さらば『ミコノス』−その3−

 <フェリーの船上からミコノス島を望む>

 

 ミコノスの人たちは、皆、生き物を愛している。

この島では、犬も猫も鳥達も、そしてペリカンでさえ大きな顔をしている。

自分たちもこの島の一員だと、誇らしげに歩いているかのように見えるから不思議だ。

 ミコノスタウンの貴金属屋さんに入った時である。お店の中に小柄な犬がいた。

店の主人に『あなたの犬ですか?』と尋ねると、彼は、

『違うよ。この犬は皆の犬だ。大変に賢い犬で、店の中に入って良いというまで絶対店の

 中には入ってこない。私達の言葉がわかるんだ。それで島の皆から愛されている。』

と説明してくれた。

<ミコノス島で出会った少年。写真を撮ってあげると言ったら生意気にポーズを決めた>

 

 僕が見た限り、ミコノスでは犬は放し飼いにされている。

野良犬はもちろん、飼い犬でさえ鎖で繋がれてはいない。

 一度町を歩いていた時、買物途中のご婦人の飼い犬らしき犬と出会った。

ご主人の買物を待っている。大変,でかい犬である。もちろん、鎖はない。

その犬は、なぜか僕の方をじっと見ていた。

少々恐怖を感じたので、僕は、被っていた帽子を深くかぶり、

その場をやり過ごすべく足を速めた。すると、なんとその犬が僕を追いかけてくるのである。

立ち止まると、犬は僕の回りで、今にも噛み付きそうに吠え出した。

『こりゃ、やばいことになった。』思ったその時、飼い主であるご婦人が、

慌てて駆けつけて来た。

彼女はまず犬を叱り、僕に『ごめんなさい。』と謝ってから、

『この犬は、帽子をかぶっている人が大嫌いなの。』と言った。

僕は、心の中で『それを早く言え!!』とつぶやきながら、

逃げるようにその場を立ち去った。

 

 <海岸で翼を広げるペリカン>

 海岸にでると、いろいろな鳥達に混じってペリカンがいた。

町の中でもペリカンが歩いている。

民家の玄関扉の前に、ペリカンが寝ているのにも出くわした。

ここは、動物達の天国かも知れない、本当にそう感じた。

 ミコノスからアテネに帰る途中、波が荒くなったためシロスという島で足止めを食った。

最終的にその島を出港したのは、約20時間もたってからのことである。

 船の中で、若い日本人男性と知合った。僕も旅行中は日本人とはあまり話さないことに

していたが、少々、時間を持て余していたのと、彼が『地球の歩き方』を読んでいたので、

なんとなく僕の方から声をかけてみた。

 彼は、会社を辞めて、昨年の10月からタイを手始めに、世界一周の旅に出たという。

貧乏旅行を続けているとのことだったので、アテネに着いてから

ギリシャ料理のレストランに彼を連れて行った。

 

 彼の今後の予定を聞くと、ギリシャから船で南イタリアのバーリーから

イタリアに入るという。僕は、アテネから飛行機でミラノに入り北から南へ回る予定なので、

また、イタリアで出会ったら、飯でも一緒に食べようと愛想で言ったのだが、これがなんと、

また再び、彼とローマで奇跡的に出会うことになる。

 

 “アガタ“というローマでも有名なレストランに行く途中であった。

ローマのテルミニ駅の近くを友人の長谷川氏と歩いていたら僕の前で、

こちらをかがみ込むように見る男がいた。変な奴だと思っていたら、

彼に、『やっぱり、辻さん!!』と声をかけられた。まったくの偶然とはいえ、

世の中には不思議なことがあるものだ。

結局、彼を連れて3人で食事をした。まったく持ってラッキーな奴ではある。

〇アガタ(agata e romeo

このレストランはお勧めです。値段は、高いといっても安い。日本で食べたら軽く倍は

 取られそうな味と内容です。女性のオーナー・シェフとご主人の経営。日本人女性の給 

 仕の方もいらした。

 場所は、ローマ・テルミニ駅からサンタ・マリア・マジョーレ大聖堂へ向い、カルロ・

 アルベルト通りをエマヌエーレ2世広場へ歩く途中、右手1階にあります。

 

 agata e romeo

 住所:via Carlo Alberto 45-00185 Rome tel (06)4466115 要予約