知らない者から見ればうっとりものの微笑みなのだろうが、それはまさしく朝廷中から畏れられる吏部長官・氷の微笑だった。
執務室中が一瞬にして凍り付く。
「ウソツキな子供には仕置きが必要だろう」
「……っ」
自分のことを指しているとしか思えない『ウソツキ(絳攸は先ほど"えいぷりるふぅる"のため黎深にウソをついた)な子供(一応、養い子である)』という言葉に、絳攸は一切の動きを止める。
そんな絳攸を満足そうに眺めた黎深は、その襟首を掴むと問答無用で執務室を後にした。
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