1972年(昭和47年)の年末、私は塩狩峠での撮影を終え、
蘭留から最終の名寄行き普客323レに乗車した。
閑散とした車内、乳白ガラスカバーの薄暗い電灯、・・・
雪に浮かぶ夜の塩狩峠を越え、和寒、東六線、剣淵と各駅列車はのんびりと夜の宗谷路を走る。

士別に到着すると交換のため長時間停車になった。私は先頭のC5550号機の撮影に出た。
スチームのきいた客車から外に出るとブルッと身震いする。
雪が止み、一杯積もった駅のホームから線路へと飛びおり、機関車の回りで忙しくバルブを切る。

交換のディーゼルがやって来た。 慌ただしくホームに上がり乗車する。
C55は再びゆっくりと名寄に向け発車した。
今日は、名寄泊まりである。

1972年12月 士別にて

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塩狩峠