*珀明の憂鬱*
(黎深・絳攸・珀明)
【2】
「黎深様ぁ……」
そう吐息混じりに呟く絳攸の声が聞こえる。
きし、きし、と何かが軋むような音がするのはなぜだろう。
珀明がさらに耳を澄ますと、微かに衣擦れの音。
「れ、黎深様……、あっ……」
「ん? ココか?」
「あ、ああっ、そ、ソコです……」
「ふむ、ココか……。どれ」
「ひぁっ。も、もう少し強く……」
「わがままだな、絳攸?」
「ご、めんなさ……い」
「私は謝れと言っているわけではないぞ?」
「は、はい、黎深様」
「ああ、ココはずいぶんと固くなっているな。これはツライだろう」
「……くっ」
短い絳攸のうめき声と、くすくすと笑う黎深の声が聞こえる。
(い、いったい中でナニが!!??)
この会話は仕事中とは思えない。
というか、親密そうに名前を呼び合う二人が、ただの上司と部下とは思えない。
珀明は混乱でぐるぐるしながらも、さらに強く耳を扉へと押し当てた。
【←1】 【3→】
【過去小説1】
【最新小説もくじ】
【TOP】
(C) asakawa itsuki
all right reserved.