白い森の住人
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「帰り道」

気付いたときには遅かった。
歩いて帰ると真っ暗闇になる。
今夜は新月。月の光も望めない。日本のような街灯は勿論まったくないのである。
ここは車が通る道もない。ダッシュで帰ろう。

と、急ぎ足で歩いていると
山で柴刈りし、満載になった牛そりや馬そりが次から
次ぎへと横を通り過ぎ、麓の村に家路を急ぐ。

歩いているよりずーっと早いではないか!

ふと振り返ると二頭立ての馬そりがやって来た。
これは速そうだ!

「乗せてー」と声を掛ける。
農民は笑顔で手招きをした。
すかさず柴の上に飛び乗る。

帰り道、農民と話をする。
彼曰く
去年イギリス人を乗せてやったという。
日本人は初めてだそうだ。

冬は柴刈りの仕事しかなく
今朝は6時に家を出て、一日山で柴刈りをし、帰るところだという
柴は1本0.5元でを売れるそうだ。今日は約200本、40元ほどになるという

それから
約1時間、軽快に馬は走った。
7才と15才牝馬だそうだ。

吹きさらしの馬そりはむちゃくちゃ寒く凍えてしまった。

ようやく、村が見えてきた。
丁度日没に間に合った。
時計を見ると午後3時11分。

また乗せてねといって別れた。

2005年 12月 30日